インディカー・シリーズは7月25日、2018年に投入するユニバーサルエアロキットをまとった新型マシンをお披露目した。
現在はエンジンサプライヤーであるホンダとシボレーが、それぞれ独自に設計しているエアロキットだが、2018年は全車共通となるユニバーサルエアロキットを導入。シャシーを供給しているダラーラが設計・開発を手がける。
そんなユニバーサルエアロキットが現地25日(火)からインディアナポリス・モータースピードウェイで行われるテストに先駆けて、お披露目された。
インディカーによれば、このユニバーサルエアロキットはより大胆かつ安全でありながら、レースをよりスリリングなものにするべく設計したという。
大胆な外観という点ではリヤウイングやエンドプレートを従来より低い位置に配置。エンジンカバーも全高が抑えられており、マシンはより長く、低い印象を与える見た目となった。
安全面ではマシン側面にクラッシャブルストラクチャーを追加することで、サイドからの衝突安全性を強化。ラジエーターも従来より前方に再配置され、ドライバー横にもクラッシャブルストラクチャーが追加されている。
また、2016年のインディ500で相次いだマシンが宙を舞う“エアボーン”を抑止するために設計されており、シミュレーター上ではマシンが90度、135度、180度にスピンした場合でも宙を舞うことはなかったとのこと。
そのほか、現在のエアロキットで採用されているリヤホイールガードは廃止。あわせてホイールガードに取り付けられていたウイングレットも不採用となった。
安全対策としては、ドライバーを保護するウインドスクリーン採用も見据えたデザインとなっている。
パフォーマンス面では、タービュランスを生むマシン上部の空力パーツを排除した一方で、アンダーフロアで発生させるダウンフォースを強化。従来より19パーセント多い66パーセントのダウンフォースをマシン下側で発生させるという。
タービュランスが減少したことで、レース中のバトルも増加。ショートオーバルで行われたプライベートテストでも、その効果が実証されたとのこと。
そのほか、ドライバーたちから意見が上がっていた重量配分の見直しも実施。ハンドリング性能も改善されている。
インディカーの競技委員長を務めるジェイ・フライは「開発プロセスは2016年4月にスタートし、ファンやドライバー、チーム、マニュファクチャラー、シリーズパートーナーたちの意見を吸収しながら作業を進めた」と開発を振り返っている。
「従来のマシンから受け継いでいるものもあるが、最新のコンポーネントも多数使われており、より先進的な外観に仕上がった」
「デザイン画の時点でも素晴らしい見た目だったが、実物はもっと素晴らしく感じるよ。このマシンがサーキットを走る姿を早く見たいものだ」
この2018年型マシンはインディアナポリスでのテストに加え、8月1日にはロードコースのミドオハイオで、8月10日にはショートオーバルのアイオワで、9月26日にはストリートコースを想定してセブリングでテストを実施。
その後、11月には参戦する各チームにデリバリーされる予定だ。