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『カンナさーん!』主題歌歌唱の渡辺直美とブルゾンちえみにみる、“芸人と音楽”の新潮流

2017年08月01日 16:02  リアルサウンド

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 渡辺直美が主演を務めるドラマ『カンナさーん!』(TBS系)の第1話が7月18日に放送され、平均視聴率は12.0%(以下・関東地区、ビデオリサーチ調べ)と好スタートを切った。このドラマ、内容もさることながら、その主題歌にも注目が集まっている。


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 ドラマの主題歌は、AIによる「キラキラ feat. カンナ」なのだが、タイトルにある通り、この楽曲にはフィーチャリングボーカルとして主人公・カンナ役の渡辺直美が参加。パワフルでポジティブなAIのイメージが作品のテイストにぴったりだったため、本作のプロデューサーが渡辺とのデュエットソングを熱烈オファーしたことから実現。偶然にもAIと渡辺は5月にステージ上で初共演を果たしており、それ以来「絶対にまた一緒にやろうね」と約束してたため、2人にとっては念願の再タッグとなったようだ。楽曲も、AIとUTA(for TinyVoice,Production)によるサウンドと、AIによる前向きな歌詞、何より2人の力強い声が圧倒的な陽のパワーをもたらしており、ドラマをきっかけに渡辺の持つ歌手としてのポテンシャルも一層話題になることだろう。


 渡辺はダイナマイトボートレースのCMソングでBENIとともに歌唱していたり、ビヨンセやレディ・ガガのハイクオリティな形態模写を鉄板ネタに持つ芸人ということもあり、音楽との相性は抜群な存在なのだ。


 今年はほかにも、女性芸人と音楽についての大きな話題がある。先日『ミュージックステーション』に出演したブルゾンちえみもその一人だ。オースティン・マホーンの「Dirty Work」を持ちネタのBGMとして使用し、昨年末からブレイクの波に乗ると、楽曲自体のダウンロード売上も急上昇。先日発表されたレコチョク社の2017年上半期洋楽ダウンロード部門では1位に輝くなど、社会現象に近い盛り上がりを記録した。


 芸人と音楽については、リアルサウンドでも度々話題に上げてきたが、これまではいわゆる“音楽も自作自演するネタ”から派生したオリジナルソングをリリースし、その楽曲が社会現象を起こすというものだった。しかしこの2人に関しては、既発曲をネタに使用し、その楽曲もともにブレイクするという、ある種“キュレーター”的な役割を果たしている。


 先日の対談で、音楽ジャーナリストの柴那典氏は「アメリカのビルボードでトップに立ったRae Sremmurd『Black Beatles』もオースティン・マホーン『Dirty Work』も、同じように捉えることができる」とし、「『Black Beatles』はマネキンチャレンジに使われたことで多くの人に広まり、チャートを制しました。『音楽と関係ない何かに使われてブームになった曲が1位になる』という意味では、世界的な状況とシンクロしている」と、現在の日本で起こっている洋楽のヒットソングと世界の潮流がマッチしていることを指摘していた。(参考:2017年上半期チャートに見るJ-POPの現状とは? http://realsound.jp/2017/07/post-91623.html)


 音楽の聴かれ方も買われ方も変わりつつある現在。この現象がある種の“ヒットの法則”になっているとすると、2017年後半以降もお笑い界から新たなキュレーターが続々と登場すれば、沈みがちだった洋楽需要に一筋の光が指すことになるのかもしれない。(向原康太)