シンティアム・アップル・ロータス スーパーGT 2017 第5戦富士 GT 300kmレース 公式予選レポート
8月6日(土)、スーパーGT第5戦FUJI 300KMレースが開催されました。Cars TokaiDream28は、第4戦SUGO 300KMの決勝レースで無念のクラッシュを喫したシンティアム・アップル・ロータス(SGT EVORA)を、実質2週間を切る短い期間で修復。これを第5戦へと間に合わせることに成功しました。
今季2回目となる富士スピードウェイは、レギュラーレースと同じ300KMのショートディスタンス。チームはこの超高速サーキットでのレースを、加藤寛規/高橋一穂選手とともに闘います。
■公式練習走行
8時50分から始まった公式練習走行は、まずエースドライバーである加藤寛規選手が、蘇ったEVORAのコンディションをチェックするべくステアリングを握りました。そして今回チームはマシンを単に修復するだけでなく、現在のエアロシステム(Ver.2.0)に、富士専用となる『ロードラッグ仕様』のアップデートを施してきました。
もっとも特徴的な造形の変化は、バンパーに付けられた『フリックボックス』。そしてこれ以外にも前後フェンダーの形状を変更することによって、第3戦(富士)と同等のダウンフォースを発揮しながらも、より空気抵抗の少ないボディ形状を実現しました。
序盤で加藤選手はマシンの様子を確かめつつも、計測4周目に1分38秒844、翌周に1分38秒540をマーク。走り出しとはいえこれはトップ10に入るタイムであり、EVORAはいきなり苦手の富士スピードウェイで、アップデートの効果をみせつけました。
その後も加藤選手は予選に向けたメニューをこなしながら、セッション終盤に1分39秒323までタイムを更新。その後も39秒台を連発し、高橋一穂選手にマシンを託しました。
しかし公式練習走行終盤においてEVORAにパワーステアリングのトラブルが発生。高橋選手としてはこれから……という状況で、マシンをピットへと戻すことになってしまいました。
ただ、この早期の判断によってチームはシステムを丸ごと交換し、無事に予選へ臨むことができました。結局タイムは加藤選手が序盤で出した1分39秒323がベストとなり、シンティアム・アップル・ロータスは10番手で公式練習走行を終えました。しかしこれはJAFーGT勢のなかではTOYOTA PRIUS GT勢に次ぐタイムで、マザーシャシー勢のなかではトップという素晴らしい結果でした。
■公式予選1回目(Q1)
公式予選一回目(Q1)は、定刻通り14時35分からスタート。天候は曇りながらも路⾯はドライ、気温は27℃、路⾯温度は33℃というコンディションでした。予選は公式練習走行の状況からQ1を加藤選手が担当。FIA-GTマシンがいちはやくタイヤを暖めてタイムを刻み出すなか、いつも通りじっくりと間合いを取ってアタックに臨みました。
アタックに入った計測3周目、加藤選手はまず1分39秒642をマーク。しかし上位陣は38秒台中盤でトップ争いをしており、まだEVORAはQ1突破圏外の16位付近でした。しかし計測4周目に入ると、加藤選手は1分38秒813をマーク!順位も一気に11位と、EVORAはQ1突破圏内に入りました。
そしてラストアタックでは、セクター1で0.144秒、セクター2では0.120秒とベストを更新し、さらなる順位アップの期待が……。
しかしセクター3では0.263秒遅れ、タイムは1/1000秒アップの1分38秒812に留まりました。結局EVORAは12位という順位で、Q1を突破しました。ちなみに今回の予選Q1は、トップからQ1突破の14位までが38秒台のなかでひしめき合うという、極めて熾烈な闘いでした。
■公式予選2回目(Q2)
GT500のQ1を挟んで10分後に行われたGT300クラスの公式予選2回目(Q2)は、15時20分から始まりました。公式練習走行で満足な周回数を得られなかった高橋一穂選手は、一周でも多くアタックラップのチャンスを作るべく、いちはやくコースイン。
そしてタイヤが発動し始める計測3周目には1分41秒台、その後も1分41秒004、1分40秒331と、着実にタイムを縮めて⾏きました。こうして迎えた計測5周目の最終アタックでは、セクターごとに自己ベストを更新。
しかしセクター3ではタイムアップすることができず、惜しくも39秒台の自己ベストを記録することはできませんでした。しかし少ない走行時間のなかで、加藤選手との差が1秒5へ縮まったのは、決勝レースに向けて大きな収穫となりました。
この結果からシンティアム・アップル・ロータスは、明日の決勝レースを14番グリッドからスタートすることになりました。
Cars Tokai Dream28シンティアム・アップル・ロータス
チーフエンジニア 渡邊信太郎
「タイヤテストができなかった影響から、選んだタイヤの前後のピークがずれてしまい、加藤選手の最終アタックは惜しい結果となってしまいました。リヤのグリップが予想よりも早く低下して、動きがピーキーになってしまったようです」
「マシン的には無事に走らせることができただけでなくアップデートの効果も確認でき、ホッとしています。またこの予選結果から、明日に向けてのセッティングをこれからさらに煮詰めます。このセットアップは次戦の鈴鹿にもつながるので、明日はしっかりマシンを走らせたいと思います!」
ドライバー:加藤寛規選手
「まずはQ1を通って、本当によかったです。アップデートの効果に関しては、正確なところはわかりません。テストができていれば、もっと力を発揮させることができると思うのですが。でもこうした苦しい状況で、チームはがんばってくれていると思います」
「明日は天候がどうなるか読めないので、展開が本当にわからないですねぇ!それでもベストを尽くしますので、応援よろしくお願いします。」
ドライバー:高橋一穂選手
「自分は周回数がタイムに大きく影響するので、公式練習走行でのマイナートラブルは痛かったですね! 予選は、セクター3でベストを出せなかったことが大きな反省部分です。でも、39秒台に入っても順位は変わらなかったですよ(笑)。だからもっともっと周回数を重ねたいですね。決勝は、がんばって走ります!」