2017年F1第11戦ハンガリーGP決勝、キミ・ライコネンへのアタックチャンスを得るためにバルテリ・ボッタスと順位を入れ替えたルイス・ハミルトン。しかし、オーバーテイクが難しいハンガロリンクではライコネンを抜くには至らず最終ラップで順位を返すことに。その時の心境をハミルトンに尋ねてみた。
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――なぜ、ポジションを譲ったのですか?
ルイス・ハミルトン(以下、ハミルトン):僕はバルテリ(・ボッタス)よりペースが良かったけど、そのときはまだ無線がきちんと機能していなかったので、チームと連絡できなかった。あのとき、僕はフェラーリと戦うペースがあった。しばらくして、無線が機能し始め、まずチームはバルテリにフェラーリを抜くチャンスを与えたけど、彼はできなかった。 それでチームは僕にチャンスを与えるためにポジションチェンジを行なった。ただ、もし僕もフェラーリをオーバーテイクできず、かつバルテリが直後を走っていたら、再びポジションを戻すという約束をしていた。
――最終コーナーで譲ったのは、だれの判断ですか?
ハミルトン:結局、僕はキミ(・ライコネン)をパスできなかったわけだけど、バルテリが7秒後方に下がり、さらにのその直後にレッドブルが迫っていたから、状況は僕たちが考えていたものよりちょっと複雑になっていた。
バルテリにポジションを譲った後、レッドブルにも抜かれて5位になるリスクがあった。そんなことになったら、最悪だよね。それに死ぬか生きるかという厳しいタイトル争いでは、1点が勝敗を分けることだってある。
でも、それでも僕が自分が信じる正しいことをしようと思った。心の中で自分がこう言ったんだ。『正しいことをしなさい。それは彼にポジションを譲ることです』と。だから、質問に答えるなら、もう一人の自分が下した決断だったということだ。
――今日失った3点によって、タイトルを獲得できなくても後悔はしませんか。
ハミルトン:失ったものは永遠に戻ってこない。大切なことは、これから訪れるチャンスをモノにすること。なぜハンガロリンクの予選で、僕たちはフェラーリのペースに付いていけなかったのかを分析することだ。そのうえで、僕は正しい方法でタイトル獲得したいと思っている。 それはシーズンが始まる前から考えていたことだ。情けは人の為ならずという言葉があるだろう。自分が他人に良いことをすれば、いずれ自分に良いことが戻って来ると信じている。
――あなた言う「正しいこと」とはなんですか?
ハミルトン:速いほうのドライバーにレースに勝つチャンスが与えられるべきという考え方だ。 そうすることで、チームは最大限のポイントを獲得できる。それは僕だけが考えていることではなく、バルテリも同じで、だから彼は途中で僕にチャンスを与えてくれた。僕はいま、これまで経験してきた中で最も強い絆でチームメイトとレースができていると感じている。