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TOYOTA GAZOO Racing 2017年NASCAR第21戦ポコノ レースレポート

2017年08月02日 12:02  AUTOSPORT web

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モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第21戦『Overton’s 400』
モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第21戦ポコノ
カイル・ブッシュが今季初勝利でトヨタは通算100勝目!
トヨタ勢はこの週末の3シリーズ全制覇

“トリッキー・トライアングル”ポコノで今季2度目の開催となったカップ・シリーズでは、カイル・ブッシュがポール・トゥ・ウインで今季初勝利。約1年ぶりの勝利で年間チャンピオン戦の権利を得る“プレーオフ”進出をほぼ確実なものとした。

 また、この勝利でトヨタはカップ・シリーズ通算100勝を達成した。アイオワで行われたエクスフィニティ・シリーズでは今季2戦目の出場となったライアン・プリースがキャリア初勝利。
 
トヨタ・カムリはワン・ツー・フィニッシュ。ポコノで行われたトラック・シリーズでは、クリストファー・ベルが今季4勝目。トヨタ・タンドラはトップ3を独占した。

Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第21戦 Overton’s 400
開催日:7月30日

カイル・ブッシュが今季初勝利でトヨタは通算100勝目!
トヨタ・カムリは6台がトップ10フィニッシュ

 7月30日(日)、アメリカ東部ペンシルバニア州ロングポンドのポコノ・レースウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第21戦「Overton’s 400」が開催された。
 
 6月に第14戦が行われたポコノで今季2度目の開催。「トリッキー・トライアングル」ではデニー・ハムリンが通算4勝(うちトヨタで2勝)と得意にしているほか、マット・ケンゼスも2015年に勝利を挙げている。

 今季序盤は苦戦したトヨタ勢だったが、シーズン後半に入って再三トップ争いを繰り広げており、特にこのポコノでは未勝利(2位2回)のカイル・ブッシュの今季初勝利に期待がかかった。

 30日(日)、今季5度目のポールポジションを獲得したカイル・ブッシュと、予選2番手のマーティン・トゥルーエクス・Jr.が最前列に並び決勝へ。この2台がワン・ツーに並んでレースをスタートするのは今季4度目。

 午後3時22分に2.5マイルトライアングルオーバルを50周、50周、60周の3ステージ合計160周(400マイル:約640km)して競われる決勝レースがスタート。
 
 カイル・ブッシュは順調なスタートで首位をキープしたが、後方、15番手スタートのケンゼスがスピン。混乱状態となった後方グループで多重クラッシュが発生し、1周目から波乱の幕開けとなった。

 ケンゼスの車両ダメージは軽微だったがピットインを強いられ最後尾近くまで後退。再スタート後も、カイル・ブッシュが首位、トゥルーエクス・Jr.が2位、これに4番手スタートのハムリン、8,9番手スタートのルーキー、ダニエル・スアレツとエリック・ジョーンズも続き、トヨタ・カムリ勢が上位を占めての序盤戦となった。

 その後は大きな波乱は無く、ステージ1はカイル・ブッシュが制し、今季8度目のステージウイン。トゥルーエクス・Jr.が2位、ハムリンが7位に入った。

 ステージ2へ向け、各車ピットへ向かったが、ケンゼスは序盤ピットインしていたためピットタイミングをずらし、ステージ1の最後にピットに入ってここでは入らず。他の全車がピットインしたため首位に立った。一方で、ハムリンは痛恨のピットロードスピード違反。29位へと大きく後退。

 ケンゼスとカイル・ブッシュが並んでステージ2の再スタートを切ったが、ハンドリングに苦しむケンゼスをカイル・ブッシュはすぐにかわし、ふたたび首位を独走。

 ステージ2は開始直後と中盤にイエローコーションが発生したため、ピット作戦が分かれた。多くの上位勢が中盤ピットインしたのに対し、ピットタイミングをずらしたハムリンが74周目に首位浮上。一方でカイル・ブッシュは突然のハンドリング不調に見舞われポジションダウン。

 ステージ2終盤、ハムリンは予定通りピット進入禁止になる前にピットイン。カイル・ブッシュを含む多くの上位勢もここでピットへ向かった。
 
 このため、ステージ2でのトヨタ勢は下位に沈むこととなったが、ステージ2終了後、上位勢がピットへ向かうのに対し、トヨタ勢はコース上に残り、トゥルーエクス・Jr.が首位、ハムリンが2位、カイル・ブッシュが5位、ケンゼスが6位、スアレツが7位で再スタート。
 
 首位を逃げるトゥルーエクス・Jr.にハムリンとカイル・ブッシュが続き、トヨタ・カムリはワン・ツー・スリー体勢となった。
 
 ステージ3はイエローコーションの出ない展開となり、残りが35周を切ったあたりから各車グリーンフラッグ下でピットへ。まずワン・ツーにつけていたトゥルーエクス・Jr.とハムリンが入り、カイル・ブッシュはかなり遅らせてピットイン。
 
 全車がピットを終えた時点で、ハムリンが首位、トゥルーエクス・Jr.が3位、カイル・ブッシュは4位につけていたが、他車よりも新しいタイヤの優位性を活かしたカイル・ブッシュが猛追。
 
 143周目にトゥルーエクス・Jr.をかわすと、ハムリンとライバルとのサイド・バイ・サイドの首位争いの後方につけ、144周目に首位奪還。

 首位に立ったカイル・ブッシュはみるみるうちに後続との差を広げていき、最後は6秒もの大差をつけトップチェッカー。今季リードラップやステージウインではトゥルーエクス・Jr.に次ぐ成績を残しながら未勝利だったカイル・ブッシュがようやく初勝利を挙げた。昨年のインディアナポリス戦以来ほぼ1年ぶりの勝利となった。

 そして、トヨタにとって、この勝利は2007年にカップ・シリーズに参戦を開始して以来、記念すべき通算100勝目。2008年のアトランタでトヨタに初勝利をもたらしたカイル・ブッシュが、100勝目も飾ることとなった。

 この勝利で、カイル・ブッシュはシーズン終盤の10戦でタイトルを争う“プレーオフ“進出をほぼ確実なものとした。また、カイル・ブッシュは現在カップ・シリーズが行われているコースのほとんどで勝利を挙げているが、未勝利だったここポコノで勝ったことで、残すはシャーロットのみ(エキジビション戦のオールスターでは勝利あり)となった。
 
 トゥルーエクス・Jr.が3位、ハムリンが4位。スアレツがルーキー最上位の7位、エリック・ジョーンズはステージ3スタート時にホイールが緩むトラブルに見舞われたが追い上げ8位。ケンゼスが9位に入り、トヨタ・カムリ勢は6台がトップ10フィニッシュを果たした。

 次戦第22戦は8月6日(日)、アメリカ東部ニューヨーク州ワトキンスグレンのロードコース、ワトキンスグレン・インターナショナルで行われる。

ドライバー カイル・ブッシュ
「ようやく、という気分だ。今年これまでは不満の残る結果が続いていたが、今日は最高の一日になった。トヨタにとっての100勝目を上げることができ、これまでサポートしてくれたチームやスポンサー、全ての人たちに感謝したい」

「クルーチーフやピットクルーも毎週素晴らしい仕事で支えてくれている。特に今日の最後のピットストップでは、タイムロスは最小限にしなくてはならなかったし、彼らのおかげで勝てた」

NASCAR XFINITY SERIES
第19戦 US Cellular 250
開催日:7月29日
ライアン・プリースがキャリア初勝利!
トヨタ・カムリ、ワン・ツー・フィニッシュ

 7月29日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第19戦「US Cellular 250」がアメリカ中部アイオワ州ニュートンのアイオワ・スピードウェイで開催された。

 この週末はカップ・シリーズとトラック・シリーズが遠く離れたポコノで開催されているため、エクスフィニティ・ドライバーはシリーズレギュラーとスポット参戦ドライバーのみで戦われた。
 
 トヨタ勢では、今季フル参戦しているマット・ティフトに加え、第17戦ロードンでトヨタ・カムリでの初レースながら2位に入ったライアン・プリースと、シリーズデビュー4戦目ながら、2戦目ポールポジションも獲得する速さを見せている19歳のカイル・ベンジャミンが参戦した。

 29日(土)午後2時46分、0.875マイルオーバルを60周、60周、130周の3ステージ合計250周(218.75マイル:約350km)して競われる決勝レースがスタート。
 
 ポールポジションのプリースは、序盤から後続を引き離し、一時は2位に3秒以上の大差をつけ独走。ステージ1を制した。ベンジャミンが3位、ティフトが8位に入った。

 ステージ2スタート前のピット作業でプリースは一旦、6位に順位を落としたものの次第に追い上げ、ステージ2は2位フィニッシュ。ベンジャミンが5位、ティフトは10位となった。

 ステージ3は、4番手からスタートしたプリースがまもなく首位争いに加わり、20周以上に渡って激しいバトルを展開。169周目にこの日2度目のイエローコーションが出されると、再スタートを制し、プリースが首位に復帰した。

 この日は全体的にイエローコーションの少ない展開だったが、終盤に入って頻発。チェッカーまで残り5周というところで発生した多重クラッシュでは、8位での再スタートから上位浮上を狙っていたティフトが巻き込まれてしまった。

 レースは延長され最後の2周“オーバータイム”で決されることに。1位プリース、2位ベンジャミンが先頭に並んで再スタートが切られ、2台による激しい首位争いが展開された。
 
 チェッカー目前のターン4立ち上がりからベンジャミンが並びかけ、2台はサイド・バイ・サイドのままチェッカー。僅か0.054秒差でプリースが逃げ切り、嬉しいキャリア初勝利を飾った。

 2位のベンジャミンもシリーズデビュー4戦目にして初のトップ5フィニッシュ。6位にベテランのJ.J.イェリーが入った。

 次戦第20戦は8月5日(土)、ワトキンスグレン・インターナショナルで行われる。

ドライバー ライアン・プリース
「何と言っていいか分からない。今は言葉が無い。ただみんなに感謝したい。今のこの感情を伝える言葉が見つからない。レースは永遠に終わらないように感じた。とにかくミス無く走ることに集中した。素晴らしいクルーチーフとチーム、そしてトヨタのおかげだ。本当に信じられない」

NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第12戦 Overton’s 150
開催日:7月29日
クリストファー・ベルが今季4勝目
トヨタ・タンドラ、トップ3独占
 NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第12戦「Overton’s 150」が7月29日(土)にポコノ・レースウェイで開催された。

 29日(土)午後1時23分に2.5マイルトライアングルオーバルを15周、15周、30周の3ステージ合計60周(150マイル:約240km)して競われる決勝レースがスタート。

 キャリア2度目、今季初めてのポールポジションを獲得したベン・ローズと2番手グリッドのカイル・ブッシュが先頭に並んでスタートが切られたが、1周目にカイル・ブッシュが首位を奪取すると、みるみるうちに後続を引き離して独走状態に。
 
 その後方ではクリストファー・ベルが2位へ。ローズ、ライアン・トゥルーエクス、マット・クラフトンと続き、イエローコーションが出なかったこともあり、ステージ1はこの順位のままフィニッシュ。トヨタ・タンドラがトップ5を占めた。

 ステージ2も、トップでピットアウトしたカイル・ブッシュが一度も首位を譲らずトップでフィニッシュ。ライアン・トゥルーエクスが2位、ベルが3位で続いた。

 ステージ3は、ステージ2の終盤にピットに入る戦略を採ったクラフトン他数台が先行。カイル・ブッシュは9位で再スタート。しかしカイル・ブッシュは、再スタート直後の3ワイドでの混戦をすり抜け、6位へとポジションを上げたところで後続から接触されてスピン。壁に激しくヒットし、レースを終えることとなってしまった。
 
 このコーションからの再スタートでは、チームメイトのノア・グラッグソンもクラッシュ。カイル・ブッシュ・モータースポーツは一気に2台を失うことに。

 45周目に再スタート。トヨタ勢最上位の3位につけていたクラフトンはパワーステアリングのトラブルに見舞われ後退。代わってトヨタ勢をリードしたのはチームメイトを2台失ったベル。ベルは着実に順位を上げていき、残り7周の54周目には首位に立った。

 ベルが首位を独走する後方では、2位、3位争いが激化するなか、トヨタ・タンドラが速さを活かし、ライバルをかわしてローズが2位、ライアン・トゥルーエクスが3位へ。

 ベルは2秒近く後続を引き離しトップチェッカー。今季最多となる4勝目を挙げ、ドライバーズランキングでも首位に立った。

 ローズが自己最高位タイとなる2位、ライアン・トゥルーエクスは今季3度目のトップ5フィニッシュを果たした。

 次戦第13戦は8月12日(土)にアメリカ北東部ミシガン州ブルックリンのミシガン・インターナショナル・スピードウェイで開催される。

ドライバー クリストファー・ベル
「本当にタフなレースだった。しかしクルーチーフやスポッターを含めたクルーの皆が最高の仕事で支えてくれたおかげで勝てた。この素晴らしいチームで戦うことができるなんて、どれだけ感謝しても足りないだろう。30周目の(ステージ2と3の間の)ピットという作戦は、ステージポイントを獲得するために正しい選択だったと思う」

「しかし、ステージ2終盤にピットインした車両が再スタート時に前に来たことで、かなり後方からのスタートとなりタフな追い上げを強いられた。とはいえ、グランドスタンドの大観衆が見守る前でレースを戦うのは最高の気分だった。彼らに感謝したいし、レースを楽しんでくれたと思う」