大荒れとなったスーパーGT第4戦SUGOの余韻がまだまだ冷めやらないが、わずが2週間後の今週末、第5戦富士が開催される。レクサス陣営が4戦4勝とランキング上位陣のウエイトハンデが厳しくなる中、第5戦富士はウエイトハンデの軽量組が主役になる。
その中でも最大の有力チームは、ホンダ陣営の5チームだ。前回の不運のセーフティカーで独走優勝を奪われてしまう形となったRAYBRIG NSX-GTはホンダ勢でランキングトップながら、全体ではドライバーズランキング9位。そのRAYBRIGをはじめ、ホンダ陣営は5チームともウエイトハンデが軽く、今まで富士では苦手な印象だったNSXだが、今回はもしかしたら”真夏の富士ホンダ祭り”が見られる可能性もある。
しかもRAYBRIGは今回、ホンダ勢で唯一、シーズン2基目のバージョン2のニューエンジンを投入。これは前回のSUGO戦のファイナルラップでGT300と接触し、クラッシュバリアまでオーバーランした際にエンジン、パワートレイン系にクラックが入ってしまったため、エンジン交換を余儀なくされたという経緯が重なっている。
不測の事態があったとはいえ、「バージョン2はテストでも走行しているので、実績はあります」とホンダの佐伯昌浩GTプロジェクトリーダーが話すように、ホンダ陣営としては今回の富士はなんとしても結果を残さねばならない戦いになる。
ちなみにホンダ陣営としては、前回のSUGOのオープニングラップでKEIHIN NSX-GTのリヤハッチのカウルが外れ飛んでしまったが、その対応として両サイドに留め具を追加して、再発を防止することになった。KEIHINのアクシデントの直接の原因は不明のままだというか、症状としては左側サイドから外れ、車体の右側に向かって剥がれていったという。
一方、そのホンダ陣営と同等に今回の有力候補となるのが、カルソニック IMPUL GT-Rだ。エースの安田裕信が話す。
「ウエイトハンデとしては有利と言われ続けているので、結構、プレッシャーになっています(苦笑)。ここ数戦、軽いんですけど上手くいっていません。第2戦の富士のときは速さはあったけどトラブルが出て走れなくて、前回のSUGOはタイヤ選択を失敗してしまいました。その2回、もったいないレースをしてしまいましたね。今回はドライバー、チームともにミスなくやれれば、そこそこいい結果で追われると思っています。最低でも、表彰台は獲得したいですね」
ニッサンGT-Rは全4チームとも、前回のSUGOでシーズン2基目のニューエンジンを投入。それまで不具合で本来のパフォーマンスが発揮できなかったが、2基目のニューエンジンには安田も手応えを感じている。
「エンジンはパワーが上がったのは実感はあるので、そこを今回の富士の長いストレートで活かしたいですね。今回はドライでしっかりと勝負したいです」
ニッサン陣営としてはカルソニックとともに、フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rもウエイトハンデ軽量組としてチャンスがある。だが、ヨコハマタイヤとしては、この富士はどちらかと言えば苦手な部類。同じヨコハマタイヤを装着するMOTUL MUGEN NSX-GTの武藤英紀も今週末のポイントにヨコハマタイヤを挙げる。
「前回のSUGOではコンディションに合ったタイヤ選択ができませんでした。難しいコンディションでしたが、ドライもウエットも合っていなかった。最善は尽くしましたが、振り返ると、もっとやれることがあったのかなと思います。今回の富士もウエイトハンデは軽いですし、今年はタイヤ選択がキーになっていますけど、タイヤテストも富士でやっているので、今回はいいタイヤを選んでいると思います」
「条件が合えば表彰台に絡められるような、いい結果が出ると思っていますが、タイヤがコンディションに合わずに外れてしまうと、すごく厳しい状況になると思うので、すごくいいか、すごく悪いか、中間はないようなリザルトになるのではないかなと思っています」と武藤。
今年のGT500クラスは特に持ち込みタイヤの選択、そして週末のセッション中のタイヤセレクトが今まで以上にリザルトに直結しやすい、重要なファクターになっている。ヨコハマ陣営だけでなく、ブリヂストン、ミシュラン、そしてダンロップの4メーカーは、土曜から日曜にかけて読めない週末の天候のなかでどのようなパフォーマンスを見せることができるのか。
NSX vs GT-Rのウエイトハンデ軽量組とともに、タイヤメーカーにも注目したい1戦になりそうだ。