「鈍臭い人」は、職場で肩身が狭くなりがちだ。筆者は会社勤めで事務をしていた頃、客に出すちらし寿司を廊下にぶちまけたことがある。自分でもいやになるほど鈍臭い社員だった。そんな人間でも、学校を出れば大抵は働かなくてはならない。(文:okei)
7月上旬、ガールズちゃんねるに「鈍臭い方、なんの仕事してますか?」というトピックを立てた女性が、こんな疑問を投げかけていた。
「私は学力も低いし鈍臭いタイプで、いつも失敗ばかりで働くこと自体向いていません。同じように鈍臭いタイプの方、なんの仕事してますか?」
「瞬時に判断出来なくてモタモタしてたら怒られて悲惨だった」
接客業でパイトするトピ主は、働いて4年も経つのにいまだ失敗ばかりでもの覚えも悪く、ひとつ上の先輩がどんどんキャリアアップしていく様子に劣等感を感じている。そりゃあデキる人と比べてしまえば落ち込むものだ。だからといって、「働くこと自体向いていない」と決めつけるのはまだ早い。大事なのは、自分に「向いている」仕事を見つけることではなかろうか。だからそれを訊いているんだろうけども。
スレッドの声は、「接客がダメすぎて、軽作業の工場です」などを初め、ルート配送、ホテルの客室メイクなど、現場で体を動かす仕事をしているという人が多い。「動くのしんどいけど何も考えずに毎日同じ作業だから体力面を除けば楽」というコメントも。だが工場であっても、毎回やり方が変わるような場合は苦しむ人もいる。
「瞬時に判断出来なくてモタモタしてたら怒られて悲惨だった。毎回パターン決まってる現場系やりたい」
また、「臨機応変能力がないので、あまり急な仕事が入ってこない事務職してます」や、「接客業は慣れれば体が勝手に動く。事務は向いてなかった」という人もいて、職種よりも、やる事が決まっているルーティンワークを好む傾向がある。逆に言えば、繰り返しの作業がそれほど苦にならないタイプだ。そういう能力が必要な職場もあるだろう。
手際のいい人も周囲に好かれなければ立場が悪くなる
「1人で黙々と進められる仕事がいいよね」という声も多く、「誰かといると無意識に緊張して動きが鈍くなるんじゃないかな」という分析に筆者も共感してしまう。筆者は在宅で1人仕事をしていて、どうやらこれが向いているなと感じる。
ただ、見方を変えると「鈍臭い」が周囲の人にどう受け止められるかという問題も大きいようだ。
「うちの会社の場合は、どんくさい人よりやる気がない人の方が嫌われます。どんくさくてもやる気がある方がいいですよ!」
と励ます声や、謙遜かもしれないが
「たまたま今の職場はとてもいい人ばかりで、失敗ばかりの私を根気よく育ててくれて、誉めてくれて、自信をつけてもらえました」
という人もいる。こういう場合、確かに周囲がいい人だったかもしれないが、この人自身が誠実に仕事に取り組み、教えれば素直に聞くという態度だったと思われる。だからこそ周囲が助け、人材として生かしたのだろう。彼女は今では新人を教育するまでになったという。
鈍臭くても一生懸命頑張っていれば、温かく見守ってもらえる場合もあるのだ。いやむしろ、手際のいいデキる人であっても、周囲を見下したり態度が悪かったりすれば、少しのミスや誤解でたちまち立場が悪くなる。会社は人が動かしている以上、そんなことが往々にして起こりがちだ。