スーパーGT第5戦富士で3位フィニッシュを果たしたZENT CERUMO LC500の立川祐路と石浦宏明 2017 AUTOBACS SUPER GT Report
FUJI GT 300km RACE
第5戦 富士スピードウェイ
ZENT CERUMO LC500
#38 立川祐路/石浦宏明
◆8月6日(日) RACE
決勝結果 3位
<公式予選>天候:曇り コース状況:ウエット
チャンピオンシップを考えると、この第5戦富士ではなるべく得点を稼いでおきたいラウンドだったものの、走り出しからオーバーステアに見舞われ、公式予選では若干の苦戦を強いられたLEXUS TEAM ZENT CERUMO。明けて8月6日(日)の決勝日は朝から晴天の下で酷暑となり、チームスタッフたちは大粒の汗をかきながらピットウォーク等のイベントでファンと接した。
今回の第5戦の決勝レースは、ふだんのレースよりも少々遅めの午後1時50分から、決勝レースを見据えたウォームアップ走行が始まった。チームは前日の公式予選から、よりバランスを高めるためのセットアップを施し立川祐路にステアリングを委ねたが、やはりオーバーステアの症状が消えていなかった。20分間という短い走行のなかで、走行終了ギリギリまでらにセット変更を続けたものの、最後にステアリングを握った石浦宏明もやはりいい感触が得られなかった。
そこでチームは、午後2時10分から始まったグリッドウォークの間で、さらにセットアップ変更を施す。ギャンブル的な要素もあったが、良い方向にいかなければレースではジリジリとポジションを下げるだけになってしまう。果たしてセット変更は功を奏すのか……。午後2時10分、立川はZENT CERUMO LC500のステアリングを握り、パレードラップに出走していった。
1周のパレードラップ、そしてフォーメーションラップを経て迎えたスタート直後から、立川はセットアップ変更がうまくいっていることを感じ取った。ZENT CERUMO LC500は決勝を見すえたタイヤ選択を行っており、ライバルたちが少しずつタイヤが厳しくなりはじめると、硬めのタイヤを履く立川によって、オーバーテイクショーが展開されはじめた。
序盤こそ6番手だった立川は、6周目にGT300クラスの車両が前方に出現しはじめると、まずは9周目に前を走る#17 NSX-GTをオーバーテイクし、5番手に浮上。さらに11周目には、4番手の#24 GT-Rにターゲットを定める。
ただ、#24 GT-Rはストレートが速く、燃料流量リストリクターの制限を受けているZENT CERUMO LC500は、なかなかスリップストリームを使うことができない。しかし、そこは百戦錬磨の立川。22周目のパナソニックコーナーでうまく#24 GT-Rのインをうかがうと、続く23周目のTGRコーナーで#24 GT-Rのインへ。これで4番手に浮上し、さらに3番手の#36 LC500に追いつき始めた。燃料流量リストリクターでZENT CERUMO LC500より厳しい条件の#36 LC500に負けるわけにはいかないとばかりに、立川は27周目のTGRコーナーで一気に3番手へ浮上した。
立川のオーバーテイクショーがサーキットを沸かせるなか、GT500クラスでは少しずつピットインのタイミングが始まっていた。LEXUS TEAM ZENT CERUMOも村田卓児エンジニアが、空いているところでピットアウトできるようにタイミングをうかがう。そのとき2番手を走っていた#23 GT-Rに追いつきそうな気配はあったが、30周を終えチームは立川をピットに呼び戻した。
LEXUS TEAM ZENT CERUMOは迅速な作業を行い、コクピットに収まった石浦は猛然とピットアウトするが、ピットロードではすぐ目の前に同時に作業を行った#23 GT-Rが。石浦はタイヤにしっかりと熱を入れ、#23 GT-Rのテールにピタリとつけていく。
石浦は#23 GT-Rをかわそうと、何度もバトルを仕掛けていくが、#23 GT-Rも巧妙なラインどりで石浦に先行を許さない。しかも、50周を越える頃になると、それまでポールポジションから首位を快走していた#8 NSX-GTが石浦の3~4秒前方まで近づいて来ていた。このまま#23 GT-Rをかわし、さらに#8 NSX-GTに迫ることができれば、今季2勝目も可能な勢いだった。
しかし、サーキットを沸かせ続けた#23 GT-Rと石浦のバトルは、最後まで#23 GT-Rが粘りきり、さらに首位の#8 NSX-GTも1.530秒差でトップチェッカー。ZENT CERUMO LC500は3位でレースを終えることとなった。もちろん勝ちたかったレースであり、石浦の表情にも悔しさがにじんだが、予選の状況やウエイトハンデを考えると、この3位はチャンピオンシップでも上々の結果だ。これで立川/石浦のランキングは4位となったが、首位との差はわずか3ポイントに。悔しい無得点となった第4戦の分をきっちりと埋める結果を残した。
ドライバー/立川祐路
「前日までバランスに苦しんでいて、ウォームアップ走行でも改善しきれず、正直レースは厳しくなるかと思っていましたが、グリッドで合わせこんだものが良く、レース序盤はいいバランスで戦うことができました。僕たちは硬めのタイヤを選んだこともあり、ライバルたちのタイヤが苦しくなったときにミスを誘ってオーバーテイクをすることもできました。それで表彰台圏内に上げることもできたので、最低限の仕事はできたと思っています。昨日までの苦しい状態を考えると、3位という結果はできる限りの挽回はできたと思いますし、シリーズタイトルを狙うにあたって、先に繋がるレースになったと思います」
ドライバー/石浦宏明
「決勝日に向けてクルマを大きく変えましたが、燃料を積んだときのオーバーステアがひどく、僕に交代してからもいまひとつだったので、グリッド上で大がかりな変更を行いました。それが功を奏して立川選手のペースも良く、決勝が今週末で最も良い状態にもってくることができました。僕がドライブしていたときもバランスは良かったですし、タイヤ選択も僕たちが選んだタイヤは状態が良く、前戦いい方向にいかなかった判断が、今回は最後の最後でうまくかみ合ったと感じました。あと1台抜くことができれば良かったですが、ブロックが厳しかったですね。次戦鈴鹿はランキング上位のライバルと同じようなハンデで戦うので、上位勢のなかで最も前でフィニッシュすることができれば、タイトル争いもいい流れにできると思います。次戦が大きな勝負になるでしょうね」
浜島裕英監督
「予選日はあまり状態が良くなく、そこから少しずついい方向が見えてきていましたが、決勝日でさらにクルマを良くすることが結果に表れたと思います。ただ、次戦はウエイトハンデがさらに厳しくなるので、もっとスピードアップをしないといけないと思っています。スタッフ、そしてドライバーがいいクルマに仕上げたことがこの結果に繋がったと思いますので、この3位を踏まえていいクルマを作っていけば、次戦も結果がついてくると思います」