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86/BRZ第5・6戦:スーパーGTでも好調の平中が十勝で2連勝。ランキング3番手へ

2017年07月31日 18:12  AUTOSPORT web

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平中克幸(GY RACING 86)
十勝スピードウェイを舞台に、TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Raceは昨年に続き、ダブルヘッダー大会を開催。前週のスーパーGT300クラス優勝で勢いづく、平中克幸(GY RACING 86)がプロフェッショナルシリーズで連勝を飾り、クラブマンシリーズでは神谷裕幸(N中部ミッドレススノコ86)と手塚祐弥(栃木スバルBS BRZ P.MU)が優勝を分けあうこととなった。

 今年初めてのダブルヘッダー開催となった、十勝での第5大会を前に、プロフェッショナルシリーズではひと騒動が起こっていた。

 第3戦の上位陣に対し、ダンパーの提出を求めて改めて車検を行なったのだが、優勝した青木孝行(ケーエムエスフェニックス86)と、3位の佐々木雅弘(小倉クラッチREVO86BS)が規定以上のガス圧だったことが発覚。なんと失格になってしまったのだ。

 すでに正式結果が発表となっているため、当該レースの結果はそのまま生かされるものの、ポイントが剥奪される(繰り上げはなく、空位のまま)とともに、ペナルティとして第5戦の10グリッド降格が命じられる。そのため、佐々木こそランキングのトップを守ったものの、青木は近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC86R)に抜かれ、ランキング3番手へと後退してしまう。

 また、今大会は予選を1回のみ行い、そこで第5戦のグリッドを決めるのに対し、第6戦は第5戦のベストタイム順で決められることに。特別規則で予選と2回の決勝通じ、タイヤは6本までと定められたことが騒動に拍車をかけることとなった。

 そんななか、第5戦のポールポジションを獲得したのは平中克幸(GY RACING 86)で、練習からの好調ぶりを予選でも遺憾なく発揮。2番手につけた服部尚貴(OTG DL 86)から1秒以内に21人が続いたのに対し、平中はコンマ3秒も引き離していたのだ。

「練習中からこのぐらいの差をつけていたんですが、専有走行だけ差が詰まっていたので、元に戻った感じです。十勝はホームコースで、実際にはそんなにレースしていないんですけど、やっぱり得意というのはあるんですよ。似たようなコーナーが多くてカント(勾配)がついていないから、ステアリングの切り始めとかブレーキングポイントが分かりにくいというのがあるんでしょうけど、僕は(笑)。前回の岡山からタイヤも良くなってきたので、そろそろ勝ちたいですね」と平中。

 3番手は新田守男(AREA86倉敷)がつけ、4番手は阪口良平(大阪トヨタ86レーシングBS)が。一方、佐々木は「去年もそうだったんですが、どうにもこのサーキットは苦手で」と18番手に留まり、青木に至っては最下位でギリギリ基準タイムをクリア。明らかにタイヤを温存していた。

 第5戦決勝レースで、絶妙のスタートを切ったのは服部だった。1コーナーで平中のインに飛び込み、トップに浮上。しかし、平中もまったく遅れをとることなく、服部に食らいついていく。予選5番手だった山田もまた好スタートを切って3番手に浮上、新田を従えた一方で、阪口はコースアウトで大きく順位を落としていた。

 トップ争いは、早々に服部と平中の一騎討ちに転じていく。背後でプレッシャーをかけ続けていた平中は、1コーナーでの服部のワンミスを見逃さなかった。「2~3周目のうちにタイムを出すつもりが、どうにもしっくりこなくて、ブレーキングで詰めようとしたら、膨らんでしまって」と服部。

 1コーナーで並んで、続く2コーナーまでに平中が前に出る。しかし、服部もまた平中に食らいついていって再度逆転を狙ったものの、チャンスは最後まで訪れず。逃げ切った平中が昨年の開幕戦以来となる、久々の優勝を飾ることとなった。

「僕のスタートも悪くなかったけど、それ以上に服部さんが良くて。それでも遅れることなく付いていったら、コーナーがつらそうで。1コーナーの膨らんだところを、うまくとらえることができました。このコースで、本当に勝ちたかったんです!」と平中。

 しかし、そんな絶好調の平中でもファステストラップは奪えず。ピットスタートとした青木と佐々木がファステストラップ、そして3番手タイムをマークして平中をサンドイッチ。その順で第6戦決勝に挑むこととなった。「なりふり構わずと言われても仕方ない。ペナルティも受けていたし、規定を生かしたまでのこと」と青木。

 第6戦決勝では、またしても好スタートを切った山田がひとつポジションを上げて4番手につけるも、トップ3のポジションはそのままに1コーナーをクリアする。が、その直後の中団でアクシデントが発生。1周を経過した直後に赤旗でレースは中断される。スタート時のグリッドからの再開となり、山田のジャンプアップは水の泡と化す。しかも、周回数は当初のままながら、セーフティカースタートとされる。

 SCの先導は2周に渡り、ようやくバトルが再開されることに。青木はリスタートを決めることができず、平中と佐々木を背後に置いたまま。やがて近藤も近づき、3周目には4台でのトップグループが形成される。このなかでさっそく動いたのが佐々木だった。7周目の3コーナーで平中に迫るも、ここでの逆転は許されず。しかし、そこから先で平中、青木を相次いでかわしてトップに佐々木が浮上。青木は近藤にもかわされて、4番手に後退する。

 だが、これにて勝負は決せず。「まわりの人たちはタイヤを使っていなかったから、厳しいかなと思っていましたが思いの外、立ち上がりの蹴り出しが良かったし、終盤に差し掛かっても(タイヤが)まだまだ行けるぞという感触があった」という平中は、10周目の2コーナーで佐々木をかわしてトップに躍り出る。

「僕の力が足りなかった。つくづくそれを感じました」と、佐々木もお手上げ状態。トップに立ってからの平中はラストスパートもかけて、後続を振り切る余裕さえ見せて2連勝を飾ることとなった。「夏休み最高! こうなったら、来週のGTも行きますよ」と力強く宣言した。

 この週末で41ポイントもの荒稼ぎを果たしたこともあり、それまでのランキング8番手から、一気に3番手にまで浮上することともなった。

 佐々木に続く3位は近藤で、青木は再び順位を上げることを許されず。「いい時もあれば、悪い時もある。今日は悪い時だった……」と冷静に結果を受け止めていた。


 クラブマンシリーズの予選では、神谷裕幸(N中部ミッドレススノコ86)が2戦連続でポールポジションを獲得。小野田貴俊(ネッツ東埼玉ワコーズED86)、橋本洋平(カーウォッチBS 86REVO)、菱井將文(CUSCO 86 BS)、そして手塚祐弥(栃木スバルBS BRZ P.MU)の順で続く。

「小野田さんとスリップストリームを使いあって、最初の2周は行ってもらって、次の2周は僕が行かせてもらいました。今回は比較的1発だけじゃなく、けっこう行けたので、そういうのが可能になったんですね。実は十勝は初めてで、平中さんにアドバイスをもらったりしていたんですが、そういうのも効きましたね」と神谷。

 第5戦決勝では、小野田が好スタートを切るも、グリッドの利を活かした神谷は逆転を許さず。しばらくの間、小野田を背後に置いていた神谷だったが、中盤に差し掛かると徐々に差を広げていくようになる。

逆に激しくなっていたのが、橋本と手塚による3番手争い。だが、6周目の4コーナーで接触し、橋本は足まわりを痛めてリタイア、手塚は最後に小野田に迫らんばかりの勢いを見せて表彰台には立ったが、ペナルティが課せられて11位に降格。繰り上がって菱井が3位を獲得した。

「スタートは自分なりにうまく行ったつもりで、そのうち背後がやり合ってくれたので、タイムアタックモードに切り替えることができました。タイヤが最後まで安定していてくれたのが、いちばんの勝因ですね。実はミッションの調子が悪かったので、今日のうちに勝っておきたかったんです。明日は様子を見ますが……」と神谷。

 しかし、神谷は第6戦のポールポジションは奪えず、4番手からのスタートに。上回ったのは手塚、小野田、橋本と、第5戦でしっかり従えたメンバーばかり。それぞれ、しっかりリベンジを誓っていた。

 その第6戦決勝では、またしても小野田が好スタートを決めるが、手塚の前に出るまでには至らず。そのふたりが早々に後続を引き離す。一方、スタートではポジションキープだった菱井が2周目には神谷、橋本を相次いでパス。さらに松井宏太(ネッツ青森アップルRC86YH)を加えた、3番手争いの集団のリーダーとなる。

 しかし、そのなかから駆動系のトラブルを抱えた橋本が4周目にストップ。これで2戦連続のノーポイントに……。ひとつポジションを上げた神谷は菱井を追い続けながら、ペースの鈍り始めた小野田にも迫っていく。

 中盤からは手塚が独走態勢に。逆に小野田は9周目に菱井の逆転を許したばかりか、次の周には神谷にも抜かれて4番手に後退。そんな後続の激しい順位入れ替えを尻目に、手塚は難なく逃げ切って今季初優勝。

「マシンの調子が上がってきて、僕の調子もようやく戻ってきました。今回の勝因はSIMでBRZの後期型、タイヤの感触を再現してもらったこと。それでしっかり練習して、コーナー出口でのリヤタイヤのトラクションのかけ方を、特にしっかり勉強できたんです」と手塚。

 6戦終えて、5人目のウィナーが誕生、クラブマンシリーズのタイトル争いも、より熱を帯びるようになってきた。