7月27日、ホンダはブランパンGTシリーズ/インターコンチネンタルGTチャレンジの一戦として開催されるトタル・スパ24時間のパドックで、NSX GT3のグローバルプログラムについての発表を行った。ホンダのグローバルGT3プログラムのマネージャーである嶋村馨氏は、「GT300のチームがNSXを選んでくれるということを切に願っています」とスーパーGTでの使用についても触れた。
現地時間午後2時から行われたこの発表には、ブランパンGTシリーズをはじめGT3シリーズを多く運営するSROのステファン・ラテル代表も祝福に駆け付け、多くのメディアの注目を集めた。パドック内に設えられた“ホンダスタンド”の壇上には、黒いカバーに包まれたNSXの姿があり、ホンダ・モーター・ヨーロッパのヘッド・オブ・モータースポーツであるロベルト・ウォザーストン、基本のマシン開発を手掛けたJASモータースポーツのNSX GT3プロジェクトリーダーであるステファノ・フィニ、さらにはグローバルGT3プログラムのマネージャーである嶋村馨氏のあいさつの後、アンヴェイルされた。
このNSX GT3のプログラムが立ち上がったのは昨年のこと。日本のHRD(ホンダR&D)とアメリカのHPD(ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント)がエンジンのチューニングを担当。また車体はHRDにJASモータースポーツのエンジニアが長期滞在して共同でデザインを行い、クルマの組み上げ作業はJASモータースポーツで行われた。
その後、最初の開発テストを経た後NSX GT3は米国のHPDへ。そこからHPDによってさらに熟成開発が進められ、今年のIMSAでデビューを果たしているという。
嶋村氏によると、「カスタマーに受け入れられるだけのポテンシャルがあることを、きちんと証明してから発表したかったんです。そういう意味で、デイトナ24時間で4分の1くらいトップを走れましたし、その他にも2勝を飾ったので、今回そのタイミングが来たということですね。NSXはアメリカで作っているので、まずはアメリカで力を証明してからということだったんです」とのこと。
さて、このNSX GT3は、初年度12台が製作・販売される予定。今後2024年までには、最低でも70台を世界中にデリバリーしたいという考えだ。ちなみに、日本での販売とカスタマーサービスはM-TEC(無限)が担当する。
すでにスーパーGT300クラスではニッサンやレクサスのGT3車両が参戦しているが、このNSX GT3も来年のスーパーGT、あるいは来年からホンダのお膝元である鈴鹿サーキットで開始される鈴鹿10時間耐久レースに姿を現すのだろうか。
嶋村氏は「日本でもこのクルマは走れますし、あとは日本のGT300のチームがNSXを選んでくれるということを切に願っています。ホンダ系チームに限ることなく、欲しいと言われる方にできるだけ供給していきたいですね」とのことだった。すでにいくつかのチームが興味を示しているということだが、国内外での販売交渉は、これから行われる予定だ。