NPO法人労働相談センターは8月1日、「スタッフブログ」を更新。退職を申し出たにもかかわらず、辞めさせてもらえない働く人たちから今年6月に寄せられた悲痛な叫びの一部を紹介している。
「残業代を払え」と残して自殺したケースも
退職は働く人の権利だ。民法第627条第1項では、「期間の定めのない雇用の解約の申入れ」の場合、「雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する」としている。会社が辞めさせないのは違法なのだが、実際にはそうした行為を平然と行う企業がある。
退職を申し出たにもかかわらず、会社から強硬な態度に出られる人の声が多い。
「結婚を機に退職を申し入れましたが、『後任が決まるまで辞めさせられない』と辞めさせてくれません」
「退職届を提出したら『そんなワガママが通ると思っているのか』と一喝されてしまいました」
大手コンビニでアルバイトとして働く人物は、他にバイトを見つけたため退職を申し出たところ店長から「勝手だよね。1年働くって言ってたのに」と言われ、退職が認められずに困っているという。
会社と自分の気持ちとの間で感じる葛藤に苦しんだ揚げ句、自ら命を絶ってしまうという最悪のケースも紹介されている。
「勤続11年の兄が自殺しました。2度退職届を出して2度とも社長に受理されませんでした。兄は、社長に『残業代を払え』という遺書を残して自殺してしまいました」
2日徹夜後にゴルフ同行を求めるパワハラ上司
月に4、5日の徹夜は当たり前、朝7時から夜遅くまで働く毎日を送る人物は、徹夜が2日続いた後に上司からゴルフ同行を強要されたという。そうした労働環境に耐えられずに退職届を提出したところ、上司は「どこまでも追い込むぞ」と、まるでヤクザのように脅迫してきたという。
ガソリンスタンドで正社員として勤務する女性は、働いてみたら賃金と労働条件が全く違っていたという。また女性差別が横行するような職場で、それに耐えかねて退職願を提出すると、社長から「もう来月のシフトは入っている」と延々と説得されて帰してもらえなかった。恐怖を抱いた女性は、「仕事を続けます」と不本意な回答をしてしまったという。
退職を申し出た後に会社から「損害賠償で訴える」と脅されることがある。その心境を「檻に閉じ込められた気分です」と表現している人もいた。働く人の苦境がうかがえる。
会社が退職届を受理しない時には、内容証明で退職届を会社に郵送するという手段もある。しかし「お世話になった恩もあるので円満に辞めたいのです」と、できるだけ穏便に退職したいという人もいる。周囲との和を重んじるのは良いことではあるが、心身ともに追い込まれて退職したい時には自分の身を守ることが最優先だろう。