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【津川哲夫の私的F1メカ】新規定のワイドフロアか。最新トレンド満載のレッドブル床下エアロ

2017年07月26日 15:32  AUTOSPORT web

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イギリスGPで明らかになったレッドブルRB12のフロア。複雑な形状に刻まれた多数のスリットが興味深い
前戦のシルバーストーンは中高速コーナーが多く、タイムには重要な役割をするサーキット。そのため、きっちりとしたダウンフォースが要求され、エアロセッティングのバランスが何よりキーポイントになる。

特に高速コーナーとストレートが重要なサーキットなので、ウイングに頼らずフロアでいかに多くのダウンフォースを獲得するかが、マシンの挙動とタイムの安定につながる。そのため、今回のイギリスGPにはじつに多くのチームが新型フロアを投入することになった。この写真はレッドブルRB13のフロアだ。

 レッドブルのマシンは前傾姿勢、つまり大きなレーキ角を使ったフロアエアロが特徴だ。サイドポッドの床、つまりステップフロアの部分を見ると、FIAクラッシャブルストラクチャーをカバーしている厚いリーディングエッジの前端が大きく持ち上がっていて、前方からの空気流をフロア面よりもかなり高い位置から床下へ引き込もうとする意図が見える。

 さらに、サイドポッドの床下部分にはサイドに向けて3段スリットが切られ、バージボードからポッド側面下の高速流を床下に引き込む処理が施されている。

そしてサイドポッドの後端、リヤタイヤ前方には10段程のスリットが前後に並んで床下に向けて切られており、タイヤに当たる空気流をフロア上面流を床下へ引き込む流れが見て取れる。

 RB13のフロア後端のディフューザーの跳ね上げ角度は大きく、上面はレギュレーション一杯の高さで天井板を作り、レーキ角でさらに大きな角度を造り出す。

さらにディフューザー側面の後端はリヤタイヤ後方に向けて曲面を付けたマルチスリットが設けられ、タイヤ後部の低圧域を利用して床下空気流を引き込むような作りになっている。

 ディフューザー付近のエアフローの流速向上とドラッグの低減が計られるだけでなく、ディフューザー後端にはダブルフラップを装着して後端渦流の拡散域をコントロールし、マシン後部の下部エリアの総合的なダウンフォースの獲得とドラッグの低減が狙われている。新規定導入でワイドフロアとなった今シーズン、まだまだ変化がありそうだ。