7月30日現地時間14時、ハンガリーGP決勝が行なわれた。この日も朝から強い陽射しが降り注ぎ、気温29度、路面温度54度という厳しいコンディションの下でスタートを迎えることとなった。
予選7位のニコ・ヒュルケンベルグはギヤボックス交換のため5グリッド降格ペナルティを受けて12番グリッドとなり、マクラーレン・ホンダ勢は7番・8番グリッドからのスタートとなった。ダニール・クビアトも予選での走行妨害で3グリッド降格を受け16番グリッドとなった。
スタートではクビアトとポール・ディ・レスタだけがソフトタイヤで、それ以外は全車がスーパーソフトを履く。
スタートは各車が無難に切ったが、ターン1ではヒュルケンベルグにヒットされたロマン・グロージャンが押し出され順位を落とす。ターン2ではマックス・フェルスタッペンがブレーキをロックさせ、アウト側にいたダニエル・リカルドのサイドポッドにヒットしてしまう。
ラジエターにダメージを負って冷却水やオイルが漏れ出したリカルドはターン3でスピンしストップ。これでセーフティカー導入となった。これに対しフェルスタッペンには10秒加算ペナルティが科されることとなった。
マクラーレン勢はスタートでカルロス・サインツJr.の先行を許してしまい、順位は首位セバスチャン・ベッテル、2位キミ・ライコネン、3位バルテリ・ボッタス、4位フェルスタッペン、5位ルイス・ハミルトン、6位サインツ、7位フェルナンド・アロンソ、8位セルジオ・ペレス、9位ストフェル・バンド―ン、10位エステバン・オコンとなった。
6周目にレースは再開。直後のストレートからターン1でハミルトンは前のフェルスタッペンを抜こうとスリップに入るが、インを閉じられてアウトに逃げタイヤをロックさせてしまう。
背後のアロンソもサインツのスリップから仕掛けるがオーバーテイクはできず7位に留まる。アロンソはターン1出口で押し出して接触してきたサインツのドライビングに対して「スペースを充分に残さなかった!」と不満を述べたが、スチュワードの審議結果はお咎めなしとなった
首位のベッテルはファステストラップ連発の走りで後続を引き離していく。その後方の各車は2秒前後のギャップで続き、1ストップ作戦を実現するためタイヤをいたわっていく。
次第にフェラーリの2台がボッタス以下を6秒以上引き離して行き、6位サインツも前の5台から1周1秒以上離されていくが、7位アロンソもサインツについていけない。ハミルトンが「(フェルスタッペンを)抜くほどの差はない」と言うようにコース上での追い抜きは難しく、レースは膠着状態に入る。
19周目にはジョリオン・パーマーに引っかかっていたヒュルケンベルグがチームオーダーによりターン1で前に出る。20周目にはスローパンクチャーを検知したグロージャンがピットインを指示されてソフトタイヤに交換するが、左リヤタイヤが締まっていないにもかかわらずコースに送り出してしまい、ターン9でストップしてリタイアを余儀なくされた。
25周目を過ぎるとベッテルは「ステアリングが左に曲がる」と問題を報告し「徐々に悪化している」と訴える。2位ライコネンは「セブに引っかかっている」と言う。
一方メルセデスAMGは序盤からの無線トラブルがまだ完全には解決しておらず、ピットストップに向けて不安を抱えたままのレースを強いられている。
30周目、ボッタスが上位陣では先陣を切ってピットイン。しかしフロントジャッキが引っかかってしまい約1秒のロスを喫してしまった。翌31周目にはハミルトン、32周目にベッテル、33周目にライコネンがピットインし、順位は変わらず。しかしライコネンは「ステイアウトする速さがまだあったのに!」とチームの戦略に不満を述べる。
ステイアウトを続けるフェルスタッペンが首位に立って走行、その10秒後方にステアリングトラブルでペースが上げられないベッテル、そしてライコネン、ボッタス、ハミルトンがそれぞれ1.5秒前後の差で続く。
42周目にはフェルスタッペンがピットインし、10秒ペナルティを消化して13.7秒の静止時間でコースに戻る。これで首位は再びベッテルとなるが、依然としてペースは上がらずメルセデスAMG陣営からも「どうしてこんなに遅いんだ」と突き上げを喰らう。
アロンソは37周目にターン2のアウトからターン3のインへ飛び込んでサインツをパス。しかし42周目にピットインしたバンドーンは停止位置をオーバーシュートしてしまい大きくタイムロスを喫してオコンに逆転を許し11位まで後退してしまう。
45周目まで引っ張ったヒュルケンベルグはピットインで右フロントが外れず大きくタイムロスをして12位まで後退した。
上位では46周目のターン1でボッタスがハミルトンにインを譲り、先行させる。メルセデスAMGはハミルトンにフェラーリに挑戦するチャンスを与え、抜けなかった場合は順位を戻す約束をする。
しかし、ハミルトンもフェラーリ勢を追い詰めるまでには至らない。一方でライコネンは「こんなことを最後まで続けるつもりか?」とチームに順位の入れ替えを要求するがフェラーリは動かない。ボッタスはペースが上がらずハミルトンから大きく遅れてしまい、順位を戻すことができない。
65周目にはメルセデスAMG勢より10周も新しいソフトタイヤのフェルスタッペンがボッタスの1秒後方まで迫ってくる。マッサの代役として急きょ出場したディ・レスタは60周でマシントラブルが発生しピットに戻ってリタイア。ヒュルケンベルグも67周目にピットインしてリタイアとなった。
ベッテルは1秒差でライコネンを従えながら70周を走り切り今季4勝目を挙げた。2位にライコネン、3位には当初の約束通りハミルトンが最終ラップにペースを落とし最終コーナーで順位を入れ換えたボッタスが入った。
4位ハミルトン、5位フェルスタッペンという結果。6位にはアロンソ、バンドーンは10位に入り、マクラーレン・ホンダは今季初のダブル入賞を果たした。7位サインツ、8位ペレス、9位オコンというトップ10だった。