ENDLESS SPORTS
スーパー耐久シリーズ 2017第4戦オートポリス
[予選/7月15日(土)] 3号車 5位
Aドライバー/YUKE TANIGUCHI 5位 PM14:35~14:55 ドライ
Bドライバー/山内英輝 6位 PM15:05~15:25 ドライ
Cドライバー/元嶋佑弥 4位 PM15:35~15:55 ドライ
結果から報告すると、今回のオートポリスは完敗だった。
前回の鈴鹿ラウンドでランキングトップにたった当チームだが決して浮かれることはなかった。というよりも、誰もがこれまで以上に気を引き締めた。
エースの山内は実力で勝つためのセットアップに徹し、「自分の走りでチームを引っ張っていく」と燃えていた。元嶋にとってオートポリスは地元。知っての通り、このST-Xクラスには決勝中の乗車時間が制限されるプラチナ/ジェントルマンドライバーがある。
自由に乗れるのはプラチナ/ジェントルマン以外のドライバー。当チームでは元嶋だ。限りなくプラチナに近い走りを見せ、体力もある。前回の鈴鹿でも頑張りを見せている。
さらにYUKE TANIGUCHも今シーズンは気合いが入っている。速さを追求するために減量。減量すれば体力も落ちる傾向にあるから、大好きなアルコールも抑えている。それぞれが見えないところで頑張っている。
外気温度は28℃。ただ、この温度はガレージ内であって、直射日光のあたるところでは35℃に迫ろうかと言う暑さ。路面温度は50℃を超えるなかで予選は始まった。
AドライバーのYUKE TANIGUCHI。今までは早めにコースに入って、タイムを上げていくと言う形を取っていた。今回は山内たちプラチナドライバーが当たり前にやっている1ラップアタックで挑んだ。
これならタイヤのもっとも美味しいところを使うことができ、タイムもグッと伸びる。もちろん、きっちりとタイヤを暖めないといけないし、アタックするためにクリアラップにすることも必要だ。
残り10分のところでコースに入る。しっかりとタイヤを暖めてアタックに入る。金曜日の練習走行のタイムには及ばないが1分50秒664をマーク。アンダーに悩まされながらのアタック。一度、クリアラップを探して2回目のアタック。
この時は立ち上がり重視の走り方でアタックするが1分50秒728止まり。狙っていた49秒台に届かず5番手。
Bドライバーの山内も、タイヤを暖め、クリアになるように調整しながら走らせる。3ラップ目にアタック開始。YUKE TANIGUCHIの時と同じように、コーナーによっては強いアンダーに見舞われ、思ったような走りができず1分48秒台には入れるが6番手に沈む。
ライバルの1号車からはコンマ5秒落ち、トップのフェラーリからは1秒半落ち。結局、総合ではクラス5番手となってしまった。決勝ではここまでの差は付かないかもしれないが、予選終了後にエンジニア達とミーティングして、どこが足りないのか、話し合い決勝に備えた。
[決勝/7月16日(日)] 3号車 未完走
PM13:24スタート 3時間レース(PM16:25チェッカー) ドライコンディション
朝の8時30分過ぎからGr2(ST-4/ST-5)の決勝レースが行われ、当チームのGT—Rなどが走るGr1(ST-X/ST-1/ST-TCR/ST-2/ST-3)の決勝レースは午後1時20分過ぎ、セーフティーカーを先頭にローリングが始まった。前日同様、外気温度は28℃だが、風が吹いているせいか、わずかだが前日よりは暑さを感じさせなかった。
ピットからグリッドに向かう。いつものことだが、異常事態が発生した。スタートドライバーの山内がグリッド上で待ち受けていたメカニックに、室内がガソリン臭いと報告。すぐにチェックに入り、ギリギリまでチェックするがはっきりとした原因が分からない。このままスタートさせることになる。
スタートして間もなく、山内からガソリン臭がおさまらない。翌ラップには頭がおかしくなってきたと無線で伝えてくる。ピットからの呼びかけにも答えられなくなり7ラップを走りきったところでピットに滑り込んでくる。ほとんど記憶はなく、マシンから降りられない状態になっているため、メカニックが山内をおろす。ドクターに連絡して、メディカルに運ばれる。
ガソリン臭による中毒症状になっていた。「ピットに戻ってきてすいません」「速く走れなくて……」と、意識が飛んでいるなか、繰り返している。その後、市内の病院に運ばれ、検査を行う。大事には至らずよかったが、ひとつ間違えば……。ガレージに戻ってから徹底的に原因を糾明しないといけない事態だった。
その後、原因と思われるパッキンを交換してチェックを兼ねる形で走らせた。ただ、義務周回数には至らなかったので未完走扱い。ノーポイントに終わり、ランキングも4位にまで後退することになってしまった。
次回は10時間という長丁場の富士ラウンド。ポイントも1.5倍となるレースだけに、今回のモチベーションを維持して、今季、初勝利を目指して富士を戦いたい。
[予選/7月15日(土)] 13号車 5位
Aドライバー/小河諒 6位 PM13:00~13:20 ドライ
Bドライバー/高橋翼 5位 PM13:30~13:50 ドライ
Cドライバー/花里祐弥 4位 PM14:00~14:20 ドライ
開幕から連続してお立ち台に上がっている当チームだが、シリーズランキングでトップに立つ86号車との差は、第3戦の鈴鹿ラウンド終了時点で18ポイントにまで広げられていた。
このオートポリスで優勝、もしくは86号車の前でチェッカーを受けないと、自力でのチャンピオンは断たれてしまうことになる。なんとか踏ん張りたかったのだが……。
ピット内でも30℃に迫ろうかと言う暑さの中で始まったGr.2(ST4/5クラス)の予選。
前日のフリー走行でいろいろなセットを試すも、ピタッと決まったセットが見つからない。まさに手探りでいくしかない。そのためか、Aドライバーの小河、Bドライバーの高橋ともに気持ちだけが先行してしまい、攻めすぎた感があった。
総合結果はクラス5番手。食らいつかなくちゃいけない86号車は、A/Bドライバーともに2分4秒台に載せる速さで、合算タイムでは当チームよりも3秒以上も速い。確かにBドライバーの高橋は、オートポリスを走るのが初めてで、まだまだ、タイムが上がる余地は残されている。
小河は細かな部分でタイムを上げられるし、Cドライバーの花里も課題を克服すれば、決勝ではもっと詰められるはずだ。
だからといって、何とかなるかと言うと、セッティングの変更程度で86号車を追いつめられる状況ではないし、他のハチロク勢、S2000など速いマシンがいて、表彰台も厳しい状況に追い込まれている。とにかく、今回のオートポリスではエンドレスらしい粘りの走りでなんとか食い下がるしかなかった。
[決勝/7月16日(日)] 13号車 2位
AM8:34スタート 3時間レース(AM11:36チェッカー)ドライコンディション
Gr.2の決勝レースは、朝の8時30分過ぎのスタート。さすがに暑さはそんなでもないが、やや霧がかかるなど、何が起こってもおかしくない天候の下、レースは始まった。
3列目、5番手からのスタートとなった当チームのハチロク。スタートは小河だ。
スタートダッシュを決めたいところだったが、明らかに遅い。オープニングラップで6番手、2ラップ目には7番手にポジションを落とす。しかも、6番手のマシンに付いていくと言う感じではなく、引き離されていく。
ピット裏では「エンドレスはなにかトラブルを抱えているみたいだ」とライバルチームはささやいているのが聞こえてくる。たしかにそう思われても仕方ない。逃げる86号車が2分4秒台なのに対し、当チームのハチロクは、エースの小河がステリングを握っているのに6~7秒だったのだから……。
じつは当チーム、今回のレースではピットストップのタイミングなどで、最大限タイムロスを抑える作戦で挑んだ。もちろん、セーフティカーが入ったりすれば、この作戦は瞬時に崩れ去ってしまう。でも、ここまで追いつめられた当チームが出きるのはこれしかなかったのだ。燃料は満タン。
とにかく、小河が引っ張れるところまで引っ張る。クラストップの86号車が29ラップ過ぎに1回目のピットストップを行ったのに対し、当チームは45ラップまで引っ張った。
この1回目のピットストップで花里にスイッチ。花里にとっては、これがS耐のデビュー。とはいえ、緊張などしている暇はない。もちろん、ここで緊張してミスをするようだったら、この先のシートはなくなるかもしれない。オーナー一族でもそんなに甘くはない。エンドレスとはそういった厳しさもある。
給油はせず、タイヤ交換のみでコースに送り出す。タイヤ交換もドライバー交代もロスなく済ませ、花里は3番手でコースに戻る。目の前にはS2000、後方にはロードスター。何年も走り続けているベテランドライバーでも厳しい状況の中、花里は3番手のポジションを守ることに成功。
予定通り、5ラップを走りきったところでピットに戻ってくる。
高橋にスイッチ。当然、タイヤは交換しない。燃料は走りきるだけの量しか入れない。ライバル勢よりも少ない2回のピットストップで約40数秒稼ぎだすことに成功した。
高橋は4番手でコースに戻る。55ラップ過ぎ、トップの86号車が2回目のピットストップ。2番手、事実上のトップでコースに戻り、当チームとの差は約40秒弱。チェッカーまでの時間などからすると、1秒以上速いラップタイムで追撃しないといけないことになる。
86号車にトラブルでもない限り逆転はあり得ない。それよりは後方にいるS2000、さらにはロードスターの存在が気になる。当チームのマシンは、この時点で2分7秒台でのラップが限界なのに対し、後方にいる2台は2分5~6秒台と言う驚異的な速さで迫ってくる。
チェッカーまでの残り時間、ライバルたちとのラップタイム差……。机上の計算ではなんとか2番手を死守できる。
しかし、実際はそんなに甘くなかった。なんとか2番手でチェッカーを受けることはできたが、その差はわずか0.9秒に過ぎなかった。あと1ラップ、チェッカーが出るのが遅かったら、完全にやられていた。
いずれにせよ、今回は各自が100%以上の仕事をして守った表彰台だ。これで当チームのハチロクは、2015シーズンの岡山(第4戦)以来続いている表彰台の連続記録をゼッケンと同じ13に伸ばした。
ただ、優勝でもなかったし、絶対条件だった86号車の前でのチェッカーもできなかった。ポイント差は24ポイントにまで広げられ、自力での連覇の夢は断たれてしまった。
今回のオートポリスではやれる限りのことをやって、2番手と言う結果を残すことができたが、まだまだ、課題は多く残されている。1カ月半ある富士ラウンドまでのインターバルで、このいくつもある課題を確実に克服して……。今季、初勝利を目指す。