ホンダNSX-GTの速さばかりが目立つ結果となった、スーパーGT第4戦SUGOのGT500クラス予選。ライバルメーカーは、そのホンダ陣営をどのように見ているのだろうか。また、決勝はどのような戦いになるのだろう。
GT500の予選は、結果から見れば上位3台がNSX、そして4番手から6番手の3台をヨコハマタイヤ勢が占めた。もちろん、サーキットと相性のよいパッケージで、きっちりと結果を出したドライバーのパフォーマンスがあってこその結果ではあるが、今回は特にこのSUGOとの相性の良さが際立つ並びとなった。
ホンダ陣営としては、このSUGOは勝負どころだった。ホンダ陣営を率いるGTプロジェクトリーダー、佐伯昌浩エンジニアの予選後のコメントからも、それが分かる。
「ホッとしましたね。ニッサンが新しいエンジンを投入してきましたが、相当な覚悟を持って入れてきたと思っています。ストレートエンドのスピードも、このSUGOではかなり伸びていましたので。ウチも事前テストである程度、上位に食い込めるとは思っていましたが、結果的にワン・ツー・スリーで良かったです」
ポールを獲得したARTA NSX-GTの野尻智紀はウエイトハンデが軽いと言えども、2番手にコンマ5秒差を付ける圧巻のタイムで予選を駆け抜けた。NSX陣営内でも、今回のARTAは頭ひとつ、抜けた存在であることは間違いない。
そんな好調のホンダ陣営に反して、このSUGOでニューエンジンを搭載してきたニッサンGT-R陣営は予選Q2に残ることができたのがフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rの1台と、残念な結果になってしまった。
とくにミシュランを装着するMOTUL AUTECH GT-R、S Road CRAFTSPORTS GT-Rが14番手、15番手とまさかの最後尾となってしまった。
「エンジンは前よりも良くなったので、今日の予選が良くなかったのはタイヤとのマッチング(が原因)。もうちょっと暖かい気温、金曜日くらい暑かったら全然、違う結果になったと思う。今日、曇って温度が下がったことでタイヤが発動しなかったのが一番の原因」と話すのはS Road GT-Rの本山哲。
予選後には本山と松田次生がピット裏で話し込む姿も見られ、持ち込みタイヤの選択、そしてクルマとのマッチングに、まだまだ手間取っているような雰囲気だった。
レクサス陣営としては、ランキング上位のチームはやはり、大きなウエイトハンデの影響が大きかった。今回の優勝候補に挙がっていたWedsSport ADVAN LC500はQ2のアタックで若干のミスがあった様子。DENSO KOBELCO SARD LC500もウエイトハンデは30kgで、2番手のRAYBRIG NSX-GT(34kg)、3番手のKEIHIN NSX-GT(36kg)と同等の条件だったが、NSX陣営の相性の良さか、DENSOは7番手止まりとなってしまった。
明日はスポーツランドSUGOのある宮城県村田町菅生は、降水確率が70パーセントの予報でウエットレースになりそう。ウエットの場合、ウエイトハンデよりもタイヤメーカーによる得手不得手が出てくるが、現在のGT500ではどの雨量でもブリヂストン勢が安定して速いと評判で、ダンロップは半乾き状態で最速と言われる。
ヨコハマ、ミシュラン陣営としては苦しい戦いになりそうで、特にミッドシップのNSXとブリヂストンの相性はウエットでは最強。雨になれば、NSX陣営内で3台の激しい戦いとなりそうな気配だ。