ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催された伝統の耐久レース『第69回トタル・スパ24時間』は7月29~30日、決勝レースが行なわれ、アウディスポーツ・チーム・サンテロックの25号車アウディR8 LMSが優勝を飾った。アウディにとってスパ24時間での勝利は2014年以来3年ぶり、通算4回目となる。
現地29日(土)16時30分にスタートが切られた24時間レースは、ジュール・グーノン/クリストファー・ハーゼ/マーカス・ウィンケルホック組25号車アウディが2位のベントレー・チームMスポーツ、8号車ベントレー・コンチネンタルGT3に11.862秒の差をつけトップチェッカーを受けた。
予選19番手からスタートした25号車アウディはレース序盤から安定したペースで周回を重ね、多くのマシンがトラックリミット違反やピット作業違反によるペナルティ、クラッシュなどのアクシデントで順位を落としていくなか、順調にポジションを上げていく。
そしてレース終盤になるとトップ3圏内に入り、チェッカーまで残り3時間を切った頃には首位を走るAKKA ASPの90号車メルセデスAMG GT3に肉薄。25号車アウディを駆るハーゼと、90号車メルセデスのラファエル・マルチェロは約2時間にわたってテール・トゥ・ノーズの接近戦を演じた。
勝負がついたのはフィニッシュまで残り約1時間となって迎えた最後のピットストップタイミング。先にピットに戻った90号車メルセデスは、通常のピット作業時間でコースに戻ると最終スティントで競技規則で定められた1スティントの最大運転時間を超過してしまうため、作業後に約1分間の時間調整を行う。
一方、最大運転時間内に収まるタイミングでピットに戻った25号車アウディはルーティン作業ののち、即座にコースイン。これにより25号車アウディが90号車メルセデスを逆転し、首位に躍り出ることに成功する。
アンカーを任されたハーゼは、最後のピットストップ後に2番手に浮上した8号車ベントレーとの間に築かれた約10秒のギャップを保ったまま最終ラップのフィニッシュラインを駆け抜けた。
2004年に活動を開始したチームにとって、スパ24時間制覇は初めての経験。
ベテランのウィンケルホックは2014年以来2度目の勝利となったが、アウディ・ワークスドライバーのハーゼと南フランス出身のグーノンは初の栄冠。なお、グーノンは今回のレースがアウディチームでの初レースだった。
アウディスポーツ・カスタマーレーシングのクリス・レインケ代表は「素晴らしいパフォーマンスを発揮したチームとドライバーに、心からの祝辞を贈りたい」とコメントするとともに、大会プロモーターのSROによるレース運営を称賛した。
「2017年のスパ24時間は、ステファン・ラテルのオーガナイズと、クラウデ・スーモンのマネージメントによる絶妙な実力均衡策により、これまでになく過酷な展開となった」
「どのチームも実力が拮抗しており、優勝への道はすべてのチームにとって過酷なものだった。今週末のレースは、GT3レースの見どころを余すところなく伝える素晴らしいものだったと思うよ」
アウディ勢は優勝した25号車アウディのを含め4台のR8 LMSがトップ10圏内でフィニッシュ。それぞれにチームの順位は以下の通りだ。
1位 アウディスポーツ・チーム・サンテロック 25号車アウディR8 LMS(クリストファー・ハーゼ/ジュール・グーノン/マーカス・ウィンケルホック)
5位 アウディスポーツ・チームWRT 2号車アウディR8 LMS(クリストファー・ミース/コナー・デ・フィリッピ/フレデリック・ベルビシュ)
6位 アウディスポーツ・チームWRT 1号車アウディR8 LMS(アントニオ・ガルシア/ニコ・ミューラー/レネ・ラスト)
9位 アウディスポーツ・チームISR 76号車アウディR8 LMS(ピエール・カッファー/ケルビン・バンデル・リンデ/フランク・スティップラー)
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11位 アウディスポーツ・チームWRT 5号車アウディR8 LMS(マルセル・ファスラー/アンドレ ロッテラー/ドリス・バンスール)