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LEXUS TEAM SARD 2017スーパーGT第4戦SUGO レースレポート

2017年07月25日 10:42  AUTOSPORT web

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DENSO KOBELCO SARD LC500 2017スーパーGT第4戦SUGO
DENSO KOBELCO SARD LC500
第4戦SUGO、今季待望の初優勝を劇的に飾る!

2017 スーパーGT 第4戦「SUGO GT 300km RACE」(7/22~23)
スポーツランドSUGO(1周3.704km)
入場者数:予選9600名、決勝2万6200名 合計3万5800名

 7月23日(日)、スーパーGT第4戦「SUGO GT 300km RACE」の決勝が行われ、不退転の覚悟で4列目7番グリッドから勝利を目指していったDENSO KOBELCO SARD LC500は、スタートを担当したヘイキがスタート直後の1コーナーで2台を抜き去り5位に浮上。
 
 トップ集団の中で前に食らい付き、1回目のセーフィティカー(SC)導入後の16周目には4位に浮上。29周目には16号車を仕留めて3位に浮上する快進撃。
 
 雨が止み路面の水の量がなくなってドライ路面になりつつあった40周を終えピットインをしようとピット進入レーンに減速して向かうと2回目のSC導入表示される不運。規則によりピットインができずにステイアウトすると、この隙に2台に抜かれふたたび5位に。
 
 その後2回目SC解除時のピットインでの混雑を避けて解除次周47周を終えピットイン。ヘイキの素晴らしいインラップの走りと素早いピットワークでこれまでピットインした車両のトップとなる5位で復帰する好戦略を見せた。
 
 そのピットアウト時になんと目の前で3回目のSC導入となる波乱。このタイミングでのSC導入で、ステイアウトし続けたトップの100号車にラップダウンされずに戦列復帰していたため、ピットインした車両の中で同一周は46号車のみと一騎打ちの様相となった。
 
 3回目SC解除時に4位までの車両がピットイン。ここでトップに立った平手が好ダッシュを決めて一時2位46号車に6秒ものマージンを築くも、残り数周でペースが上がらず。
 
 運命のファイナルラップで46号車と肉弾戦となり、雨がふたたび降り出したSPコーナーで両車コースオフ。立ち上がりでもつれ合い態勢が崩れるほどのドックファイトで、激しくもクリーンなトップの奪い合いを演じた。
 
 悪夢再来かと思われたが、ここでなんとか意地で持ちこたえた平手がトップチェッカー。今季待望の初勝利を劇的に飾った。
 
 ドライバーポイントは20点獲得(計35点)、チームポイントでは23点を獲得(計45点)し、ランキング4位に浮上した。ランキングトップ奪回を狙う次の第5戦は、8月5日(土)~6日(日)に富士スピードウェイで行われる。

■公式練習走行
 第2戦富士、第3戦オートポリスと表彰台圏内を走るも不運な接触で後退を余儀なくされたDENSO KOBELCO SARD LC500。2ヶ月半のインターバル中に行われた2つの公式テスト(SUGO、鈴鹿)ではテストプログラムに集中し、クルマをしっかりと仕上げてきた。
 
 レースでの速さは健在でウエイトハンディ重量も比較的軽いため、この折り返しの第4戦で巻き返しの大量得点を稼ぎたいところ。
 
 その第4戦は昨年2位を獲得したスポーツランドSUGOが舞台。山間部にあり平坦なところがなく常にアップダウンの連続でコース幅も狭く、高低差73mもあってウエイトハンディの影響が大きいテクニカルなマウンテンコース。1コーナーでのブレーキング競争、ヘアピン、馬の背、最終コーナーとオーバーテイクポイントはあるが、常にサイドバイサイドの接近戦が展開され息の抜けない緊迫したバトルが続く。
 
 公式予選はノックアウト方式(Q1、Q2)で、決勝は約2時間の300kmで争われ、ピットストップは1回。ウエイトハンディは現獲得ポイントの倍の数値となる30kgを搭載する。

 6月に当地で行われた公式テストでは各車拮抗したタイムに。上位タイムこそ付かなかったが、2日間で約1,200kmと最多周回を走り込み充実したテストとなったDENSO KOBELCO SARD LC500。波乱が起き易いSUGO戦。運や変わりやすい天候を味方につけ、折り返しの重要な一戦で流れを掴み、後半戦のタイトル争いに加わわるべく、不測の事態にもくじけず決して臆することなく突き進む、不退転の覚悟でチーム一体となって勝利を目指していった。

 22日(土)午前中の公式練習走行は、晴れとなり気温31度/路面温度40度の初夏らしいコンディションのなか、9時から混走セッションが開始。ヘイキがまずはソフト系のタイヤを装着してコースイン。
 
 コースが混雑するなかでクリーンラップは中々取れずに8周目に1分13秒432のトップタイム。続けてクルマのバランスはずまずまずな状態であることから、ミディアム系のタイヤを装着してフィーリングを確認。こちらも1分13秒420とタイム的には相違なく、ふたたびソフト系タイヤを装着してセットの微調整を行った。
 
 フィーリングを平手にも確認してもらうべく26周目からは平手が両方のタイヤのフィーリングを確認した。クルマのセットさらに進めていた矢先の41周目にSPコーナーで平手がコースオフ。スポンジバリアにヒットしてしまう、まさかのアクシデント。
 
 自走で戻ってきたクルマを応急修理してその後の10分間のGT500単独セッションに何とか間に合わせてコースイン。ミディアム系タイヤで平手が手負いのままでアタックシミュレーションを行い、5周目に1分12秒998の9番手タイムとなった。
 
 公式練習走行では合わせて48周を走行。インターバルで万全なリペア作業を施してQ1に備えることとなった。

■公式予選
■Q1:ヘイキが6位でQ1を突破
 22日(土)午後は曇り空に。気温29度/路面温度36度と若干日が陰ったため温度は下がったが暑いコンディションは変わらないQ1。残り7分ほどで今回ファーストアタッカーを任されたヘイキがコースイン。
 
 明日の天候を見越してソフト系のタイヤを選択して臨んだQ1。丁寧にタイヤに熱を入れてウォームアップを施すと4周目にアタックに入ったヘイキ。全車中のトップクラスのタイムでセクター1、2と駆け抜ける。
 
 さらに区間ベストタイムを刻んでいくヘイキは1分12秒024とその時点のリーダーに躍り出る。続く周もアタックを続けていったが僅かにセクタータイムを更新できず。これ以上タイムアップは望めないと判断したヘイキはタイヤ温存のためピットイン。最終的に順位は6番手タイムとなり見事Q1突破を果たした。

■Q2:平手がQ2で4列目7番グリッドに
 公式予選Q2は、気温30度/路面温度37度とQ1同様のコンディション。インターバルの間にヘイキからの情報と各種データをインプットして走りのイメージを造り上げた平手。
 
 残り7分ほどでコースインし、Q1と同じソフト系タイヤを装着する平手は、Q1のアタックの様子から早めのウォームアップでタイヤに熱を入れていった。十分にタイヤを温め、4周目にアタックラップに入った平手は、ヘイキのセクタータイムをコンマ1秒ほど削ってきた。
 
 ライバル勢も同じくタイムアップを果たしていくなか、続くセクターでもコンマ数秒ずつさらに削っていく気合いの走りを見せる平手。自己ベストを記録する1分11秒803を叩き出すも、ウエイトの軽いクルマに上位を占められてしまい4列目7番グリッドとなった。

■決勝
■ウォームアップ走行
 23日(日)各種プロモーションイベントやセレモニーの後に設定された20分間のウォームアップ走行では、気温25度/路面温度26度で雨。
 
 スタートドライバーのヘイキからウェットタイヤの確認を2種類行い、10周目からは平手が同じくウェットタイヤの確認を兼ね、チェッカーまで3周走行して決勝への準備を無事に整えた。

■決勝スタート
第1スティント:ヘイキが雨中の好走で一時3位浮上
 22日(日)14時決勝スタート時点は気温25度/路面温度26度。雨が一時は止んでいたが路面は濡れたまま。
 
 スタート直前からふたたび降雨があり30分以上は降り続け2回の強い雨が来るとの天候分析から、エンジニアとドライバーがスターティンググリッド上で協議し、戦略上の自由度が高くスタート担当のヘイキの雨の速さにも期待を掛けて最終的にハード系のウェットタイヤを装着。
 
 不退転の覚悟で4列目7番グリッドから勝利を目指していった。ヘイキがスタート直後の1コーナーで2台を抜き去り5位に浮上。トップ集団の中で前に食らい付き、1回目のセーフィティカー(SC)導入後の16周目には4位に浮上。
 
 29周目には16号車を仕留めて3位に浮上する快進撃。天候分析通りに雨が止み路面の水の量がなくなってドライ路面になりつつあった40周を終えピットインをしようとピット進入レーンに減速して向かうと2回目のSC導入表示される不運。
 
 規則によりピットインができずにステイアウトすると、この隙に後方の2台(6号車、23号車)に抜かれふたたび5位に。その後2回目SC解除時のピットインでの混雑と避けて100号車との位置関係から解除次周47周を終えピットインを敢行。
 
 ヘイキの素晴らしいインラップの走りと素早いピットワークでこれまでピットインした車両のトップとなる5位で復帰する好戦略となるチームワークを見せた。この考えられた戦略が次の不測の事態で大きなアドバンテージを呼び込む結果となる。

第2スティント:平手が死闘の末にトップチェッカー
 そのピットアウト時になんと目の前で3回目のSC導入となる波乱。このタイミングでのSC導入で、ステイアウトし続けたトップの100号車にラップダウンされずに戦列復帰していたため、ピットインした車両の中で同一周は46号車のみと一騎打ちの様相となった。
 
 つまり、2回目のSC解除時にピットインしたグループは100号車にアウトラップで抜かれてしまっためラップダウン扱い。100号車を含む上位4台のステイアウト車両は逆にこの3回目のSC導入によって1周先にピットインしていた我々と46号車に1周近くのピット作業分のマージンを削られてしまう結果となった。
 
 これはSUGOが1周のラップタイムが短いがためにSC導入時には起こる得る状況であり、上位車両に対してアンダーカット(=先にピットイン)、下位車両に対してオーバーカット(=1周後にピットイン)という高度な戦略を敢行。また6号車を40周を終えたときに先行を許してしまったため、ピット位置の関係から6号車が47周を終えてピットに入るか入らないかも考慮された。
 
 つねに置かれた状況を見ながら戦略を変えていくチームの判断が幸を奏した結果である。そして、3回目SC解除時に上位4位までの車両がピットイン。ここでトップに立った平手が好ダッシュを決めて、一時2位46号車に6秒ものマージンを築くも、残り数周でペースが上がらず差を詰められてしまう。
 
 運命のファイナルラップで46号車と肉弾戦となり、雨がふたたび降り出したSPコーナーで両車コースオフ。立ち上がりでもつれ合い態勢が崩れるほどのドックファイトで、激しくもクリーンなトップの奪い合いを演じた。
 
 悪夢再来かと思われたが、ここでなんとか意地で持ちこたえた平手がトップチェッカー。第2~3戦の悔しい結果に対する雪辱となる、今季待望の初勝利を劇的に飾った。
 
 ドライバーポイントは20点獲得(計35点)、チームポイントでは23点を獲得(計45点)し、ランキング4位に浮上した。ランキングトップ奪回を狙う次の第5戦は、8月5日(土)~6日(日)に富士スピードウェイで行われる。

■レース後コメント
ヘイキ・コバライネン
「とてもクレイジーなレースだったけど、タイヤ選択とSCのタイミングが我々に最高の結果を呼び込んだね。自分のスティントではブリヂストンのウェットハードが素晴らしく7位から3位まで追い上げることができた」

「最終ラップのコウヘイ(平手晃平)とモトヤマサン(本山哲)とのバトルではクルマが横を向いたときには僕はハートアタック(心臓が止まった)だったよ」

「その後、復帰してトップチェッカーまで僕はピットで立てないほどだったけど、一気に喜びを爆発させてバンザイポーズ。本当に嬉しい勝利だった。次回のLEXUSホームコースの富士でも表彰台に立てるよう精一杯頑張るよ」

平手晃平
「おかげさまで、ここ2戦の雪辱を果たすことが出来ました。今日は本当に難しいコンディションで荒れたレースになりましたが、昨年もてぎ以来の優勝を勝ち取ることができました」

「予選までの結果で、表彰台を獲れればと思ってたところ自分の第二の故郷であるSUGOで勝てて本当に嬉しいです。最終ラップは本当に痺れる展開でしたが、ここで負けるわけはいかないと踏ん張りました」

「まだシーズンが半分終わったところ。続く富士、鈴鹿でも良いレースをして連覇に向けて突き進んでいきたいと思います。引き続きご声援のほどよろしくお願いします」

総監督 佐藤勝之
「レクサスの4連勝に貢献が出来たことは本当に喜ばしい結果です。目まぐるしく変わる気象の難しいレース展開でしたが、素晴らしいタイヤを用意して頂いたブリヂストン様に感謝申し上げます」

「前回、前々回のレースから得られた課題や問題点を修正し、戦略と戦術に活かすことが出来たこと、ドライバー、エンジニア、メカニックそれぞれが役割をパーフェクトに遂行できたことが、優勝という結果に結びつきました」

「連覇を目指す我々は、さらに強くなるために、己に厳しく、結果に驕ることなく、日々課題と向き合い、改善に取り組み、次の富士、鈴鹿と続く夏場の連戦に、チャレンジャー精神で挑んで行きます。皆様どうぞ、引き続き御声援のほどよろしくお願い申し上げます」