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三浦大知、雨の中で見せたエンターテインメントの力!  代々木公園フリーライブレポート

2017年08月07日 19:22  リアルサウンド

リアルサウンド

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 8月1日、代々木公園野外ステージにてフリーライブ『DAICHI MIURA FREE LIVE“U”supported by uP!!!』が開催された。天気は、あいにくの雨。その雨脚が激しさを増していくなか、ステージの前には雨具に身を包んだたくさんの観客が、開演を今か今かと待ち望んでいた。開演時間の18時30分ちょうど、会場に流れていたBGMがフェードアウトする。「雨でごめんねー、まじで! でも、本当に集まってくださってありがとうございます!」雨で濡れたステージに軽やかな足取りで飛び出してきたのは、太陽のように眩しい笑顔の三浦大知だ。


・ 音楽でひとつに
 「嵐を呼ぶ男、三浦大知でーす」と挨拶すると、笑いが混ざった歓声と拍手が起こる。「この雨がみんなの思い出の雨に変わるように、僕の中でもアツい曲を持ってきました! 一緒に盛り上がりましょう、せーの!」三浦の合図で、観客が一斉に手を突き上げて、左右に揺らす。オレンジや黄色のライトに照らされ、ステージは一気に常夏の雰囲気に。


 三浦の歌声は雨を弾くように力強く、伸びやか。ステージの縁ギリギリまで身を乗り出して観客に近づき、一人ひとりと目を合わせるように視線をくばり丁寧に盛り上げていく。「雨、弱くなってない?」そう言ってニカッと笑う三浦に、歓声で応えるファンたち。


 そして「music」のイントロが流れると、「今日は、みなさんいろんな曲を用意してく……え、用意してきていますので、音楽でひとつになっていきましょー! クラップ! クラップ! はい、思いきり噛んでも気にしなーい(笑)」そんな人間味あふれる姿に触れられるのも、ライブならでは。


 雨が降っても、トークで噛んでも、三浦の軽やかで細かいステップ、足を頭まで上げる柔らかなターンは健在だ。「FEVER」では踊りながら、ステージに溜まった水を蹴ってしぶきをあげるアドリブも。どんな環境でも、音楽を心から楽しむことができる三浦。そのワクワクが観客に伝播していく、そんなライブの幕開けだった。


・聴かせるアコースティックパート
 「大知ー!」「だいちー!」曲と曲の間に、観客から思い思いの掛け声が飛ぶ。なかには、子どもたちの声も。会場に集まった人たちをあらためて見渡すと、三浦が性別や年齢を問わず幅広い層から支持されていることが伝わってくる。


 ステージが黄昏どきを彷彿とさせる優しいライティングで映し出されると「何かスペシャルなことができたらと……」と話し、アコースティックギター、キーボードの音色に乗せて「ふれあうだけで ~Always with you~」をしっとりと聴かせる。カホンに座ってスタンドマイクで歌う三浦だが、その手振りだけで想いが伝わっていくるような豊かな表現力に脱帽だ。


 そして、「いつも引くぐらい踊ってる曲をバラードアレンジで」と披露したのは「Cry & Fight」「(RE)PLAY」。足でステップを踏む代わりに、手でカホンを叩きリズムを刻んでいく。ときに力強く、ときに繊細に。緩急のついた生演奏は、生命力に満ちあふれていてビリビリと体に響く。みんなで同じ音を聞いている……そんな共感体験が、心地よい幸福感へと変わっていく。これが、三浦大知が創り出すエンターテインメントの力。


・三浦大知はアップデートし続ける
「今日は何のイベントですかってことですよ。僕にとって記念の日といいますか、子供のころFolderっていうグループで活動していたんですけど、そのFolderのデビュー記念日が8月1日! ちょうど、20周年ってことで」とMCで語り始めると、観客から「おめでとー」と拍手が湧き上がる。


 「20年、自分が好きなことを続けさせてもらえるって本当にすごいことだと思ってまして。ただ歌とダンスが好きなだけでは、たぶんきっと続けられなくて。周りにいてくれるスタッフさんもそうだし、ダンサーだったりメンバーだったり、そして何よりこんな雨の中でも足を運んでくれて、一緒に音楽を共有して応援してくださるみなさんがいたからこそ、20年続けてこれたんだと思います」


 三浦が多くの人の胸を打つパフォーマンスを創り上げることができるのは、周囲に対する愛をしっかり受け止め、感謝をエネルギーに変えているからなのだろう。「三浦大知を好きでいてよかったなと、みなさんに誇ってもらえるようにこれからも一歩ずつアップデートしながら、頑張っていきたいなと思っています」そして、8月2日リリースの新曲「U」を、雨の中で踊るMVをそのまま再現したかのような、奇跡的なステージングを披露した。


・さらなる高みへ、ファンと共に
 「EXCITE」のイントロが流れ「残すところあと2曲となります! こぶしやタオルを振っていきましょう」と三浦が煽ると、観客は一斉にタオルを手に取りブンブンと振る。筆者のすぐ近くにいた小さな男の子たちもサビ部分を一緒に歌って、タオルを笑顔で振りまくる。思わず筆者もペンを振り回しそうになるほど、まさに会場にいる全ての人がエキサイトした。


 「20年やってきても、まだまだなところばっかりで。目指すべきところが、どんな高みにあるか、僕もわからないけれど、これからも歌って踊っていきたいなと思っております」そして、この日ラストナンバーとなった「Darkest Before Dawn」をパワフルに歌い上げる。ダイナミックに動いてもブレることのない歌声、バックダンサーと魅せるキレのある驚異的なシンクロダンス、そして細かな動きで歌詞の世界観を広げていく表現力。三浦大知の進化は計り知れない。


「今日、記念すべき20周年の、この日に降った雨が、みなさんのおかげで僕にとって最高の思い出の雨になりました。本当にありがとうございました!」三浦の魅力がたっぷり詰まった約1時間のステージは、本当にあっという間だった。最後は、みんなで「三浦大知ー!」の掛け声で記念撮影。「今度はね、屋内で(笑)」と再会の約束をする三浦。この日集まったファンとの絆は、文字通り“雨降って地固まる”ものとなったはず。<ひとりでも ひとりじゃない>三浦の夢は、ファンの夢でもある。次の20年、さらなる高みへ。その姿を見届けられる喜びを胸に、次のライブを楽しみに待ちたい。(文=佐藤結衣)