7月22~23日、宮城県のスポーツランドSUGOでスーパーGT第4戦が開催されるが、この場に今季ル・マン24時間耐久レースでLM-GTEプロクラス2位を獲得したフォードGTをドライブした、ピポ・デラーニが訪れた。
デラーニは1993年ブラジル生まれ。カートからキャリアをはじめ、四輪ステップアップとともに渡欧。イギリスF3やユーロF3を経て、2014年からスポーツカーレースに転身し、15年にはG-ドライブ・レーシングからWEC世界耐久選手権にフル参戦。16年はエクストリーム・スピードに移籍し、アメリカではIMSAウェザーテック・スポーツカーのデイトナ24時間やセブリング12時間でも優勝を飾った。
また、LMP1のルーキーテストにも参加した経験をもつほか、今季はLM-GTEプロに参戦するフォード・チップガナッシ・チームUKのシートを獲得。ハリー・ティンクネル/アンディ・プリオールとともに参戦し、6月のル・マンでも激戦のLM-GTEプロの争いのなかで、クラス2位の成績を残している。
そんなデラーニが、スポーツランドSUGOに姿をみせた。本人によれば、今回の来日の目的は「スーパーGTはどんなもので、どう運営されているかを観にきた」という。そして、目標は「GT500のシートを得ること」だ。
「僕はイギリスF3に参戦していた頃に、(過去に日本でキャリアを積んでいた)ロベルト・ストレイトに学んでいたんだ。彼から日本のことを数多く聞いて、日本のモータースポーツに関心があったんだ」とデラーニ。
「IMSAではエクストリーム・スピードから参戦しているけど、彼らはニッサン/ニスモのエンジンを使っていて、そこからニッサンのグローバルモータースポーツダイレクターであるマイケル・カルカモを通じて、今回時間を作って来日する機会を作ってもらったんだ。まだこれがどう繋がってくるか分からないけどね」
デラーニにとって、スポーツカーレースに身を置いてから常に目標としているのは、他の多くのドライバーと同様にメーカーと契約する「ファクトリードライバーになること」だというが、その上でGT500に関心を示すのは、やはり競技のレベルだという。
「今季はフォードとの契約を得ることができたけど、GT500はファクトリーのサポートを受けるチームだけで戦っているし、メーカーのマシン、そしてメーカーのタイヤを履く、スーパーハイレベルなレースだ。勝つことが難しいし、挑戦のし甲斐があるよね」とデラーニ。
「GT300への関心はないよ。トップクラスでの戦いを求めているし、今はヨーロッパでもトップカテゴリーではないが、プロが乗る最も激しいLM-GTEプロで戦えているし、アメリカでもトップクラスで戦えている。日本へ活動の場を移すときは、トップカテゴリーであるGT500だけだと考えているよ」
現在、ヨーロッパやアメリカでファクトリードライバーとしての契約を得ていることから、「来年すぐにどうこうというわけではなく、将来に向けていろいろな機会を見出していきたい。でも今回は日本の文化やレースのやり方も学べるので、来られて嬉しく思っている」とデラーニは言う。
グローバルに戦うドライバーが来日して視察するということは、今のスーパーGTの競争の高さ、そして世界のモータースポーツにおける価値を表しているようだ。デラーニにGT500ドライブの機会は訪れるのか、今後の動向を楽しみにしたいところだ。