“腹が減っては戦はできぬ”――早くも後半戦に突入した2017年シーズンのFIAヨーロピアンF3選手権(ユーロF3)。今回は激戦のユーロF3に参戦中の高校生ドライバー佐藤万璃音(さとうまりの/18歳)に、レースウイークの食事事情を直撃した。
イタリア・フォルリのアパート暮らしでは、外食よりも自炊する機会が多いと話す万璃音。では、サーキットではいかに腹を満たしているのだろう?
「まず、基本的に朝食はホテルで済ませます。ホテルごとにメニューの充実度に差があるとはいえ、とくに不満は感じません。イタリアのアパートでも、朝食はパンとジュースくらいしか摂りません。たいていはフィジオと一緒にホテルで朝食を摂り、彼の運転でそのままサーキットへ向かいます」
「サーキットでも食事には困りません。というのも、ユーロF3は100人くらいが一度に座れる関係者専用のホスピタリティ・ブースを設置していて、ケータリング・サービスを用意しているからです。サンドウィッチくらいの軽食しか食べられないサーキットもあるので、その面では非常に助かっています」
「ホスピタリティ・ブースでは、金曜日の昼食と夕食、土曜日の昼食と夕食、日曜日の昼食が用意されています。軽い朝食ならホテルではなく、ここでも摂れるので早朝にサーキットへ来る必要があるときにも便利です」
「また、ヨーロッパは日没が遅く18時くらいからレースが始まったりするタイムテーブルが、普通に組まれていたりするので、“夕食難民”にならなくて済むホスピタリティ・ブースの存在はとてもありがたいですね」
「ケータリング・サービスの味ですか? たまに摩訶不思議な料理やデザートが置いてあって、首をかしげることもあります(汗)。でも、肉料理も魚料理もパスタもメニューは毎回工夫が施されていて飽きませんし、恵まれていると思います。水やソフトドリンクも充分に用意されています」
「ワインやビールまで用意されている点はヨーロッパらしいですね。もし、ホスピタリティ・ブースが無かったらと考えると恐ろしいくらいです」
「ホスピタリティ・ブースは、ドライバー、チームスタッフ、ユーロF3スタッフ、メディア、ゲストなどに開放されています。関係者のすべてがお世話になっています。基本的にはホスピタリティ・パス保有者だけが入れるのですが、チェックはあったり無かったり……(汗)」
「僕もホスピタリティ・パスを持っていますが、顔見知りのスタッフに挨拶すればチェックなしに入れたりします」
「ホスピタリティ・ブースは社交場も兼ねています。ハリソン・ニューウェイが参戦しているので、彼の父親のエイドリアン・ニューウェイさんも普通に見掛けます。ヨス・バースタッペンさん、ゲルハルト・ベルガーさんなど、元F1ドライバーもいますよ」
「ユーロF3と併催される機会の多いDTMドイツツーリングカー選手権で、メルセデスやBMW、アウディが設置するホスピタリティ・ブースの規模や設備には負けるけれど、僕らにとっては贅沢なくらいです」
「とはいえ、毎日毎回ユーロF3のホスピタリティ・ブースを利用しているわけではありません。たとえばケータリング・サービスが用意されていない木曜日の昼食や夕食、日曜日の夕食などはサーキットやホテルに近いレストランへ繰り出します。もちろん、美味しい日本料理屋があればベストです」
「モンツァではミラノ市内の“ふくろう”さんや“大阪”さん、ハンガロリンクではブダペスト市内の“大吉”さんが定番。そして初めて訪れたノリスリンクでは、ニュルンベルク市内の“Kome Kome”さんへ行きました。どのお店も日本人のスタッフがいらっしゃるので、料理の味にもたいへん満足。ありがとうございました」
「ある意味、ユーロF3は食事の面もシステマチックに運営されていて、僕らもレースに集中できます。この恵まれた環境にいられるのは幸せですし、だからこそ早く結果を出したい」
「シーズン後半戦は、つねにトップ10以内で予選も決勝も終えられるよう、そして新人部門ではなく総合部門でも早く表彰台に立てるよう、これまで以上に自分を追い込んで準備しなくてはならないと感じています」