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BREAKERZ、10周年記念ライブで体現したファンとの絆  DAIGO「みんなを一生、大切にします」

2017年07月28日 18:22  リアルサウンド

リアルサウンド

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 BREAKERZが7月15日と16日、豊洲PIT(東京)にて『BREAKERZ デビュー10周年記念ライブ【BREAKERZ X】』を開催した。


参考:“DAI語”の謎解きに挑戦! 10周年記念展示会『BREAKERZ GALLERY “Ⅹ”』体験レポ


 2007年のデビューから今年で10周年を迎えるBREAKERZ。1月に行われた『BREAKERZ 10周年 10番勝負 -VS-』で名だたるアーティストと対バンを繰り広げたことが記憶に新しいが、今回のワンマンでは彼らのファンが集結し、この記念すべきタイミングを盛大に祝うようなライブを観ることができた。本稿では、15日に行われた『【BREAKERZ X】MEMORY』をレポートする。


 『【BREAKERZ X】MEMORY』では、タイトルにちなみ、スマートフォンや携帯のカメラで自由に写真撮影が行えるライブを展開。BREAKERZの華々しいステージを目と耳とカメラで記憶する、ファンやバンドにとっても新しい試みのライブとなった。そのほか、会場には2007~2017年までのBREAKERZの歩みを振り返る写真展示スペースを設置。このメモリアルな日をお祝いしようと、開演前から多くのファンが豊洲PITに詰めかけ、和やかな賑わいをみせていた。


ライブ会場には、メインステージと会場の真ん中に位置するセンターステージ、そして後方のPA卓前に小さめのステージが用意された。会場の照明が落ちるとドクロがデザインされた巨大な時計がメインステージ上の紗幕に映し出され、2007年から現在までの軌跡を振り返る映像が映し出される。バンドの歴史を感じる懐かしい映像が流れ終えたところで、紗幕越しにメンバーのシルエットが浮かび上がり、2007年にリリースされた1stアルバム『BREAKERZ』の収録曲「THE TRAIN’S GONE…」からライブは幕を開けた。このメモリアルなライブのオープニングにぴったりな選曲。中にはこの10年を感慨深く思い返していた初期からのファンもいたことだろう。


 続けて激しいギターが会場に響き渡り、DAIGO(Vo.)の「豊洲PIT、MEMORY、思い切り楽しんでいこうぜ!」という掛け声とともに「WAKE UP MY SOUL」がスタート。新しい衣装である真っ白なナポレオンジャケットを纏う3人の姿は、「ここから新しいBREAKERZが始まる」と主張しているようだった。「Kamisori」では、DAIGOが花道を歩き客席に急接近。花道に押し寄せた観客がシャッターを切り出すと、通常のライブでは見られない光景が広がる。その様子を見たDAIGOは、ファーストMCで「初めてだけど異様な雰囲気だね(笑)。さっきかっこつけてステージの前方に行ったのに、写真に夢中で誰も手振ってくれないんだもん(笑)」と驚きを示しつつ、新鮮なライブ風景をファンと一緒に楽しんでいた。


 MCの後には「ナンゼンカイ…ナンマンカイ…」を爽やかに歌い上げたかと思えば、バキバキのベースソロや重厚なドラムが体の芯に響き渡る「EMILY」へ。途中には、DAIGOが頭を抱えながらステージ上をのたうちまわるエモーショナルなパフォーマンスも見られた。さらにAKIHIDE(Gt)とSHINPEI(Gt)のツインギターが激しいハーモニーを生み出す「LAST † PRAY」が始まり、ゴシック調のサウンドが観客をダークな世界へと誘う。そこから再び曲調がガラッと変わり、疾走感のあるポップナンバー「RUN AND RUN」を披露。10年のキャリアを感じるバラエティ豊かな楽曲群には、BREAKERZが生み出す音楽の懐の深さを再認識することができた。


 ここ数年はバラエティ番組などに引っ張りだこのDAIGO。“うぃっしゅ”や“DAI語”といったネタや、老若男女に愛されるキャラクターで、タレントとしての人気も年々高くなっている。しかし、ステージ上でのDAIGOは、普段テレビで目にするイメージとはまったく異なるものだった。フロントマンとしてバンドを引っ張り、伸びのある力強い歌声でファンを魅了していく姿からは、バンド活動を始めてから現在までひたむきに音楽と向き合い、アーティストとしての腕を磨き続けていたことが伝わってきた。


もちろん、AKIHIDEやSHINPEI、さらにサポートメンバーであるMatsu、MAKOTOの絆も深い。MCでは、AKIHIDEやSHINPEIがこの10年間に対する想いを告白。SHINPEIは「僕の中ではDAIGOさん、AKIHIDEさんというメンバーに出会って、BREAKERZを作ったことだけでもミラクルだったんですけど、10年という長い時間を同じメンバーで歩いてきたっていう、これだけはどれだけお金積んでもできることじゃないし嬉しいです!」と語り、AKIHIDEは「単純計算すると10年×365日=3650日くらいだとして、自分自身、3650日、BREAKERZのことを忘れたことは一度もないんじゃないかなと思います」と、BREAKERZとして過ごしたかけがえのない時間を振り返った。


 ここからは「世界は踊る」「LAST EMOTION」「アオノミライ」と、2008年にリリースされた楽曲を立て続けに披露。「BIG BANG!」では、演奏陣によるソロパートが用意され、プレイヤー同士が火花を散らす激しいセッションを見せつける。阿吽の呼吸でグルーヴを作り上げていくチームプレイは、長い月日を共に積み重ねたからこそ生まれた賜物であり、演奏も10年の歴史の深さを物語っていた。その上、SHINPEIはソロとしてMUSCLE ATTACKのフロントマンを務め、AKIHIDEはAcid Black Cherryのサポートメンバーとしての活動も経験するなど、個々の演奏能力も高い。タレント性の高いDAIGOの存在が、バンドにもたらす影響は大きいだろう。しかし、高い演奏力と厚い信頼関係から生み出されるサウンド、バンドとしての地力が備わっているからこそ、この10年間で、誰しもが認める存在になることができたのだ。


 ライブもいよいよ終盤戦へと差し掛かり、1stアルバムに収録予定だったという楽曲「devil or angel ?」をライブ初披露。最新シングル『夢物語』のカップリングとして収録されている同曲は、10年前と現在を繋ぐ特別な一曲と言える。そこから「GO」を経て演奏された「初恋トランポリン」では、バンドのロゴが入ったカラフルな風船が客席に投下される。さらにメンバーが客席へ降りると、至近距離でその姿を撮影しようとするファンが入り乱れ、客席はカオスな状態へ。<Let’s Jump!!>の歌詞と共に観客を煽りつつ後方のステージに登ったメンバーは、右へ左へとゆるやかにステップを踏むダンスで仲の良さをアピールし、シャッターチャンスを作り出す。後方のファンへの目配せも忘れない、にくいサプライズ演出だ。


 メインステージへ戻ったDAIGOは「もっともっと飛ばしていくぜ!」と叫び、別れた相手への熱い愛を歌うアッパーチューン「激情」を歌唱。そこから畳み掛けるように「NEXT LEVEL」「絶対! I LOVE YOU」をテンション全開で歌い上げる。そしてラストの「Destruction」が始まると、観客とステージが一丸となってヘッドバンキングを行い、興奮さめやまぬ中メンバーはステージを後にした。


 アンコールでは、BREAKERZがバックステージに登場し、今回のライブの感想やBREAKERZ結成時の話などの和やかなトークを展開。結成当時、AKIHIDEを「MCをしないクールなバンドをやる」と言って誘ったというDAIGOが、「AKIHIDEさん、ひとことだけ言わせてもらっていいですか? だましてすみません(笑)」と10年越しに謝罪し、会場からは笑いが起こった。そしてアコースティックバージョンの「Birdman」を演奏した後、会場にきた観客へのメッセージとして「ありがとう ~ Beautiful day~」を歌唱。アンコールの最後を締めた「WE ARE」では、会場全体でシンガロングが起こる。この幸福な瞬間にファンもBREAKERZも満足げな様子であった。


 さらにダブルアンコールで再び登場したメンバー。DAIGOは「本当に今日は何枚も撮ってくれてどうもありがとう。この10年の中で最高の1日でした。どうもありがとうございました」と振り返りつつ、ファンへ感謝を伝える。そして「Angelic Smile」が始まると、3人のメッセージ入りの銀テープが放たれ、ライブはいよいよグランドフィナーレへと向かっていく。


 最後のMCでDAIGOは、この10年間を次のように語った。


 「本当にどうもありがとう。いいことばかりじゃないみんなの毎日を、僕らが照らすことができたらと思って、ずっとBREAKERZをやってきました。でも、10年間やってきた中で、照らされていたのは僕たちのほうだったな、と。みんなが俺たちのことを照らしてくれてたんだなと、心からそう思います。BREAKERZはそんなみんなを一生、大切にします。そして、一生みんなのことを離しません。もっともっと大きくなって、みんなのことを絶対に照らしてみせる。そう思っています。今日、来てくれた全員にありったけの想いをこの曲に込めて送りたいと思います」


 そう語られて歌ったラストナンバーは「光」だった。<どんなに挫けそうな時も 君がそばにいてくれたね 「大丈夫」君のひと言で 僕は何度でもまた歩き出せた>この歌詞は、BREAKERZとファンの絆、互いに支えあってきた10年間を象徴している。DAIGOは「これからもずっと一緒に最高の人生を送りましょう。みんなには俺たちBREAKERZがいるからな!」とメッセージを送り、ステージは幕を閉じた。


 ライブの途中、「僕ら、10年後もまたこういうことができたらと本気で思ってます」と、10年後の約束をファンと結んだDAIGO。これから先も、ファンを支え、ファンに支えられながら、BREAKERZは新たなステージへと進んでいくのだ。(泉夏音)