AUTOBACS RACING TEAM AGURI
2017スーパーGT第5戦 富士スピードウェイ
GT500 決勝レポート
タイヤ選択に迷いなし、野尻、小林の快走でホンダにとってもチームにとっても今季初優勝
ARTAは記念すべき20周年に両クラスで優勝を果たすことに成功した。両クラスで同時に優勝したのは2013年のSUGO以来だ。
チームはレースで履くタイヤのチョイスに悩んでいた。朝から日差しが強く、我々にとって路面温度が上がることは望んでいなかったからだ。しかし、決勝直前に雲が徐々に増え風も吹き始めたので、望みどおりのコンディションでスタートを迎えることができた。
スタートドライバーは野尻智紀。接戦になることを予想していた野尻はスタートを決め、トップで1コーナーをクリア。序盤からペースもよく少しずつだが後続との差を広げていった。第1スティントの後半もペースは落ちることなく野尻は走り続け、32周目にルーティンのピットインを行い小林にバトンタッチした。
先にピットインを済ませていた車両が最終コーナーに迫っていたが、300クラスの車両と接触してしまいコースアウト。2番手のプレッシャーが無くなった小林は燃料が重い状態でタイヤに負担をかけることなく、コースイン後の2周目にはトップにポジションを戻した。その後小林はトップをキープしながら周回を重ねたが、途中300クラスの車両に引っかかってしまい、後続車との差を詰められる場面があった。小林は冷静に周回を重ね見ことトップでチェッカーを受けた。
鈴木亜久里監督のコメント
「今までNSXは勝てなくて2年ぶりにボク達のチームで勝たせることができて良かったし本当に嬉しい。このレースは簡単なレースじゃ無いし、本当に価値のある勝ちだと思う。300クラスのメカニック達もSUGOが終わってから不眠不休でクルマを修復してくれてこの結果を出してくれた。本当に感謝だね。この結果に満足せず、次のステップを目指すよ」
星学文エンジニアのコメント
「今日は路面温度が全てだと思っていました。天気予報では曇の予報でしたが、朝から日差しがあり、気温も高かったので、曇ってくれと祈っていました。決勝直前に予報通り曇りになってくれたのでタイヤ選択に迷いが無くなりました」
「野尻は最初からペースが良かったのですが、タイヤがどのくらい持ってくれるか心配でした。しかし、野尻のスティントではきちんと走ることができて、後半小林につなぐことができれば大丈夫だと思っていたので良かったです」
野尻智紀選手のコメント
「チームが一生懸命積み上げてきてくれたものをようやくカタチにできてホッとしました。序盤チームからの無線は聞こえるものの、ボクの声がチームに届いていなかったので故障かと思いましたが、ジャックが外れていました。指し直して再び交信することができたので冷静にレースを運ぶことができました」
「小林さんも終盤タイヤがキツかったと思いますが、最後まで集中力を切らさず走ってくれたと思います。この優勝でウェイトも増え、次のレースは厳しい戦いになりますが、クルマのバランスも良くスピードもあり、長距離のレースなのでチャンスは続くと思っています」
小林崇志選手のコメント
「信じられない気持ちです。野尻が後続に10秒くらい差をつけてボクにつないでくれました。序盤燃料が重い時にペースが上がらなくて後続車がミラーに写り始めギャップが縮まってしまいました。その後燃料が軽くなってからペースを取り戻すことができてまた差を広げることができました」
「しかし、最後の5周くらいはしんどくてペースをなかなか上げられませんでしたが、なんとかギャップを築くことができて逃げ切れました。ボクは今年500クラスに復帰できて、その年にこうやって勝つことができて、しかもダブルウインで本当に支えてきて下さった皆さんに感謝します」