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AKB48 指原莉乃と渡辺麻友、“2人の物語”の行方は? 「#好きなんだ」にみるグループの今後

2017年08月06日 07:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 AKB48が、49thシングル表題曲「#好きなんだ」のMVを公開した。


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 公式にも「ひさびさの王道“夏ソング”」と謳っているように、「#好きなんだ」は「ポニーテールとシュシュ」「Everyday、カチューシャ」「真夏のSounds good !」といったAKB48を代表する夏ソングを彷彿とさせるストレートなポップチューン。夏ソングとしては、「ラブラドール・レトリバー」以来、約3年ぶりとなる。作詞は秋元康、作曲は「恋するフォーチュンクッキー」を手掛けた伊藤心太郎、MV監督は「言い訳Maybe」「ポニーテールとシュシュ」など、AKB48グループの多くの映像作品を撮影している高橋栄樹だ。


 「#好きなんだ」は、指原莉乃が3連覇を成し遂げた、シングル選抜総選挙楽曲。MVのロケ地は、総選挙の開催地沖縄。晴れ渡る空に、白い雲。MVという作品で、荒天のため無観客での開催となってしまった総選挙での雪辱を見事に果たした形となっている。茅野しのぶが担当した衣装には、AKB48のイメージに強い「チェック」があしらわれ、「ポニーテールとシュシュ」の振り付けも手掛けた牧野アンナはサビに「#」ポーズ、指原の愛称“さっしー”を取り入れたダンスポーズ、映像内では楽曲タイトルの「#」をなぞるように、インスタ映えを狙ったショットが随所に見られる“女子旅ロードムービー”に仕上がっている。


 MVには、冒頭と終わりにそれぞれドラマパートが存在する。そこに登場するのが、指原と渡辺麻友。盟友として、互いに切磋琢磨してきたライバルでもある2人。「カメってさ、ここで生まれてあそこまでずっと砂の上をはって行くんだって」と指原が海を見つめつぶやく。総選挙の開催地であった豊崎海浜公園豊崎美らSUNビーチは、ウミガメの産卵場所として知られている。そして、指原の「ねぇ、競走しようよ」という問いかけに、渡辺が「もうやだよ」と答える。それから2人が海に向かって駆けて行くその様は、AKB48グループの第一線を張ってきた2人の物語を表しているように思えてならない。かつて、前田敦子と大島優子がAKB48の一時代を築いたように、今年でラスト総選挙だった指原と渡辺の2人にとって一旦の綺麗な幕切れとなるMVが「#好きなんだ」であるように感じる。


 総選挙の壇上で、渡辺はグループからの卒業を発表した。時期は年内。注目は、これまでの総選挙において、唯一神7にランクインしている彼女の卒業コンサートだ。今年の総選挙のスピーチにて、総監督の横山由依は、AKB48グループでもう一度東京ドームでのコンサートを開催することを宣言している。遡れば、小嶋陽菜は所縁ある原宿にある代々木第一体育館で、高橋みなみは横浜スタジアムで、卒業コンサートを行っている。AKB48にとって、東京ドームとは特別な場所だ。初開催は2012年。AKB48劇場から東京ドームまでの距離を表した「1830mの夢」というサブタイトルが掲げられ、2014年にも単独とグループコンサートの計3日間を開催している。


 「#好きなんだ」は、その楽曲性から「初期のAKBの輝きを感じる」という声もある。それ故に、次の総選挙シングルでは、次の世代がバトンを受け取る番。AKB48の今までとこれから。そんなことを考えると、東京ドーム公演を開催するのは、今なのだと思う。(渡辺彰浩)