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プレマ・セオドールレーシング 2017年ADAC F4第5戦ニュルブルクリンク レースレポート

2017年08月09日 14:42  AUTOSPORT web

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プレマ・セオドールレーシング 2017 ADAC F4第5戦ニュルブルクリンク レースレポート
FDAドライバー、マーカス&フィッティパルディ
前半戦最後のレースをワン・スリー・フィニッシュで締めくくる
8月4~6日

ドイツ/ニュルブルクリンク 北ショートコース

 ドイツ、ADAC F4選手権。夏休みに入る前半戦最後のレースは伝統のクラシックコース、ニュルブルクリンクの北ショートコースで開催された。アイフェル山脈のなかほどに作られたこの巨大なサーキットは数々の伝説と記憶が積み重ねられ、古くはニキ・ラウダが瀕死の重傷を負った場所として、最近ではGTカーレースの舞台として日本人にも馴染みの深いレーストラックとして知られている。

 今回はFDAドライバーの#9マーカス・アームストロング、#44ユーリ・ビップス、#68ファン・マニュエル・コレアに加え、イタリア選手権に参加しているFDAドライバー#74 エンゾォ・フィッティパルディもワイルドカード出場を決め、4台体制でこのニュルに臨む事となった。

 参加台数28台を数えるこのシリーズはFIA-F4の中でもっともレベルが高く、わずか2秒以内に28台がひしめき、エントラントもユーロF3と同じチームが揃うなど、非常に層の厚いレースとして評価されている。

 決勝のグリッドは土曜日の朝に30分の予選が一回。ベストタイムがレース1のグリッド、セカンドベストがレース2のグリッド、そしてレース3はレース1の順位、1位から10位までをリバースすると言うドライバーを育成する為のフォーマットで構成されている。

予選
 予選はユーリが6番手、エンゾォが9番手、FP1でいきなりトップタイムをマークしていたマーカスが振るわずに13番手、なかなか不調の波から抜け出せないファンが17番手に沈んだ。セカンドベストはユーリが5番手、エンゾォが6番手、マーカスが10番手、ファンが14番手とやや翳りのある結果となってしまった。

レース1(シリーズ第13戦)
 予選結果通りのスターテインググリッド。全車綺麗にスタートし、それぞれポジションアップをした2ラップ目が終了した時に#27 US Racingのニコラス・ニールセンのマシンが横転。SCが入ったがドライバーの救出に時間が掛かり赤旗中断。US Racingの共同代表、ラルフ・シューマッハの緊張した顔が何度もTVモニターに映し出された。

 ドライバーは無事に救出されてメディカルセンターへ。レースは残り時間をフルレースする事で再開された。

 LAP3の順位、ユーリ5位、エンゾォ7位、マーカス10位、ファンは15位から2ポジションアップし13位になっていて、この順位のままローリングでレース再開。

 マーカスは22番手から大幅にジャンプアップしてきた#98 セドリック・ピロ(チームピロスポーツインターデンタル)とバトルとなり、一度は順位を譲り11位にドロップ。しかしラスト3周でピロを交わして10位の座を奪い返しフィニッシュ。

 レース3はレース1の10位までがリバースグリッドになる為、この10位はマーカスにとって、とてつも無く大きな10位となった。

 一方、このところ殻が弾けた様な活躍を見せ始めているエンゾォは#2 フレデリック・ベスティ(V.A.R.)と終始バトルをするが最後の4周で抜かれてしまい8位。しかしながらルーキークラス優勝。レース3の3番グリッドも手に入れた。

 ユーリは2周目に5位に上がってからは前後のマシンとバトルをしつつその位置をキープ。そのままフィニッシュし、レース3の6番グリッドが確定。ファンも再スタート後の13位を維持したままゴール。こちらはまだ復調の芽は出てこない。

レース2(シリーズ第14戦)
 日曜日の午前中のレースとして開催されたレース2。

こちらも予選結果通りのスターティンググリッドで、ユーリは5番グリッドからスタートし4位に。そして前後のマシンと激しいバトルをしながら6周目には3位に上がった。

 6番グリッドからスタートしたエンゾォはポジションを一つ落として7位に。10番グリッドからスタートしたマーカスはスタートで2台抜いて8位にアップ。逆に14番グリッドのファンは15位にドロップ。

 各車、随所で激しいバトルを繰り広げ、7周目が終了し8周目に入ったターン1。

#6 トム・ベックハウザー(ADAC ベルリン-ブランデンブルグ e.V.)が減速しないままタイヤバリアに突き刺さった。イエロー後、すぐに赤旗が掲示され2レース続けてのレース中断。このアクシデントでドライバーに怪我は無かったものの、タイヤバリアの破損が大きく修復に時間を要するとの判断からレース2は中止。7周で成立し、ポイントはハーフポイントにする事が決定された。

 この結果、ADAC F4選手権のポイントリーダーであるユーリは3位表彰台となり、得点をさらに積み重ねた。

 7位でフィニッシュのエンゾォはレース1に続きルーキークラスの優勝。レースで終始エンゾォとバトルをしていたマーカスは8位。ファンは15位でレース2を終えた。

レース3(シリーズ第15戦)
 日曜日、そして夏休み前の前半戦最後のレース。有終の美を飾り、気持ち良く夏の休暇に入りたいところ。

 ポールはマーカス、3番グリッドにエンゾォとチームの二人のFDAドライバーには目前に大きなチャンスが待っている。そしてポイントリーダーのユーリは6番グリッド。こちらもポイントをさらに積み重ねるチャンス。昨年の活躍を知っている者からすると心配になる状況が続いているファンは12番グリッドからのスタートとなる。

 スタートでマーカス、エンゾォはポジションキープ。ユーリは#3 ルイス・ガショー(V.A.R.)に食い付き、1周目にパス。早くも1-3-4とトップグループを形成した。

 一方、悪いなりに結果を手繰り寄せるファンは12番グリッドからスタートで9位へ。3周目には8位に上がり前を行くクルマを果敢に攻め立て15周目には7位に上がりそのままフィニッシュ。貴重なポイントを積み上げた。

 結局、激しいバトルを重ねながらもマーカスは優勝を決め、エンゾォは3位でポディウムフィニッシュ。エンゾォはこの週末のルーキーカップを全て優勝で飾り、レベルの高いADAC F4でのこの結果は大いに評価される事となった。

 ポイントリーダーのユーリはここでもポイントを着実に重ね、182.5ポイントとし、シリーズ2位のマーカスの171に11.5ポイント、シリーズ3位に付けているフィリッペ・ドラゴビッチ(V.A.R.)には23ポイントの差を付けて前半戦を終える事ができた。

 夏休み明けの後半戦は9月15-17日に開催されるザクセンリンク。最終ラウンドのホッケンハイムまでの6レースで今年のチャンピオンが確定します。

 なおチームカップは2位のラルフ・シューマッハ率いるUS Racingに119.5ポイント、3位のV.A.R.には121ポイントの大差を付けてここまでの合計410.5ポイント。チャンピオン街道を独走中です。

コメント
#9 マーカス・アームストロング(FDA)
 残念ながらパーフェクトなウイークエンドではありませんでした。FPではとても良い滑り出しが出来たのに予選で歯車が狂ってしまいました。フロントの一本のタイヤがおかしくなってしまっていて、それが原因で予選のプログラムが狂ってしまいました。

 レース1と2の結果については、あの状態からポイントを取れて良かっと思います。レース3で勝てたのは本当に良かった。イタリアシリーズでトップ、このシリーズでは2位ですが、トップのユーリに大きな差は付けられていませんから心配していません。前半の最後のレースを勝って休みに入れるのはとても良かったと思います。

#44 ユーリ・ビップス
 全体的には良い週末でした。ポイントを重ねられ、3つのレースの全てでトップ5でフィニッシュ出来ました。シリーズトップで良いポジションを維持したまま夏休みに入れるのは気持ちの余裕が違います。このまま好調の波を維持したいと思います。

#68 ファン・マニュエル・コレア
 全ての事が簡単には行かず、予選もプラン通りにはなりませんでした。レース1/2もダメでしたが、レース3ではようやくリズムを掴み良いペースで走る事が出来ました。この流れを忘れずに休みに入り、モチベーションを上げて後半戦に臨みます。

#74 エンゾォ・フィッティパルディ
 この週末はとても良い流れでした。今回はADACのデビュー戦でしたが、とても良い経験が積めました。予選は苦しみましたが、レースでは表彰台にのれました。僕の次のレースはイタリアンF4のイモラです。こちらの方で今回の経験を活かして、良い結果を出していきたいと思います。