昨今、「働き方改革」の一環として時短勤務やテレワークを導入する企業が増えているが、ウェブマーケティング事業などを行うヴァンテージマネジメントは勤務時間中にいつでも睡眠を取れる「いつでもcomin'(仮眠)」という制度を導入している。
「昼食後の眠気がつらいときは思い切って仮眠」
時間・回数の制限を設けずに睡眠を取ることができる制度で、2013年に導入。社内には男女別の仮眠室に2段ベッドや簡易ベッドが設置されており、一度に3、4人利用可能となっている。
社員だけでなくアルバイト・派遣社員も使用でき、全従業員の66.6%が利用している。特に昼休み後は満床のようで、同社広報担当も「私もその時間帯によく利用しています」と話す。
「昼食後の眠気がつらい時間は思い切って仮眠を取ります。眠るとスッキリするので作業効率も上がりますしね。他の従業員からも『無理に仕事をするより効率よく働ける』と評判です。だいたい15分から1時間程度眠る人が多いですね」
眠った分が勤務時間から差し引かれることはない。それにも関わらず近年の売上は、2015年7月期実績が10億2900万円、2016年7月期が12億2000万円。さらに今年7月期は16億1000万円と前年度比130%以上の売上を見込んでいるという。生産性も上がっていると言えそうだ。
時間に縛られない働き方は自己マネジメントにもつながる
この制度を導入したきっかけについて聞くと、同担当者は「グローバル化を目指すにあたって、時間を基準に働くのはナンセンスだという考えに至ったから」だという。
「8時間働いているから成果を出せる、というわけではありません。実際に睡眠と作業効率に関係があることは実証されていますし、仮眠を取って8時間以下で成果をだせるのであれば、そちらの方が生産性は高いですよね」
同社は、働き方や勤務時間も自由だ。定時は基本的に9時から18時となっているが、全員がその時間にオフィスで勤務しているわけではない。カフェや図書館で業務を行う人もいれば、朝型・夜型など体質に合わせて一番集中できる時間に働く人もいるようだ。
同担当者は「『今日は体調が悪いから早退して明日がんばろう』など体調管理に活かしやすくなった、という声も出ています」と話す。臨機応変に、その人が最もパフォーマンスを発揮できるような環境を整えることがベストということだろう。