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F1 Topic:フェラーリ、ザウバーとの提携で若手育成ドライバーのシートを確保か

2017年07月28日 19:42  AUTOSPORT web

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2017年のF2でランキングトップのシャルル・ルクレール
7月27日、午後4時、ザウバーとホンダがロシアGPで決定していた『2018年の提携』を白紙に戻すと発表。それから18時間後の28日、午前10時。ザウバーはフェラーリのパワーユニットを2018年から複数年に渡って搭載すると発表した。 

 当初、ザウバーの2018年のパワーユニットに関しては3つの候補が上がっていた。

 ひとつはメルセデスだ。現在、F1界で最も性能が高いと言われているメルセデスを搭載することに、ザウバー側は異論はない。

 メルセデス側にとっては育成ドライバーのパスカル・ウェーレインのシートを確保できるというメリットもある。しかし、メルセデスはすでにワークスを含め3チームにパワーユニットを供給しているため、4チーム目へ供給するには全チームの合意が必要だった。

 次に候補に挙がったのがルノーだ。フレデリック・バスールはルノーのチーム代表を解任されたが、それはルノーのチーム内においてシリル・アビデブール(ルノー/マネジングディレクター)との権力闘争に敗れたためで、ルノー・スポール本社との関係は良好だった。

 だが、ルノーもすでに3チームにパワーユニットを供給しているため、4チームへ実現するためにはメルセデス同様、全チームの合意が必要だった。また、これを実現するにはギヤボックスをザウバーが開発しなければならないというもうひとつの問題があった。つまり、ルノーにもザウバーにもメリットはほとんどなかった。


 そして、浮上してきたのが3つ目のオプションだ。それがフェラーリだった。ザウバーは今年、1年落ちのフェラーリのパワーユニットを使用しているが、フェラーリとの関係は長く、最近では2010年から搭載し続けている。もちろん、ギヤボックスもフェラーリ製を使用しているため、来年へ向けてリヤエンドの設計は大きな変更が発生することはない。


 フェラーリにとっても、ザウバーへの供給はメリットがあった。それは育成ドライバーのシート確保だ。現在フェラーリが抱えている育成ドライバーのうち、アントニオ・ジョビナッツィがすでにザウバーからF1にデビューしているだけでなく、シャルル・ルクレールも来年に向けてスーバーライセンス獲得することがほぼ確実だ。

 本来であれば、パワーユニットを供給しているハースへ送り込みたいところだが、今年は2人のレギュラードライバーが高い能力を維持しており、そろって残留する可能性が高い。そこで3番目のチームに供給することで、育成ドライバーのためのシートを確保しようというわけだ。

 ザウバーにとっても、シートの提供によってパワーユニットの代金をディスカウントできるメリットがあった。つまり、ザウバー・フェラーリは双方にとってウィン・ウィンの関係だったのだ。