優勝した1号車DENSO KOBELCO SARD LC500と予選最後尾から2位表彰台を獲得した46号車S Road MOLA GT-R。2台によるファイナルラップを含めてのバトルは今回の最大のハイライトとなったが、それまでのレースの過程を振り返れば、運が大きく味方したことは間違いない。結果的になぜ、この2台のみが好運に恵まれることになったのだろうか。
運命を分けたのは、46周目からの3周だった。まずは、46周目のトップ8の順位は車番で以下のとおり。
100(RAYBRIG NSX-GT)-64(Epson Modulo NSX-GT)-23(MOTUL AUTECH GT-R)-1-6(WAKO’S 4CR LC500)-37(KeePer TOM’S LC500)-46-36(au TOM’S LC500)
47周目には、このなかで6号車、37号車とピットインし(ほかにも8号車、19号車、12号車がピットイン)、以下のようにトップ8が変わる。81周レースの折り返し地点でのセーフティカー(このレース2度目の)明けのタイミングだっため、多くのマシンがこのタイミングでピットに入った。
#100-#64-#23-#1-#36-#46-#6-#16
ここで複雑なのは、SUGOは1周の距離が短く、ウエットでもレースのラップタイムはこの時点でも1分20秒前半と早いため、ピットインでのロスタイムはそのタイムを上回り、通常のピットインを行うと周回遅れになってしまうという点。
47周目の時点では6号車以下が周回遅れになってしまう形となる。
そして48周目には1号車と46号車がピットイン。このタイミングにピットインした理由は「多くのチームがセーフティカー明けに入るのは明らかだったから、その混雑を避けるために1周遅らせた」(DENSO田中耕太郎エンジニア)との理由からだったが、これがドンぴしゃに好運に恵まれた。
48周目にGT300マシンが1コーナー、最終コーナーで飛び出してストップしたため、(このレース3度目の)セーフティカーが入ることになったのだ。
そのため、通常なら1号車と46号車はピットインで周回遅れになるはずだが、トップの100号車がセーフティカーに従う形でペースダウンしたため、1号車と46号車は周回遅れとならず、トップと同一周回でコースに戻ることができ、しかも、ピットイン(ドライバー交代)を済ませていたため、ピットインしていなかった上位4台に対し、大きなアドバンテージを得ることになったのだ。
48周目のトップ8の順位は以下のとおり。1号車以下がピットを終えているマシンだ。
#100-#64-#23-#36-#1-#46-#6-#16
トップの100号車は、この時点でもラップタイムがもっとも速く、この後の天候を見極めるためにも、ペースが落ちるまで、このスティントを伸ばせるだけ伸ばすのは王道戦略だった。上位4台は53周目のリスタートでピットインするが、ここで4台は周回遅れになってしまい、優勝戦線から脱落。1号車、46号車の2台の優勝争いとなった。
1号車と46号車は運が良かったと言えばそれまでだが、その好運をいかに手繰り寄せることができるかも、またレースの醍醐味でもある。