2017年08月02日 10:53 弁護士ドットコム
女子大生などが利用する「女子寮」。そのほとんどは男子禁制で、管理人以外の男性が入館できないことになっている。だが、住人の中には、彼氏など男性をこっそりと招き入れる「不届き者」も少なからずいるようだ。
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関東地方のある女性寮も、男性の入館が禁止されている。そこの住人Aさん(21)は「1人暮らしに不安があったこと」が入寮の決め手だったと話す。ところが先日、寮の住人のある女性が、恋人の男性を泊めていたことがわかった。
ほかの住民たちは「何かあったら困る」「連れ込みたいなら1人暮らしして」「女子寮という安心感を害されて少し怖かった」と憤っているという。「女子寮あるある」かもしれないが、今回のように、こっそりと男性を招き入れることは、法的に問題ないのだろうか。小田紗織弁護士に聞いた。
「受験勉強が一段落し、親元を離れて寮に入ると、開放的になってついつい彼氏を女子寮に招き入れてしまうような人もいれば、新生活に不安を感じて、少しでも安心・安全な環境を求めて女子寮に入ってきた人もいるのでしょう。
こういうケースについて、裁判例を探してみましたが、見当たりませんでしたので、ペットのケースを参考にしてみましょう。
賃貸マンションの管理規約に、居室内でのペット飼育が禁止されていながら、これに反してペットを飼育した場合、ペットの飼育禁止を命じられたり、契約違反(債務不履行)だとして賃貸借契約の解除による部屋の明け渡しが認められた裁判例があります」
女子寮についてはどうなるのだろうか。
「同じように、女子寮に彼氏を招き入れた人は、寮の規約に反したことになります。今後、男性を寮に入れないように求められたり、退寮を求められることもあるでしょう。
ただ、寮の管理者や賃貸人(大家さん)が求めることができるのであって、ほかの入寮者は、男性が寮にいたことが原因で何か損害を被らなければ、損害賠償などを求めることはできないでしょう。
ペットの場合であれば、ほかの住人が飼っているペットに襲われケガしたり、トラウマとなり引っ越したケースで、ペットの飼い主に治療費のほか、引っ越し費用も賠償してもらうことはあります。ただ、女子寮に男性が入っただけでは、引っ越し費用までは難しいでしょう。
たかが1度のルール・マナー違反や挨拶ができていないことでも、不信感を与えてしまい、のちに大きな近隣トラブルの原因になったりします。日常生活でルール・マナーを守ることは、日々積み重ねることでお互いの生活を快適するものです」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
小田 紗織(おだ・さおり)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士を目指し活躍中。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/