FIA-F4選手権シリーズの第4大会が、7月22~23日にスポーツランドSUGOで開催され、2戦ともに角田裕毅(SRS/コチラレーシング)がポールポジションを奪うも、展開に恵まれず。第7戦は笹原右京(HFDP/SRS/コチラレーシング)が、そして第8戦では大滝拓也(SRS/コチラレーシング)が優勝を飾ることとなった。
ここまで4人のウイナーが誕生し、うち笹原と宮田莉朋(FTRSスカラシップF4)が2勝ずつ分けあっているFIA-F4。メインレースのスーパーGT同様、2カ月のインターバルを挟んだが、予選までは急浮上のドライバーは現れず。赤旗が2度も出て、アタックのタイミングを逸する者も少なくなかったなかで、しっかり2戦ともに上位を独占したのは角田と大湯都史樹(HFDP/SRS/コチラレーシング)、そして笹原の3人だった。
「最初の赤旗前にうまくタイムが出せず、タイヤを使ってしまったので、無理せず第8戦のポールを狙おうと思って走ったら、意外にタイムが出て、もう1周行ったら、さらにうまくまとめることができて、2戦ともにポールを獲得できました。今回はオートポリスの時のようなミスをせずスタートしたいです」と角田。
だが、第7戦では角田のスタートも悪くなかったものの、それ以上に良かったのが笹原だった。角田が大湯をけん制し過ぎて、ぽっかり空いてしまったコーナーのインを、いったんはアウトから攻めた笹原がクロスをかけて、スパッと刺すことに成功。
さらに角田は3コーナーで宮田莉朋(FTRSスカラシップF4)と接触して順位を落とし、大湯はヘアピンで追突を食らってリタイア。宮田もまたフロントに大きなダメージを受け、ピットには戻ったものの、やむなくリタイアを喫することとなった。
さらに馬の背コーナーでも2台が絡むアクシデントがあったため、セーフティカーがコースイン。
スタンド前にトップで戻ってきた笹原に続いていたのは、4番手スタートの石坂瑞基(DADSFC SUTEKINA F4)そして8番手スタートの大滝だった。SCランは思いの外、長く続いたのは先の2台を回収した後も、馬の背で停止した車両があったため。10周目からバトルは再開。規定の30分間まで、残り5分間の戦いとなる。
リスタートを決めた笹原の後方では石坂と大滝、さらに澤田真治(B-MAX RACING F110)も加えて激しい攻防が。まずは澤田が1コーナーで大滝をかわそうとするも、しっかりガードを固められてしまう。逆に、ここを守った大滝が、石坂をかわして2番手に浮上する。
石坂は続いて澤田の猛攻も食らうが、なんとか抑え続けた間に笹原はもちろんのこと、大滝さえも逃していた。
「僕のスタートも良かったんですが、抜ききるまでには至らなくて、あらかじめアウトから行こうとは考えていたんですが、思ったよりもふたり(角田と大湯)がやり合っていたので、そのまま行ったら、いちばん僕が割りを食うだろうと。たとえ順位を上げられなくてもいいから、クロスをかけてインを行こうと思ったら、予想以上にうまく行きました」と笹原。一瞬の判断が呼び込んだ勝利と言えるだろう。これで笹原は3勝目をマーク。
第8戦は予報で告げられていたとおり、しっかり雨に見舞われてセーフティカースタートからの始まりとなる。2周の先導の後、いよいよバトルが開始。SPコーナーアウトから加速していった角田は、1コーナーでこそ逆転を許さなかったが、3コーナーで大湯に先行されてしまう。そして、直後の最終コーナーでアクシデントが発生したため、またしてもSCがコースイン。
この先導は2周で終わるも、トップの大湯がピットに戻ろうとするSCに付いていってしまう。そのため大湯が急減速したため、これを避けようとした角田と笹原が接触、ともにリタイアとなる。
これを巧みにかわして、トップには高橋知己(点天&イーストアップwith Field)が立ち、2番手には宮田が。その背後には第7戦でも表彰台に立った大滝と石坂が続く。
当然、またもSCがコースに入り、3度目の先導は4周に渡った。リスタートの後、1コーナーではトップを守った高橋ながら、2コーナーで痛恨のコースアウトがあり、その脇を宮田と大滝、石坂が駆け抜ける。そのまま逃げるかと思われた宮田だったが、続く3コーナーの立ち上がりで姿勢を乱したところを大滝と石坂は見逃さず、するりとかわされてしまう。
そして馬の背では、高橋が澤田にも抜かれて5番手に後退。ホームストレートに戻ってきてコンマ7秒の差を石坂に対し、つけていた大滝は残り3周、さらに差を広げてゴールすることに成功。ほぼ1年ぶりの勝利を奪うこととなった。
「(チームメイト同士のアクシデントの時は)幸い、僕は後ろの方だったので、なんとか避けることができました」と大滝。
「でも、けっこうギリギリでしたけど。SUGOはほとんど走ったことはないんですが、(山形出身で)地元ということもあって、ホームコースも同然なので、いつもよりリラックスして走れたのが、いろんな意味で良かったのかもしれません。最後のリスタートも、何か起こりそうな予感がしたので、ちょっと引いていたら、うまく行きましたし」
「とにかくホッとしました。今度はちゃんとレースをして、自分の力で勝ちたいですね!」
最後まで宮田を抑え抜いて、2戦連続で表彰台に上がった石坂ながら、勝てるチャンスも充分あっただけに、そこでの表情に笑顔はなかった。