都民ファーストの会が9月の都議会で、受動喫煙に関する条例案の提出を検討しているという。朝日新聞などが報じた。
同党は7月の都議選の際、飲食店などの屋内全面禁煙に加え、子どもの受動喫煙防止のため、家庭内や自家用車、通学路を原則禁煙とする条例の制定を公約に掲げていた。有言実行に向け着々と動いている様子だが、ネットでは批判の声も上がっている。
「都民ファの"ファ"はファシズムのファ」「プライベート空間まで入ってくるな」
同党の377政策のうち、基本政策として重点的に注力するものに「スモークフリー社会」が挙げられている。都議選前から
「職場・公共の場所での屋内での禁煙を徹底し、利用客と働く人を受動喫煙から守ります」
「自ら環境を選択できない子どもをタバコの煙から守る東京にしていきます」
と、受動喫煙防止策に積極的な姿勢を見せていたが、今回の報道まで、この政策方針を知らなかった人も多いようだ。政治の家庭介入だという批判や、
「自宅や自家用車のプライベート空間まで、違法でもない事への規制って、もはや狂気の沙汰だろ」
「嫌煙家な私でもさすがにそれはないと思う」
という声が上がっている。中には「禁煙ファシズム」と絡めて「(都民ファの)"ファ"はファシズムのファ」「都民ファシストの会かな?」と揶揄する声もあった。
一方、条例案に賛成する人からは「20歳未満は煙草を吸うのは禁止なのに、受動喫煙で吸いたくないもない人間が煙を吸わされるのはOK!っていう現状がおかしいだけ。全国でやるべきだわ」との声もあり、両者の意見の対立は熾烈さを増している。
日本禁煙学会理事は「子どもの前でも吸うのはニコチン依存症。この機会に禁煙を」とコメント
かねてから禁煙を訴えてきた日本禁煙学会の宮崎恭一代表理事は、キャリコネニュースの取材に対し、都民ファーストの政策に歓迎の意向を見せる。
「都議選で都民ファーストの会が勝ったのは、自民党の受動喫煙に対する問題意識の低さが受け入れられなかったことも要因でしょう。商業主義より、子どもの健康や人権を守ることのほうが大事だ、という一般市民の常識が広がっているのだと思います」
と、条例案の提出も世論の流れと合致していると述べる。家の中で吸えないならどこで吸えばいいんだ、との反対意見は
「吸うのを止めれば済む話。『どこで吸えばいいんだ』と言う人達は、ニコチン依存症です。子どもや非喫煙者の前でも吸うのを我慢できないのは病気のせいだと理解し、治してください。そろそろ止め時なんじゃないですか?と言いたいです」
と一蹴した。法や行政の家庭介入ではないかとの批判も、的外れだと指摘する。
「家庭内での喫煙は児童虐待の枠組みで捉えてよいものだと思います。同じ趣味嗜好でも、麻薬や覚せい剤が禁止されているのは脳を破壊し、個人にも周囲にも大きな危害を及ぼす可能性があるからですよね。煙草も同じです」
健康被害を生み出す原因を黙認し「介入しないことこそ行政の怠慢だ」と反論した。
煙草に向けられる目は、海外でも厳しくなっている。ニュージーランドは2011年、2025年までにスモークフリー社会を目指す方針を発表した。ノルウェーも同様の目標を2040年までに達成しようと動いている。
「日本の禁煙治療は2006年から、一定の条件を満たせば健康保険が適用されるようになりました。吸う人も、煙草に振り回されているという点では煙草の犠牲者です。この機会に禁煙することをお勧めします」
都民ファーストの会が検討する条例案では現在のところ、子どものいる家庭での禁煙は努力義務であり、罰則規定はないとしている。しかし、同会政策顧問である岡本光樹弁護士は以前、キャリコネニュースの取材に対し「(自動車に)子どもが同乗しているときの喫煙には罰則を科すのが望ましいと思います」と、車内での喫煙には罰則を設ける意欲を見せている。