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GT500予選《あと読み》次々と脱落する有力候補チーム。その時、何が起きていたのか

2017年08月06日 09:32  AUTOSPORT web

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優勝候補に挙げられながら、予選でまさかの最下位になってしまったRAYBRIG NSX-GT
2戦連続でARTA NSX-GTがポールポジションを獲得することになったスーパーGT第5戦富士のGT500クラスの予選。ウエイトハンデの軽いNSX勢が上位に来ることは事前から予想されていたため、ARTAのポールは特段、驚くような出来事ではない。ただ、ARTA以下の順位に目を移すと、予想外とも言える予選結果となった。

 ドライバーズランキング3位でウエイトハンデが重いau TOM’S RC Fが3番手を獲得したことや、今季不振に喘いでいたMOTUL AUTECH GT-Rが2番手のフロントロウに食い込む復調を見せるなどの驚きの中で、一番のサプライズが、RAYBRIG NSX-GTのまさかの15番手最下位だ。

 今回のRAYBRIGはホンダ陣営の中で唯一、2基目のニューエンジンを投入しており、ARTA、4番手となったKEIHIN NSX-GTとともにポールポジション争いに加わると予想されたため、Q1敗退は意外としか言いようがない。

 予選後、RAYBRIGのピット内ではマシンが馬に上がり、セットダウンに近い形でクルマがバラされていた。ホンダの佐伯昌浩GTプロジェクトリーダーは「タイムが出なかった原因は不明です。クルマのフィーリングは悪くなかったようなのですが、とにかくタイムが出ない。何かしら車体に原因があると思われるのですが、朝のフリー走行からすっとそのような状態だったので、(2基目の)エンジンの評価に至っていないというのが、正直なところです」と頭を悩ます。

 トラブルの原因を探しても予選後の段階では原因が分からず、残された要素としては前回のSUGOのファイナルラップのクラッシュの影響が考えられる。

 今回、エンジン交換に至ったように、エンジン周りにクラックが入るほどの衝撃だったということはモノコックにも当然、それ相応の負荷が掛かったことは想像に難くない。RAYBRIGのガレージでは予選後の夜中の現在も調査が続けられていたが、モノコックの精密な検査をサーキットで行うのは難しい。どのような形で決勝を迎えることになるのか、RAYBRIGは決勝日も悩まされることになる。

 今回の富士の予選で原因不明に陥ったのは、RAYBRIGだけではない。ARTAよりもウエイトハンデが軽いWedsSport ADVAN LC500も今回の上位候補に挙がっていたが、予選は14番手。「予選Q1で突然、リヤのグリップがなくなった。その原因を調査中です」と坂東正敬チーム代表が話すように、原因不明のグリップ不足に翻弄されることになった。

 もう1チーム、優勝候補にも挙げられていたカルソニック IMPUL GT-Rの低迷だ。WedsSportよりも軽いウエイトハンデで、ポール争いに加わるものと予想されたが、まさかのQ1ノックアウト。タイヤ選択やセットアップにも問題はなかったようで、低迷の原因がはっきりしない。

 また、2番手のMOTUL AUTECH GT-Rと同等のウエイトハンデだったS Road CRAFTSPORTS GT-Rは、Q1からQ2にかけてセットアップを変更したことが裏目に出てしまったようで、Q2を担当した本山哲は「クルマが跳ねるような状態になって、まともにアタックすることができなかった」と、Q2を振り返る。

 以上のように、原因が判明しているチームはともかく、RAYBRIG、WedsSport、カルソニックと、ポール候補の3チームが原因がはっきりしないまま失速してしまったことで、ウエイトハンデの軽量組が優位とみられた予選順位は覆されることになった。その原因を決勝前までに解明できれば、レースでは大逆転も狙える復調も考えられるだけに、第5戦富士のGT500はスタートしてみなければわかならい、まったく予想のつかない展開になりそうだ。