スーパーGT第2戦富士を制したZENT CERUMO LC500 第4戦の波乱がまだ収まらない、今シーズンのスーパーGT。SUGO戦の2週間後にはすぐに第5戦富士スピードウェイ戦を迎える。今季のGT500クラスはこれまでレクサスLC500が4戦4勝とシリーズを圧倒しているが、果たして第5戦ではその連勝を伸ばすことができるだろうか。
今季4戦4勝、しかもポイントランキングでもトップ5を占めるレクサス陣営。さすがに、次の第5戦富士ではウエイトハンデが厳しくなり、ランキング上位のLC500は優勝争いは厳しそう。それでも、ランキング5位のZENT CERUMO LC500はその中でもややウエイトハンデが軽く(70kg相当)、今季からの燃料リストリクター規制でもランキング4位(89.8kg/h)までとはワンランク(92.4kg/h)優位な状況にある。
そしてさらに、レクサス陣営でもっとも優位な状況にあるのが、WedsSport ADVAN LC500だ。前回の第4戦SUGOはヨコハマタイヤとコースの相性も良く優勝候補にも挙がっていたが、レースでは苦手の雨&GT300のチーム内での同士討ちなど不運が重なり、それまでの21戦連続入賞という記録も途絶える12位という結果に終わってしまった。
次の富士では心機一転、前回の雪辱を晴らすべく、ウエイトハンデの軽さを存分に活かすことができれば、レクサス陣営の全勝をキープすることができるかもしれない。そのWedsSportだけでなく、MOTUL MUGEN NSX-GT、そしてフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rとヨコハマ陣営はそろってウエイトハンデが軽い状態なだけに、タイヤと路面コンディションのマッチング次第では、一気にこの3台が上位を占める可能性もある。
レクサス以外のライバルメーカーに目を移すと、第4戦SUGO予選の結果からも分かるように、ホンダNSX陣営の躍進が著しい。しかも、予選で上位を占めたNSXは決勝ではセーフティカーのタイミングによる不運の周回遅れや、GT300との接触、リヤハッチのアクシデントなどで決勝では結果を残せず、ウエイトハンデはまだまだ軽い状況にある。これまでホンダ陣営にとっては苦手と言われた富士だが、今年はその定説を一蹴するような強さを見せることになるかもしれない。
実際、第2戦の富士戦ではRAYBRIG NSX-GTがレース中のファステストでトップからコンマ3秒落ちの4番手のタイムをマークしており、ホンダ陣営内でも次の富士戦に向けて、手応えを感じている様子が伺えた。
さらには、前回のSUGOではニッサン勢がシーズン2基目のニューエンジンを全4台に投入してきたが、そのニッサンに触発された形で、ホンダ陣営も次の富士にニューエンジンを前倒して投入する動きがある。ただ、全5台すべてではなさそうで、勝負を狙えそうな数台に先行投入されることになりそう。ホンダ陣営としてはズバリ、そのニューエンジン搭載チームが富士での勝負チームとなる。
また、ニッサン陣営としてはウエイトハンデから見ればカルソニック IMPUL GT-Rが14kgで、大本命の1台。カルソニックは昨年8月の富士戦の優勝チームでもあり、条件的には優勝を狙える状況は整っている。ニッサン陣営の2基目のニューエンジンについてはライバル陣営もパフォーマンスを高く評価しており、「SUGOでも最高速は同じくらいに出ていた」と、これまでのウイークポイントは払拭されたと見ている。
前回の富士では雨が降ったり止んだりのダンプコンディションでタイヤ選択が分かれ、アクシデントも多くレースは荒れた。夏場になると予想もしていなかった部分で熱害などでトラブルも多くなってしまう。今季はレクサスLC500が4戦4勝と圧倒的なパフォーマンスを発揮しているが、次の富士戦ではそのレクサス陣営が厳しい状況にあるだけに、GT500は本命なき、混戦の様相を呈している。
一方のGT300クラスは、第2戦富士を制したJMS P.MU LMcorsa RC F GT3と同じく、レクサスRC F GT3を使うSYNTIUM LMcorsa RC F GT3、富士を得意とするポルシェ911 GT3R勢が上位争いの主軸となりそうだ。
SYNTIUM LMcorsa RC F GT3は、第4戦SUGOの公式練習でトップタイムを記録。予選でも3番手につけ、決勝でも5位を獲得するなど速さを発揮。JMS P.MU LMcorsa RC F GT3とはタイヤーメーカーが異なるが、ウエイトハンデが18kgと軽く、サーキットとマシンの相性は証明済み。第5戦富士でも注目すべき1台と言える。
また、ストレートの長い富士を得意とするポルシェ勢。第4戦SUGOではD’station Porscheがセーフティカーの不運と決勝での接触、黄旗追い越しによるペナルティで15位フィニッシュ、GULF NAC PORSCHE 911は10位フィニッシュと上位には食い込まなかったものの、第2戦富士の予選ではGULF PORSCHEが予選2番手、決勝ではD’station Porscheが3位表彰台を手にしている。
SUGOで下位に沈んだ反面、ウエイトハンデではD’station Porscheが34kg、GULF PORSCHEが26kgと比較的軽い状態で富士に挑める点も、追い風となる。
チャンピオン争いという点では、ランキング首位のVivaC 86 MCが82kg、2番手のグッドスマイル 初音ミク AMGと3番手のGAINER TANAX AMG GT3が70kgのウエイトハンデを積む。3台ともマシン特性としてはストレートの長い富士とは相性がよくないため苦戦を強いられそうだが、ポイントの取りこぼしは避けたいところ。ランキング上位陣の粘りの戦いも見どころのひとつだ。
レースの勝ち負け以外でも、この8月の富士スピードウェイには見逃せないイベントがある。富士戦に合わせて、コース外ではさまざまなイベント行われる予定だが、7月28日からオープンする「富士ジュラシックウェイ」はその中でも一番のホットスポット。
トヨペット100Rのイン側の森林エリアに、自然の地形や樹木をそのままに太古の恐竜たちの世界が表現されている。その巨大な恐竜模型だけでなく、子どもが乗れるお子様用の「乗れる恐竜」も用意されており、レースとともに8月の夏休みを子どもと楽しむにはうってつけ。これからの富士スピードウェイの新しい注目スポットになりそうだ。
また、予選日、決勝日ともに2017年のレッドブル・エアレースでランキング首位につけるトップパイロット、室屋義秀によるエアロバティックフライト『YOSHIHIDE MUROYA Special Flight @ FUJI SPEEDWAY Supported by LEXUS』が行われ、世界トップクラスのアクロバット飛行を場内各所で楽しめる。
さらに今回、新たな試みとして、新しいレース観戦スタイルを提案する『FUJI SPEEDWAY ACTIVE PARK CAMP』も開催。パナソニックコーナー外側の芝生エリアがバーベーキューやDJプレイを堪能できるスペースに生まれ変わり、手ぶらでバーベーキューを楽しみながらレースを観戦できるようになる。
イベントの詳しい情報はタイムスケジュールは富士スピードウェイ公式サイト内イベントページをチェックしよう。