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新田真剣佑は夢を持ったひとりの少年だったーー『僕たちがやりました』衝撃の展開みせた第4話

2017年08月09日 12:13  リアルサウンド

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 目の前でトビオ(窪田正孝)に逃げられた市橋(新田真剣佑)は、“エサ”を使ってトビオをおびき寄せようと、蓮子(永野芽郁)を呼び寄せる。「あいつら全員殺したいんだけど、どこにいるか知らない?」と問いかけ、光を失った不気味な視線から一点し、車椅子から転げ落ちた市橋は人間じみた表情を見せた。そして大粒の涙を浮かべながら、体が不自由になったことで叶わなくなった夢を語る。


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 毎週センセーショナルな描写が注目されているフジテレビ系火9ドラマ『僕たちがやりました』の第4話は、冷徹な敵役だと思われていたキャラクターが、夢を持ったひとりの少年であるということがわかる名場面の登場で、ますます青春ドラマ色を強くしていく。


 しかも、多くの登場人物の物語がそれぞれ異なる場所で描かれて構築されている本作において、この高架下でのやり取りは、あらゆる物語が集約された高密度なシーンになっているのだ。市橋が秘めていた夢と、トビオに対する恨み。そしてトビオへの想いを自覚する蓮子、市橋に不満を募らせる矢波高の有原(吉村界人)を筆頭にした子分たち。そして蓮子の親友・由佳と有原の関係。


 先週の第3話では主人公のトビオのすぐそばにいるキャラクターが掘り起こされたが、今回はそれ以外の脇のキャラクターに光が当たる演出で、今後の展開に彼らが影響することを予感させるものであった。それはトビオの行方を追い、蓮子や家族にも近付き始めた刑事の飯室(三浦翔平)も同様である。矢波高の教師・熊野(森田甘路)を追い詰める彼の鋭い眼光は回を重ねるごとに強くなっており、“人間くささ”を見せた市橋よりも恐ろしい存在に映りはじめているのだ。


 また、今週から新たなキャラクターが登場した。警察に追われ、ズボンと靴を失って路地裏に隠れていたトビオを救ったホームレスの“ヤング”(桐山漣)だ。自らを「万引き二段」と語る彼は、独特のゆっくりとした喋り方と光り輝く白い歯でなんとも不思議な魅力を放ち、ピンチを救われたトビオは彼を“第二のパイセン”として信頼しはじめる。ところが、油断したトビオに襲いかかる“ヤング”。これはこのドラマで一番衝撃的な展開ではないだろうか。


 さらに、熱海に潜伏したマル(葉山奨之)が豪遊を繰り返す店でホステスとして働くウララ(おのののか)も、今後の登場に期待したいキャラクターだ。彼女に恋心を抱いてトビオから奪った金を使い果たしたマルが、またしても狡猾な笑みを浮かべたとなれば、次なる展開は容易に想像がつく。このウララというホステスに踊らされることによって、マルは“クズキャラ”を加速させていくに違いない。


■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。