WRC世界ラリー選手権のライブストリーミングを行うレッドブルTVのゲスト・コメンテーターとして、7月28~30日に開催される第9戦フィンランドに元世界王者のマーカス・グロンホルムが登場。週末の見通しを語り、「勝者はオット・タナク」で「トヨタは、これまででもっとも多くステージベストを獲得する」との予想を立てた。
名物ステージのオウニンポウヤを含め、金曜から日曜のステージをカバーするレッドブルTVは、Mスポーツが行ったフィンランド向けの事前テストにも潜入。高速で立体的変化に富むグラベルステージと、大規模なジャンプスポットを体感すべく、王者セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)のインカー撮影を敢行した。
フィエスタWRCが挑むテストステージの長さは5kmで、通過タイムはわずか2分ながら、アベレージは150km/h、全開率75%、最高速は205km/hに達し、約55mの飛距離をマークしたジャンプは、離陸速度180km/hという脅威の走りを堪能できる映像が配信されている。
このWRCのなかでも随一のユニークさを誇るフィンランド戦でゲストに招かれたのは、元ワールドチャンピオンのグロンホルム。現在も母国での最多勝利記録を保持している。
7度のフィンランド・ウィナーであるグロンホルムは、“グラベル・グランプリ”とも呼ばれる、この超高速ラリーの真髄を次のように語る。
「私のように何度も何度もこのラリーを走った経験を持っているドライバーでさえ、毎回スタートランプに上がるたびにナーバスになり、同時に興奮を覚えるんだ。もし上手くやりたい、良い成績を残したいと思うなら、腹の中に恐怖を抱えたまま走る必要がある。だから、こうしてレッドブルTVのコメンテーターとして話し、ラリーカーのコクピットに座っていなくて良いだけで最高にハッピーだよ(笑)」
数多くの思い出を持つラリー・フィンランドだが、ファンの記憶に残るのは2004年。トルクの太さを逆手にとって、4速ギヤボックスでデビューしたプジョー307WRCで挑んだものの、トラブル多発のマシンは1速失い、グロンホルムは3速分しか使えない状態で勝利を飾った。また、2007年の同イベントで勝利を決めた後、引退を発表してもいる。
「ラリー・フィンランドについて学び、私が知っていることを話そうと思えば、そこに何日間も座り続けることになるだろうね」と、グロンホルム。
「でも基本的に、マシンの慣性と勢いを維持し、何が起こってもクルマのスライドを保ってコントロールし続ける必要がある。ジャンプは観客にとってはスペクタクルだが、我々はできるだけクルマをつねに地面に接地させていたいと考えているんだ」
「ペースノートの声に真剣に耳を傾け、それを正しく理解し認識する必要もある。そしてもっとも重要なのは……経験だ。ラリードライビングの時間が長ければ長いほど、どこまでが限界で、それに近づいても許されるのか、理解度が高まるからね」
その経験に基づき、グロンホルムはイベントに先立ち週末の展開を予測する。
「ラリーはフィエスタのタナクが勝つんじゃないだろうか。それにトヨタはここまででもっとも多いステージウインを獲得するだろう。もちろん、(セバスチャン・)オジエを含めてMスポーツが最大のポイントを獲得するとは思うけどね」
グロンホルムは、「もちろん、前戦のポーランドで勝利しオジエのポイントランキングでのリードを削り取ったティエリー・ヌービル擁するヒュンダイ勢も侮れず、フィンランドの勝者を選ぶことはこれまで以上に難しい」とも語っている。
ワールド・チャンピオンが予想したとおり、ラリー・フィンランドのSS1ではタナクがトップタイムを記録。初日首位発進となっている。