ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催されている第69回トタル・スパ24時間は7月29~30日にかけて決勝レースが行われ、アウディスポーツ・チーム・サンテロックのクリストファー・ハーゼ/ジュール・グーノン/マーカス・ウィンケルホック組25号車アウディR8 LMSが総合優勝を飾った。
2017年もブランパンGTシリーズ/インターコンチネンタルGTチャレンジのシリーズハイライトとして行われた伝統の一戦。
2016年のレースはフィニッシュ直前に大雨に見舞われなど混乱も多くあったが、今年は夜間に一時的な降雨があったものの長くは続かず。その結果、比較的安定した天候の下でクリーンなレースが繰り広げられた。
雨上がりの未明、レース前半戦で首位争いを展開していたカスペルスキー・モータースポーツの55号車フェラーリ488 GT3がオールージュでクラッシュ。
これに続くように明け方には、長らく55号車フェラーリと争っていたGRTグラッサーの63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3もクラッシュによりリタイアを喫してしまう。
上位2台の脱落後、レース終盤はAKKA ASPの90号車メルセデスAMG GT3、アウディスポーツ・チームWRTの1号車アウディR8 LMS、チーム・サンテロックの25号車アウディ、そして、ベントレー・チームMスポーツの8号車ベントレー・コンチネンタルGT3などが上位争いを展開した。
そのなかで90号車メルセデスは、スタートから15時間を経過した頃から実質の総合首位を走っていたが、トップ争いの最中で1号車アウディとの交錯などもあり徐々に後続車からギャップを詰められていく。
チェッカーまで残り3時間を切った頃には、1号車アウディを交わして総合2番手に浮上した25号車アウディに数秒差まで接近を許すと、以後はテール・トゥ・ノーズの状況に持ち込まれてしまう。
それでも90号車メルセデスはラスト1時間まで総合首位をキープ。しかし、残り68分で迎えたピットストップで、『1スティントの最大運転時間は65分まで』という競技規則を守るために約1分間の時間調整を強いられてしまう。
このタイムロスの間に通常通りのピット作業を行ないコースに戻った25号車アウディが、フィニッシュまで1時間を切った段階で総合首位に浮上。さらに、90号車メルセデスは3番手を走っていた8号車ベントレーにも先行を許し、総合3番手にポジションを落とす。
チェッカーまでの最後の1時間はトップ4に大きな変動はなく、25号車アウディを駆るクリストファー・ハーゼが8号車ベントレーのマキシム・スーレとのギャップを10秒前後で調整しながらトップチェッカー。非ワークスチームの“伏兵”が、ストラテジーがレース結果を左右する頭脳戦を制した。
終盤に逆転を許した90号車メルセデスも8号車ベントレーとの差を詰めることができず、最終的に総合3位でフィニッシュ。総合4位には今年のル・マン24時間耐久レースを制したティモ・ベルンハルトが率いるクース・チーム75・ベルンハルトの117号車ポルシェ911 GT3 Rが入り、総合トップ4を4メーカーが分け合う結果となった。
日本勢では、千代勝正も駆るモチュール・チームRJN・ニッサンの23号車ニッサンGT-RニスモGT3(千代/ルーカス・オルドネス/アレックス・バンコム)がレース序盤のパンクにより一時20番手台まで順位を下げたが、中盤以降は粘りの走りをみせ、13位でチェッカー。
僚友の22号車ニッサンGT-RニスモGT3(マット・シモンズ/マット・パリー/シュトルアン・ムーア)も最後尾スタートから30位まで挽回。GT-R勢は2台揃って完走を果たした。
一方、注目のエントリーとなったGOODSMILE RACING&Team UKYOの00号車メルセデスAMG GT3(谷口信輝/片岡龍也/小林可夢偉)は既報のとおり、レース中盤に不運なアクシデントに見舞われた影響でリタイアとなっている。
フェラーリのセミワークスチーム、AFコルセから参戦している石川資章は、ロレンツォ・ボンテムペッリ、オリビエ・ベレッタ、フランチェスコ・カステラッチとともに51号車フェラーリ488 GT3を駆り、総合19位/プロ・アマクラス4位でチェッカーを受けた。
ブランパンGTシリーズ次戦は8月25~27日、ハンガリー・ブダペストでスプリトカップが行われる。