ミド・オハイオ・スポーツカーコースで開催されたインディカー・シリーズ第13戦。30日に行われた決勝レースは、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)がライバルを寄せ付けず2連勝を飾り、ランキングトップを奪取した。佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)は、ピットストップで遅れるも速さを見せ、久々のトップ5フィニッシュとなる5位でレースを終えた。
今年からチーム・ペンスキー入りし、第3戦ホンダGPオブ・アラバマで早くも優勝した26歳のジョセフ・ニューガーデン。先々週のトロントでラッキーなシーズン2勝目を挙げ、今日、ミド・オハイオ・スポーツカーコースで予選2番手からシーズン3勝目を記録した。
昨年までの通算勝利数は3勝を、移籍初年度で早くも倍の6勝にし、2連勝によって大量103点を稼いだ彼は一気にポイントリーダーの座に躍り出た。
ツイスティでアップダウンに富む2.258マイルのコースを90周。ミド・オハイオで勝つことは容易ではない。キャリア31勝を誇るウィル・パワー(チーム・ペンスキー)もここではいまだ勝ったことがない。
しかし、ニューガーデンは鋭いアタックで序盤にパワーからトップを奪い、チーム・ペンスキーでの初年度にしてミド・オハイオで勝利を飾った。
見事なオーバーテイクはバックストレッチ・エンドの左コーナーでのことだ。フェイントを入れ豪快にパワーをパスした彼は、後続を大きく突き放しての圧勝を飾った。トロントでの勝利はラッキーに過ぎた感もあったが、今日の勝利は驚くべきパフォーマンスによるものだった。
「この勝利には誰も文句のつけようがないだろう!」とニューガーデンは胸を張った。まさにその通りだった。
ポールを逃す予選2番手で「予選はいまだチームのやり方を含めて勉強中」と言っていたニューガーデンだったが、レースでの彼は先輩チームメイト3人を大きく突き放すスピードを備えていた。その強さはゴールまで一度も揺るぐことはなかった。
「今日の勝利には運はまったく絡んでいない。コース上で堂々と戦い、僕らは勝利を手に入れた」とニューガーデンは喜んでいた。
それもそのはずだ。彼は最後のスティントでブラックタイヤを履いていたが、レッドのパワーたちをリスタートでも寄せ付けず、ゴールまでの20周で5秒の大量リードを築き上げてフィニッシュしたのだ。
2位はパワー。トップとのポイント差は残り4戦で52点となった。ミド・オハイオ前よりも差は縮まっているが、残りレース数もひとつ減っている。
3位は予選4位だったグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)。地元のレースで5年連続トップ5、優勝1回を含む2回目の表彰台という勝負強さだ。ポイントトップとなったニューガーデンとの差は58点だ。逆転チャンピオンの望みを彼はまだ捨てていない。
4位はシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)。ポイント3番手でミド・オハイオ入りしていた彼は、1ポジションダウンの4番手となったが、ポイントリーダーとの差は17点とタイトル防衛の目は十分残っている。ただし、今シーズンの彼には昨年よりも優勝争いに絡む回数が少ないのが気になるところだ。
佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)は予選3番手だったが、レースで表彰台に上ることは叶わなかった。
アンドレッティ・オートスポートのロードコースプログラムが戦闘力を高めていることは今週末に強く感じられたが、今回の琢磨はピットでポジションを落とし、チャンスを失った。
しかし、最後のリスタート後にジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、エリオ・カストロネベス、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)をパス。5位まで挽回してフィニッシュして溜飲を下げた。
「ピットでのトラブルなどもあってポジションを落としましたが、最後のリスタートの後に取り戻せたので良かった。今週末はアンドレッティ・オートスポートが4カー体制で良いパフォーマンスを発揮していたと思います」
「予選でも速さを見せることができていたので、今シーズンに残されているワトキンス・グレンとソノマのロードコースが楽しみになりました。ワトキンス・グレンには事前テストにも行くので、データを集め、今回と同じくプラクティス、予選から決勝まで上位で戦いたいと思います」と琢磨は語った。