7月27~30日に行われるWRC世界ラリー選手権第9戦フィンランドに向けて、参戦するドライバーたちが意気込みを語った。
シーズン中、もっとも高い平均速度が記録される超高速グラベル(未舗装路)イベントのラリー・フィンランド。かつては北欧出身ドライバーでなければ勝利できないと形容されたほどの高難度ラリーでもある。
ラリーは27日(木)、フィンランド中部のユバスキュラ近郊のハルユで開幕。現地19時から2.31kmのSS1が行われる。
翌28日(金)からハイスピードバトルの幕開けとなり、この日はSS2~13まで12SSを実施。29日(土)はSS14~21までの7SS、最終日30日はSS22~25の4SSだ。今回も最終SS25はステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージとなる。
最上位クラスは、全チームとも3名体制。前戦ラリー・ポーランドではアンドレアス・ミケルセンを起用したシトロエンには、エースのクリス・ミークが復帰。チームメイトはクレイグ・ブリーンとカリッド-アル・カシミが務める。
ラリーの拠点となるユバスキュラ近郊にファクトリーを構えるTOYOTA GAZOO Racing WRTにとって、このラリー・フィンランドはホームレース。起用しているドライバー/コドライバーも全員がフィンランド出身ということもあり、シーズン2勝目にも期待がかかる。
Mスポーツ/ヒュンダイ陣営のコメントはこちら
シトロエン/トヨタ陣営のコメントはこちら
■Mスポーツ
●セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)
「第9戦フィンランドは間違いなくシーズンのハイライトだ。フィンランドの人々は、いいラリーがどんなものか知り尽くしている気がする。ここのグラベル(未舗装路)は、ラリーのために生まれてきたのかと思うくらいだ」
「本当に高速な戦いになる。グリップレベルも高く、大ジャンプもあるから、どのドライバーも心待ちにしている信じられないスピード感が得られる。そのペースで、コンマ何秒の戦いをするんだ。ものすごい接戦になると予想しているよ」
「天候はちょっと不安定になりそうだから、どういう展開になるか様子を見なければならない。だけど、トップを争いたいね。ドライビングに自信が持てるセットアップで、週末を通してミスなく走る必要がある。ほぼ完璧なパフォーマンスが要求されるんだ」
「先週、事前テストを行った。僕のクラッシュで予定が短縮されてしまったから、チームメイトには申し訳なく思っているけど、マシンのフィーリングは最高だった」
「このラリーを本当に楽しみにしているんだ。チャンピオンシップの防衛のためにも、いい結果を残したい」
●オット・タナク(フォード・フィエスタWRC)
「(第8戦)ポーランドは僕らの望み通りの結果にはならなかったけど、マシンのペースがいいことは分かっている。だから、もうひとつの高速ラリーであり、僕の好きなイベントであるフィンランドで好成績を期待しているんだ」
「ラリー・フィンランドはどのドライバーも楽しみにしていると思うよ。ステージを完璧に走ることができたら、最高の気分だろうね。週末は、そうなることを期待している」
「大ジャンプや高いグリップが得られる場所もあれば、そのあとにはブラインドコーナーが待ち受けている。速度も速いから、自信と勇気を持ってドライブしなくては。もし完璧なフィーリングが得られなければ、全力でプッシュすることは不可能で、タイムを失うことになる」
「このハイスピードバトルでは、失ったタイムを取り戻すのは簡単ではないよ」
●エルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)
「ラリー・フィンランドはシーズンのなかで、もっとも楽しいイベントのひとつだから、誰もが楽しみにしていると思う。新型WRカーで走ると、イベントはもっと特別なものになるだろうから、どんな戦いが待ち受けているか楽しみだよ」
「いまのところ、天候は少し不安定になりそうだから、それがどう影響するか、状況を見極める必要がある。ポーランドと同じように、チャレンジングなコンディションにならないことを祈っているよ」
「ステージはかなり高速だから、正確なペースノートと全力でドライビングするだけの自信が必要だ。ステージの構成とハイスピードの組み合わせは素晴らしく、リズムに乗れた時のフィーリングは最高だよ。ミスをする余地はほとんどないから、楽しいことばかりではないけどね」
「とは言うものの、過去、僕らはここではかなり良いスピードを見せてきたから、すべてが有利に働けば、何が起きても不思議ではない」
■ヒュンダイ/ヒュンダイ・モータースポーツ
●ヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ラリー・フィンランドは本当に気に入っている。とても速いステージ構成だし、多くの歴史がある。僕たちが出すであろうスピードに、難しいジャンプやコーナーが加わることを考えると、大変なラリーになることは想像できるけどね」
「でも、僕はもう8回もこのラリーに参戦しているから、その経験が役に立つだろう。ここでのラリーには慣れているし、みんなが見ている前で良い結果を出したいね」
「ラリー・ポーランドでの表彰台獲得は大きな自信を与えてくれた。ラリー・フィンランドのステージに戻ることが待ちきれないし、(ポーランドと)同じような結果を出せることを期待しているよ」
●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ラリー・ポーランドでの自分たちとチームのパフォーマンスは、とても満足いくものだった。シーズンの終わりに向けて、さらなる勝利へのきっかけになることを祈っているよ」
「マシンはとても強力だと感じている。今シーズン、グラベル戦で、すでに2度の優勝を飾っていて、僕たちにどれだけ競争力があるかを証明してきた。チャンピオンへの戦いを継続できると自信を持っている」
「ラリー・フィンランドはトリッキーなものになると分かっているし、高速スピードと複雑さから成るコースだから、ミスは最小限に抑えなければならない。でも良い結果を出す自信があるよ」
●ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ラリー・ポーランドでは表彰台に近づいたから、ラリー・フィンランドではトップ3圏内でのフィニッシュを飾りたいね」
「ポジティブな結果が出たり、困難な場面があったり、これまでのところ僕たちにとっては、いい時と悪い時が入り混じったシーズンになっている」
「いくつかトラブルを抱えたラリーもあって、それが足かせになったこともあったけど、僕たちの決心はこれまでと変わらない。ポジティブな気持ちで、シーズンの後半を戦い続けていきたい」
「ラリー・フィンランドは厳しい戦いだけど、マシンと自分たちの力を限界まで出し切り、ドライバーズタイトルとチームタイトルのためにさらなるポイントを獲得するよ」
■シトロエン/シトロエン・レーシング
●クリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)
「ラリー・フィンランドはいつだって僕の好きなラリーのひとつだけど、昨年ここで優勝してからは、さらに特別なラリーになった。世界でも最高のグラベルロードがここにはあって、ドライブするのが最高に楽しいんだよ」
「タフなラリーになると予想しているけど、C3 WRCのステアリングをまた握ることができてうれしい。僕たちは事前テストのほとんどを雨が降っていて気温が低い時に行ったんだ。ラリー・フィンランドではそうしたコンディション下で走ることになると想定していたからね」
「出走順は10番目だけど、道路がぬかるんでいたら有利にはならない。何が起ころうとも、僕たちはベストを尽くしてチームのために良い結果を出すよ」
●クレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)
「このラリーは一番落ち着けるイベントのひとつだ。昨年、初めて世界選手権の表彰台を獲得したときの素晴らしい思い出があるからね」
「ラリー・ポーランドではフラストレーションが溜まったから、フィンランドを走って良い結果を目指すのが待ちきれないよ」
「総合4位や5位でのフィニッシュのあとだから、今回はひとつかそれ以上、順位を上げたい。先頭集団で戦えるコンディションになるか、見極める必要がある。アップグレードが施されたC3 WRCの感触には満足しているよ」
●カリッド-アル・カシミ(シトロエンC3 WRC)
「ラリー・フィンランドは非常に高速のラリーで、ジャンプをこなしていくのが大変なんだ。僕の目標はC3 WRCでいいペースを維持すること。正確なペースノートを作るためにも、レッキをうまくやる必要がある」
「事前テストでは、ここの速い道路にもう一度自分を適応させること、マシンに施された最新のアップグレードを確認することができた」
「クリス(・ミーク)とクレイグ(・ブリーン)が可能な限り最高な結果をまた出せるように、幸運を祈っているよ」
■トヨタ/TOYOTA GAZOO Racing WRT
●ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)
「モンテカルロと同じように、フィンランドは誰もが勝ちたいと思っているラリーだ。特に、フィンランド人ならば、なおさらだよ」
「もちろんプレッシャーは感じるけど、それはポジティブな意味でのプレッシャー。今回の目標は、言うまでもなく優勝だ」
「ラリーを前に4日間のテストを行ない、クルマのさらなる進化を確認した。自信はあるが、フィンランド人にとって地元イベントであるというアドバンテージはもはやないと思っている」
「今や多くのSSが毎年使われているため、フィンランド人以外の選手も、充分な経験を持っているからね。激しい戦いになるだろう」
ユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC)
「フィンランドは他のどのイベントよりも多くの経験があるラリーだから、自信はある。特定の目標を立てるつもりはないけど、最初の段階から全力でアタックし、どれぐらい良いポジションでフィニッシュできるのかを見極めるつもりだ」
「フィンランドはとにかくハイスピードなラリーなので、徐々にスピードを上げていくような戦いは通用しない。最初のコーナーから思いきり攻めるしかないんだ」
「事前のテストでは主にサスペンションの改善に力を入れ、良いフィーリングを得られた。フィンランドの未舗装路は雨で濡れると硬く締まる性質がある。テストの初期には降雨があったけれど、ラリーでも雨の可能性はあるから有益なテストになった」
エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)
「WRカーで初めてホームイベントを戦うことになり、とても興奮している。完璧な戦いができれば表彰台に上がることも充分可能だと思うけど、例年フィンランドは僅差の戦いとなるため、何もトラブルなく走る必要がある」
「空力性能とエンジン性能の高さは我々のクルマの強みなので、ハイスピードなフィンランドの道との相性は良いはずだ」
「WRカーのスピードはとても速く、以前に他のクルマで出場した時よりもはるかに高速で走ることになるから、コドライバーもペースノートをさらにはやく読み上げる必要がある。コドライバーのヤンネ(フェルム)にとっても、きっと大きな挑戦になるだろう」