保育士や幼稚園教諭の人材紹介サービスを行うウェルクスは7月24日、正規職員と非正規職員についてのアンケートの結果を発表した。
調査は6月24日~7月4日、正規職員または非正規職員として働く保育士・幼稚園教諭178人を対象にインターネットで行った。
「保護者からしたらみんな同じと言われ、同じ業務をさせられる」
職場で「正規雇用職員と非正規雇用職員との間に確執や不満がある」と回答した人は、正規雇用で46%なのに対し、非正規雇用は58%。後者は雇用形態の壁をより実感していることが分かった。
自分の雇用形態と異なる立場の職員に対し「現状、不満を抱えている」と答えた人は、正規雇用33%、非正規雇用57%と24ポイントの差があった。
「不満がある」と答えた人に「どのような不満があるのか」と聞くと、正規雇用では「業務における責任感に対する不満」(76%)が最も多かった。次いで「業務の振り分け、役割分担に対する不満」(66%)、「業務の引き継ぎや巻取りに対する不満」(31%)が挙がっている。
非正規職員の回答を見ると、最も多かったのが「業務の振り分け、役割分担に対する不満」で73%。以降「賃金に対する不満」(59%)、「業務量に対する不満」(51%)と続く。正規雇用職員からは次のような声が出ていた。
「昼間だけの保育士は直接保護者と話す機会もないからか、子どもの怪我や体調への配慮に欠け責任感のなさを感じる。(略)正規か非正規かではなく保育士として仕事をしてほしい!」(30代前半・保育士/正規職員・女性)
保護者から見れば正規も非正規も関係ないため責任感を持って働いてほしい、と思っているようだ。しかし非正規雇用職員は相反する考えを持っているようだ。
「準職員なのに正規職員と同じように責任のある仕事をさせられる。例えば行事のリーダーや個人の年間目標を作るなど…」(20代前半・保育士/派遣・女性)
「子どもや保護者からしたら正規も臨時もみんな同じだと言われ、全て同じ業務をさせられる」(20代後半・保育士/パート・アルバイト・女性)
給与・業務の見直しの他、相互理解を行う場も必要
こうした正規と非正規の壁について、「取り除けないと思う」と答えた人は正規雇用が40%で、非正規雇は48%となった。どのような対策や配慮が必要かと聞くと、両者とも上位3位は「業務形態に合った業務量の振り分け」「雇用形態に見合った給与設定」「職員本人の心がけ次第だと思う」が占めていた。
それぞれの職員にお互いに求めることを聞くと、正規雇用職員からは、
「保育の現場で働いているという自覚を持ち、積極的に動いて欲しい。休む場合などは他の職員に迷惑をかけないよう状況を考えて欲しい」(20代前半・保育士/正規職員・女性)
という声があがっている。しかし両者から、
「非正規の方々は経験もあるので、大切な場面では非正規正規関係なくお互いを尊重しあいながら、意見を出し会える雰囲気にしたい。(30代前半・保育士/正規職員・女性)
「非正規でも対応できるよう情報共有してほしい」(20代後半・その他保育関連非正規職員・女性)
という声も寄せられている。給与や業務の割り振りを見直すだけでなく、相互理解の場をきちんと設けるという配慮も必要と言えそうだ。