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TOYOTA GAZOO Racing 2017スーパーGT第5戦富士 レースレポート

2017年08月06日 23:22  AUTOSPORT web

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ZENT CERUMO LC500の石浦宏明(左)と立川祐路(右)
スーパー GT 第5戦 FUJI GT 300km RACE

立川/石浦組LEXUS LC500が3位表彰台獲得
GT300クラスでは嵯峨/久保組プリウスが今季初表彰台となる3位

 スーパーGT第5戦の決勝レースが富士スピードウェイで行われ、4連勝中のLEXUS LC500勢は重いウエイトハンデを負いながらも、レースを通してバトルを繰り広げ、立川 祐路/石浦 宏明組 ZENT CERUMO LC500 38号車が3位表彰台。中嶋 一貴/ジェームス・ロシター組 au TOM'S LC500 36号車が4位でフィニッシュ。LEXUS LC500は6台全車がトップ10フィニッシュでポイントを獲得した。

 また、GT300クラスでは、嵯峨 宏紀/久保 凜太郎組 TOYOTA PRIUS apr GT 31号車が3位でフィニッシュし、今季初表彰台を獲得。中山 雄一/坪井 翔組 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3 51号車も17番手スタートから追い上げ9位入賞を果たした。

 スーパー GT第5戦「FUJI GT 300km RACE」が8月5日(土)、6日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催された。

 前戦SUGOから僅か2週間のインターバル、そして3週間後には鈴鹿1000kmが待つ「真夏の3連戦」は2戦目を迎えた。今季より導入された新型のLEXUS LC500は、開幕から連勝街道を突き進んでいる。ウエイトハンデの厳しくなった前戦は、セーフティカーが3度も導入される乱戦となったが、これも制し、LEXUS LC500は開幕から4連勝を飾った。

 LEXUSの「ホーム」である富士で、新型のLC500の初レースとなった今季第2戦は表彰台独占の強さを見せた。今季2度目の「ホーム」戦は、6台中5台がランキングトップ5でウエイトハンデもかなり重くなっており、また、猛暑の中での戦いとなることが予想され、ドライバー、車両、タイヤやブレーキなどにも大きな負担のかかる厳しいレースとなる。しかし、「ホーム」富士はLEXUS勢のドライバーも多くが得意とするコースであり、LC500の速さを活かし、タイトル争いへ向けて好レースが期待された。

◆予選◆
 5日(土)は空は雲が覆っているものの雨は降らず、GT500クラスのQ1が開始される頃には気温29.5度、路面温度37度で蒸し暑いコンディションのなか、セッションが開始された。

 GT500のQ1は午後2時55分スタート。いつも同様に前半は誰もコースインせず、残りが7分ほどになったところで国本雄資の駆るWedsSport ADVAN LC500 19号車を先頭に各車コースイン。タイヤを暖め、アタックラップに入ったが、19号車の国本はタイヤのグリップ不足に苦しみ、タイムを伸ばせず。14番手に終わってしまった。

 セッション終盤に目まぐるしくタイムが更新される中、LEXUS勢で好走を見せたのはトムスの2台。ランキング2位、3位で重いウエイトハンデを積んでいるにもかかわらず、KeePer TOM'S LC500 37号車は平川亮、36号車は中嶋一貴が好走を見せて3番手、5番手でQ2進出。38号車も石浦の健闘で7番手に入りQ2進出を決めた。

 ヘイキ・コバライネンがアタックしたDENSO KOBELCO SARD LC500 1号車は惜しくも9番手でQ2進出ならず。ランキング首位で最も重いウエイトハンデを積むWAKO'S 4CR LC500 6号車は大嶋が懸命のアタックを見せたが11番手でQ1敗退。

 午後3時40分からQ2(12分)が開始され、残り8分ほどで各車コースイン。このセッションでは36号車のロシターが素晴らしい走りを見せ、LEXUS勢最上位となる3番手タイムをマーク。立川の38号車が6番手、キャシディの37号車は7番手から決勝に臨むこととなった。

 GT300クラスでは、最終的に上位19台が1秒以内に入るという僅差のQ1で、2台のプリウスがQ2進出。嵯峨がアタックした31号車が6番手、佐々木孝太がアタックしたTOYOTA PRIUS apr GT 30号車が9番手グリッドを確保。  一方でLEXUS勢は苦戦。坪井がアタックした51号車はカットラインとなる14番手に僅かコンマ1秒及ばず17番手でQ2進出ならず。前戦5位フィニッシュを果たした60号車も23番手でグリッド決定となった。

 Q2では、久保がアタックした31号車が6番手、 永井宏明がアタックした30号車が9番手につけた。

◆決勝◆
 6日(日)は多少雲はあるものの好天に恵まれ、強い日差しで夏らしい天候となり、気温29度、路面温度36度のコンディション。午後3時25分に静岡県警の白バイとパトカーの先導による交通安全パレードに続き、フォーメーションラップから決勝レース(66周)のスタートが切られた。

 上位勢は順当なスタートを切り、ロシターがスタートを担当した36号車は3位をキープ。その後方では、38号車の立川と37号車のキャシディがサイド・バイ・サイドでの6位争いを繰り広げた。

 38号車の立川は、じりじりと前との差を詰めていき、9周目には5位へ。更に前車との激しいバトルの末に、24周目のTGRコーナー(1コーナー)で4位へと浮上、3位を走行する36号車にも追いつくと、27周目には36号車もかわし、ついに表彰台圏内までポジションアップを果たした。

 中盤に入り、各車給油とタイヤ交換、ドライバー交代のためにピットイン。3位につける38号車は、前を行くGT-R 23号車と同じタイミングで30周終了時にピットイン。そのままの順位でピットアウトすると、交代した石浦が、テール・トゥ・ノーズで激しく23号車を攻めるバトルが続くこととなった。

 全車がピット作業を終えた時点で、38号車が3位、中嶋一貴に代わった36号車が4位、平川亮に代わった37号車が5位で、チームメイト同士ながらこちらも接触寸前のバトルを展開。その後方では6号車の大嶋と19号車の国本も僅差で競り合っており、そこかしこで繰り広げられる接近戦は、富士に集まった多くのモータースポーツファンを湧かせた。

 38号車石浦の猛追は最後まで続き、終盤には首位を走る車両のペースが落ちたこともあって、最後は3台での首位争いになるかと思われたが、ファイナルラップ直前あたりからGT300の集団の中を抜けていくこととなり、それ以上の順位変動は無いまま、38号車が3位でチェッカー。第2戦富士での優勝に次ぐ、今季2度目の表彰台を獲得することとなった。

 36号車は中嶋一貴が粘り強く走り切り4位。37号車は6位、14番手スタートから追い上げた19号車が7位。6号車が9位、1号車が10位でチェッカーを受け、LEXUS LC500勢は厳しいウエイトハンデのなか、6台全車がトップ10フィニッシュでポイントを獲得。

 この結果、36号車のロシターがドライバーズランキングで首位に浮上。これに1ポイント差の2位で大嶋/カルダレッリ組、更に1ポイント差で平川/キャシディ組、トップから3ポイント差の4位に立川/石浦組が続くという、ほぼ横一線と言っていい状況で、夏の長丁場、大量ポイント獲得のチャンスである、次戦鈴鹿1000kmを迎えることとなった。

 GT300クラスでは、6番手スタートのプリウス31号車が、序盤から好走を見せ4位へポジションアップ。やや早めの23周終了時点でピットへ向かい、タイヤ無交換作戦で嵯峨へとドライバーチェンジを行った。

 その後、嵯峨の31号車は着実なペースで周回。ピットを遅らせたライバル勢全車がピットを終えた時点で、2位へとポジションを上げた。その後、1台にかわされたが、今季初の表彰台を獲得。今季から嵯峨とコンビを組んだ久保にとってはGTでの初表彰台となった。

 17番手スタートのRC F GT3 51号車は、中山雄一がドライブした前半スティントでペースが上がらず苦戦を強いられたが、後半を担当した坪井が好走。着実に順位を上げ、9位入賞でポイント獲得を果たした。

 30号車は20位。60号車はGT500クラスの車両と接触を喫し、27位に終わった。

ZENT CERUMO LC500 38号車 ドライバー 立川祐路:
昨日から車のバランスにすごく苦しんだ。今日の20分間のウォームアップでも改善されず、決勝スタート直前のグリッド上でセッティングを大きく変えてもらう状況だった。しかし、その作業が効を奏し、何とか決勝では戦えるレベルになった。

最初のうちは、他メーカーの車両など、燃料リストリクターが大きい車両が前にいたため、中々抜けなかったが、様子を見ながら周回し、GT300クラスに引っかかったタイミングや、後半タイヤ摩耗が進んできたなかで、向こうのミスを待ち、何とかポジションアップを果たせた。

欲を言えば最後はもう一つ上に行ければというのはあるが、難しかっただろう。今週末の状況を考えれば、今日の結果は満足行くものだと思う。ポイント的にもほぼ横一線のようなものなので、チャンピオンシップ争いはこれからだ。

次戦の1000kmはウエイトハンデも厳しいが、それはライバルも同じだし、長い戦いで上手くやれば上位に行ける可能性の高いレースなので、何とか好成績を狙いたい。

ZENT CERUMO LC500 38号車 ドライバー 石浦宏明:
ずっと23号車を追う形となり、ブレーキはこっちの方が詰められるので、行けるかなと思っていたのだが、ブロックが厳しく、無理に行くとぶつかってしまうので逆転は叶わなかった。ファイナルラップはどこかで行きたいと思っていたのだが、ちょうど最後の最後にGT300クラスの集団に追いつき、それでちょっと離れてしまった。

でも良いペースでレースを戦うことができた。昨日から今日のウォームアップまでクルマがあまり決まらず、グリッドでも大きく変更するなど少し不安だったが、立川さんの走りを見てほっとした。タイヤも予定とは違う、立川さんと同じものにして、それが上手く行った。

僕自身はピットを出てから最後までずっとバトルで、結局抜けなかったので悔しいが、表彰台に上れたのは良かった。

TOYOTA PRIUS apr GT 31号車 ドライバー 嵯峨宏紀:
今回は予選から無交換前提のタイヤ選択で、とにかくタイヤを温存することを徹底し、前半も後半も無理なプッシュはせず、淡々と走る、という作戦でレースを戦った。最後の方では4号車に追いつかれてしまったが、ペースが違いすぎたので無理に抑えることもなく、自分達のペースを守って走り続け、なんとか表彰台でフィニッシュできて良かった。

今年は新しいチームメイトになって、前半戦はちょっとかみ合わない部分もあったが、31号車プリウスのパッケージとして本来いる位置に今回戻ってくることができた。次の1000kmについては、今回のように特に後半淡々と走るのが得意なので、チャンスはあると思う。

本来得意とすべき前戦のSUGOで不満の残る結果となってしまい、今回こそは挽回したいという気持ちだったので、表彰台に上がれたというのは本当に上出来だと思うし、優勝に匹敵する結果だと思っている。

とはいえ、まだ僕らもシリーズを諦めているわけではないので、今後、次の鈴鹿で大きなポイントを取り、最低でも一回はどこかで優勝したいという思いはあるので、しぶとく頑張っていきたい。

TOYOTA PRIUS apr GT 31号車 ドライバー 久保凜太郎:
去年乗っていたチームでも、いつもタイヤ無交換作戦の第1スティント担当をやっていたので、走り方は理解していた。あとは今年のクルマ、タイヤのパッケージでどうすれば良いかを考えながら走った。

ちょっと危ないかと思うところはあったが、嵯峨さんがしっかりと繋いでくれたので良かった。初めての表彰台は嬉しいが、泣くのは優勝したときまで取っておくつもりだ。