今週末、チェコのブルノサーキットでMotoGP第10戦チェコGPが開催される。第9戦ドイツGPから約1カ月のサマーブレイクを経て、いよいよシーズン後半のスタートとなる。
チェコGPの舞台となるのはチェコ第二の都市であるブルノ。首都プラハの東南約200㎞に位置するブルノサーキットが舞台となる。旧東欧圏のチェコだが、レースの歴史は古く、1930年代から市街地コースでレースが開催されていた。ブルノサーキットは1980年代半ばに建設され、1987年以降、世界選手権のホストサーキットとして、30年の歴史を持っている。
ブルノは1周5.403㎞、左コーナー6、右コーナー8からなるアップダウンに富んだテクニカルサーキット。コース前半は下りセクション、コース終盤は登りセクションに大別される。
メインストレートは約600mと短く、切り返しのコーナーや回り込んだコーナーが多いのが特徴だ。パッシングポイントは比較的多く、レース終盤までポジション争いがもつれた場合は、最終コーナーが勝負のポイントとなることが多い。
昨年の決勝レースはウエットコンディションで争われた。MotoGPクラスの決勝は、スタート時点では雨が上がっており、タイヤチョイスの難しいレースとなった。
レース序盤をリードしたのはアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)とアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)のドゥカティ勢だったが、ドビジオーゾがマシントラブルで後退。その後、イアンノーネがトップをキープするが、フロントタイヤの摩耗によりペースが落ち、序盤は苦戦したカル・クラッチロー(ホンダ)が、乾き始めた路面コンディションの中、ハイペースで追い上げてトップに浮上すると、そのままMotoGPクラス初優勝を達成した。
2位にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、3位にマルク・マルケス(ホンダ)が入賞。上位3名はリアにハードコンパウンドのレインタイヤを選択しており、この選択が結果を分けた。
Moto2クラスではジョナス・フォルガー(カレックス)が優勝、2位にアレックス・リンス(カレックス)、3位にサム・ロウズ(カレックス)が入賞。中上 貴晶(カレックス)は7番手走行中の11周目の7コーナーで、強引にインを付いてきたシモーネ・コルシ(スピードアップ)に弾き飛ばされて転倒リタイアに終わった。
Moto3クラスではブラッド・ビンダー(KTM)が好スタートでレースをリードするが、転倒、代わってトップに立ったジョン・マクフィー(プジョー)が優勝した。マクフィーはグランプリ初優勝、2位にホルヘ・マルティン(マヒンドラ)、3位にファビオ・ディ・ジャンアントニオ(ホンダ)が入賞。鈴木竜生(マヒンドラ)は13位に入賞した。
■後半戦でヤマハルーキー勢の勢いが続くか?
MotoGPクラスの前半戦は、9戦で5人のウイナーが誕生する混戦となった。
前半戦最多の3勝を記録しているマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)は、開幕2連勝を飾り、好調なスタートを切ったが、フランスGPで3勝目を記録したものの、カタルーニャGP以降は表彰台を逃し、ランキング2番手で前半戦を終えた。
代わって前半戦最後のレースとなったドイツGPで2勝目を記録したマルク・マルケス(ホンダ)がランキングトップで前半戦を終了。しかし、2番手のビニャーレスとのポイント差は5ポイントと僅差だ。
イタリアGP、カタルーニャGPと連勝を飾ったアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)は、ビニャーレスが転倒ノーポイントに終わったオランダGPでランキングトップに浮上するも、ドイツGPを8位で終わり、前半戦終了時点ではランキング3番手に後退。ただし、ビニャーレスとの差はわずか1ポイント差。そして、オランダGPで今シーズン初優勝を飾ったバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)はドビジオーゾから4ポイント差のランキング4番手に続いており、ランキングトップのマルケスから4番手のロッシまでの差は10ポイントしかない。
ウエットコンディションの難しいレースとなった昨年のチェコGP決勝では、タイヤチョイスに成功したカル・クラッチロー(ホンダ)がMotoGPクラス初優勝を達成。ロッシが2位、マルケスが3位に入賞している。マルケスはドライの予選ではポールポジションを獲得、ベテランのロッシはブルノのMotoGPクラスでは最多となる通算5勝を記録した経験を持っている。
ブルノは長年、グランプリが開催されてきたコースだけに、各ライダーともコースを熟知している。前半戦で表彰台を獲得した経験を持つヨハン・ザルコ(ヤマハ)、ジョナス・フォルガー(ヤマハ)のルーキー勢の勢いが後半戦でも発揮されるのかに注目だ。
約1カ月のサマーブレイクを経て、勢力図は変わるのか、前半戦と同様に混戦模様が続くのか、チェコGPは今年のチャンピオンシップを占う重要な一戦となる。