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FIA、「なぜ“ハロ”がF1コクピット保護デバイスとしてベストなのか」を説明

2017年07月24日 17:32  AUTOSPORT web

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2016年イタリアGP “ハロ”のテストをするジェンソン・バトン(マクラーレンMP4-31・ホンダ)
FIAが、F1のコクピット保護デバイスとして2018年に“ハロ”を採用するという決定を下した理由を説明した。

 コクピット保護デバイスとして、昨年はハロのテストが優先して行われ、シーズン中に全チームが試した。しかし今年に入ってFIAは新たに“シールド”システムの開発を優先して推し進めていくことを決め、イギリスGPで初めてのテストを行った。

 ところが19日のF1ストラテジーグループ会合の後、FIAは「過去5年にわたって多数のデバイスの開発、評価を行ってきた結果、全体的な安全性に関してハロが最も優れたパフォーマンスを示すことが明らかになった」ため、「2018年にハロを導入することを確認する」との声明を発表した。

 この決定に対して、一部関係者やファンから否定的な反応が見られているが、突然ハロに立ち戻った理由を、FIAは22日、詳しく説明した。


 他の選択肢を選ばなかった理由として、レッドブルが提案した“エアロスクリーン”は、2016年ロシアGPのフリープラクティスでテストされたが、「一部のエリアではうまくいったものの、さらなるテストによってこのデバイスの有効性について懸念が生じた」とFIAは述べている。


 シールドに関しては、「FIAは、2018年の導入に備え、今シーズン中にこのシステムのトラックテストを行うことを目指した。静止テストの後、シールドシステムは、2017年イギリスGPにおいて、セバスチャン・ベッテルのフェラーリに装着され、短いトラックテストが行われた。このテストのフィードバックから、システムに関して多数の限界が明らかになった」との説明がなされた。



 一方、ハロについては、3つの重要な大きなリスク、つまりマシンとマシンの接触、マシンと周囲との接触(ヘルメットとウォールやバリアの接触など)、外部物体(デブリなど)に関して効果があることが証明されたと、FIAは述べている。

 視界の問題についても、「コース上のテストで得たフィードバックから実質的に視認性に影響はないことが分かった」という。

 ドライバーがコクピットから脱出する際に障害になるのではないかという点も問題視されていたものの、FIAはこれも打ち消している。
「コース上のテストによって、コクピットからの脱出に関してなんら問題がないことが明らかになっている。安全な脱出を実現するため、手順を修正し、ハロを装着した状態で多様な脱出テストが行われた」

 ハロに関しては多数のドライバーとチームによって何度もトラックテストを行い、成功していること、2018年シーズンスタートに間に合うようレギュレーションを作成する必要があることから、ハロは現在存在する前部コクピット保護に関する最善の解決法であると、FIAは結論づけた。

 2018年の導入に向けて、今後、チーム、ドライバー、FIAの間で、ハロの最新デザインの調整を行っていくということだ。