ファイナルラップでぶつかり合いながら、優勝を争ったDENSO KOBELCO SARD LC500の平手晃平と、S Road MOLA GT-Rの本山哲。セーフティカーによる好運の恩恵を受けたとはいえ、平手と本山は最後までレースを見るファンをハラハラ&ドキドキさせる好バトルを見せた。
特に、惜しくも敗れて2位となった本山&S Roadは予選最後尾の15番手からのスタート。歴史的快挙を目前にしながら敗れた本山がレースを振り返った。
DENSO平手と同じく、48周目にピットインしてマシンに乗り込んだS Road本山。6番手でコースに戻ると、すぐにセーフティカーランとなり、リスタート後に上位4台がピットイン。ここで一気に2番手となり、しかも3番手以下が周回遅れで、DENSO平手との一騎打ちとなる。
しかしS Roadと本山はリスタート後はペースが上がらず、トップから話され始め、DENSO平手から約6秒の差がついたが、残り10周を切ったところから、1周1秒近く、ギャップを縮めはじめた。
「それまでトラフィックもあったし、序盤タイヤがハードでグリップも出なかった。それでもトップが見えていたので、プッシュしてなんとか追い上げることができた。こっちがハードで向こうがおそらくソフトだったのが大きい」と、その状況を振り返る本山。
すぐに平手の背後に付くが、平手も当然、ブロックで抵抗してなかなか追い抜くチャンスはない。そしてファイナルラップの1コーナーで本山は勝負に出る。平手のスリップに入り、本山は一度インを伺うが平手がブロック。すぐに本山はアウト側から並びかかり、1コーナーの進入でブレーキングに入る。
「(その時点で)チャンスはあそこしかなかった。接触ぎりぎりで、悩んだ末に引きました」
本山は2番手に戻った。その後も、もちろんチャンスを狙ったが、状況は厳しい。
「抜きにいこうと思ってもまだどのコーナーもイン側のラインが濡れていて、なかなか入るチャンスがなかった」
そして、2台はバックストレートを経て馬の背、そしてSPコーナーへ入っていく。そこで目の前の平手がグリップを失い、SPコーナーひとつめでアウト側にオーバーラン。
「2周前から馬の背の先だけ雨が降っていた。自分も滑ってマシンの2/3ぐらい飛び出して、ギリギリ先に抜けれそうだった」
だが、平手もすぐにマシンを立て直し、SPふたつ目で2台はぶつかり合いながら最終コーナーを目指す。そして、平手が先に最終コーナーに入り、そのままトップチェッカー。最後尾スタートのS Rordは惜しくも2位となってしまった。
「路面が濡れてたから、あの時点で無理にアクセルも踏めなかった。ペースはこっちが良かったから、あと1~2周あれば、チャンスがあった。2位でいいとはまったく思わなかった。あの時点では優勝だけを狙っていました」と、本山。
「正直、悔しい。やはり優勝したかった。でも、結果だけみれば最後尾から2位というのは最高。チームとして結果が残ったのがとてもよかった。この流れで頑張って、次もポイントを獲りたい」と、続けた。
このSUGOではニッサン勢はシーズン2基目のニューエンジンを投入して、勝負に出た。予選ではホンダNSX陣営に主役の座を奪われたが、決勝ではMOTUL AUTECH GT-Rも4位に入り、S RoadとともにGT-Rが久しぶりに存在感を示した。