鈴鹿サーキットで行われている、FIM世界耐久選手権(EWC)の最終戦、鈴鹿8時間耐久ロードレースで5番手グリッドを獲得したMuSASHi RT HARC-PRO.ホンダ。同チームから鈴鹿8耐に参戦する中上貴晶が、7月29日に行われたトップ10トライアルを振り返るとともに、30日の決勝レースへの意気込みを語った。
ロードレース世界選手権MotoGPのMoto2クラスにイデミツ・ホンダ・チーム・アジアから参戦している中上。鈴鹿8耐の参戦は2回目となるが、前回2010年の参戦のときは最年少優勝者として表彰台に上ったものの、走行することはなかった。実質的には今大会が鈴鹿8耐の初走行だ。
もちろん29日に行われたトップ10トライアルでのタイムアタックも、中上にとって初めての経験だ。しかし、Moto2ライダーの貫禄をみせ、チームのベストタイム2分6秒671をマークしている。
「正直言って、もっとうまくいったとは思います」と中上はトップ10トライアルの走りを振り返る。
「人生初めてのトップ10トライアルに出場して、あれだけたくさんの人に見られて1周走るというのは経験したことがありませんでした。すごく楽しく走れたましたし、気分はよかったです」
中上がアタックに入ったとき、トップタイムは中須賀克行(ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム)の2分6秒038で、結果的にこれがポールポジションタイムとなった。中上はこのタイムをセクター1で上回ったものの、ダンロップコーナーと最終シケインでミス。中須賀のタイムを上回ることはできなかった。
「もう少しいけたなという部分はありました。ただ、今日の午前中に予選で履くタイヤを試したかったのですができなくて、予選に履くタイヤを最後まで決めきれませんでした」
「(トップ10トライアルでは)一発勝負で賭けに出て、柔らかめのタイヤを初めて履きました。言い訳にはなってしまいますが、それがどれだけグリップするか、どう使っていいかもわかりませんでした」
初めて履くタイヤで、手さぐり状態のタイムアタック。それでも予選5番手タイムを叩き出した。中上はさらなるタイム短縮へ手ごたえも感じたようだ。
「ミスなく、タイヤを午前中に履けていれば5秒台には入ったと思います。ですが、楽しかったですしいい経験になりました。またリベンジしたいですね」
■CBRのフィーリングに手ごたえ
そのタイヤについて、MuSASHi RT HARC-PRO.ホンダは鈴鹿8耐で17インチタイヤを使用する。今年のEWCは16.5インチ、17インチどちらのタイヤを履いてもよいというレギュレーション。チームによって選択するタイヤインチが違う。一般的には16.5インチの方がよいという認識だ。
中上は「1000ccマシンで16.5インチを履いたことがないので17インチとの違いがわからないんです」とした上で、タイヤとマシンの感触についてこう語った。
「チームと17インチでどんどんセットアップしてきました。当初は問題もありましたけど、先週の最終テストではけっこういいところまで煮詰まってきたんです。どんな状況でも、ユーズド(タイヤ)でも自分としては2分7秒台で走れています」
「マシンのフィーリングもいいですよ。テストの状況からどんどん合わせ込んでいきましたし。チームはいい仕事をしてくれていますから」
MuSASHi RT HARC-PRO.ホンダが優勝すれば2014年以来3年ぶり。中上自身としても2回目の優勝だ。
「明日はいい走りを披露したいですね。年に1回の大きな大切なレースなので。チームが優勝できるよう、貢献できればと思います。明日は優勝できるチャンスは大いにあると思うし、絶対に勝ちたいです」
ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームの3連覇をはばむ壁になるか。40回目の鈴鹿8耐スタートの火ぶたは、30日11時30分に切られる。