今シーズンのスーパーGTで、まさかの不振に喘いでいるニッサンGT-R陣営が、今週末の第4戦SUGOで全4チームにニューエンジンを投入することが金曜搬入日に判明した。
「今シーズン、エンジン面で不具合を抱えていまして、その対策を進めてきたのが今回の2基目のエンジンです。信頼性を確保して、出力も向上して競争力を高めたエンジンです」と語るのは、ニッサン陣営をまとめる田中利和総監督。
現在の規定ではシーズン中のエンジン使用は2基まで。今季のGT-Rはエンジンの不具合、信頼性の低さから出力を制限して開幕からの3戦を戦わざるを得ない状況だったと聞く。
前回の第3戦オートポリスから今回の第4戦SUGOまでには、SUGO、鈴鹿での公式テストに加え、鈴鹿、富士でのメーカーテストと、4度のテストが行われている。当然、その実践テストを通じての2基目のエンジン投入になるため、ある程度の自信があるのは間違いないだろう。
通常なら第6戦鈴鹿1000km前で投入するのが通例。ニッサン陣営は早くも切り札を切った形となったが、なぜ、この第4戦のタイミングなのか。
ライバル陣営からは「レクサス陣営の各チームのウエイトハンデが厳しくなるこの夏場に勝負を懸けて、ニッサン陣営としてポイントを獲りに来ているのではないか」という見方や、「シリーズタイトルは厳しい状況になってきた中で、なんとかこの夏場での勝利を挙げたいのでは」など、さまざまな憶測が流れた。
そして、同時に心配されるのが、ニッサン陣営は第4戦から残り5戦分をエンジン1基でもたせられるのか、という疑問だ。「3基目の投入、ペナルティを覚悟してでも投入したくなるほどいいエンジンができたのではないか」という声も聞くが、果たして、ニッサン陣営はシーズン3基目の投入を視野に入れているのか。
「3基目の投入は今のところは考えていません。このエンジンで最後まで行く予定ですし、十分、それができると思っています」と、田中総監督はその憶測を否定。
今シーズンは日曜午前のフリー走行やサーキットサファリがなくなったことで、走行距離は昨年よりも少なくて済むことも影響していると考えられる。
ドライバー側としては、ニューエンジンの投入はうれしい反面、今回のSUGOではエンジンと同等以上に、タイヤのマッチングが勝負の分かれ目となりそうだという。
「あとはタイヤのマッチング次第ですね。このSUGO、そして今週末は天候を含めていろいろな状況があると思うので、とにかく生き残っていれば」と話すのは、MOTUL AUTECH GT-Rの松田次生。
「このSUGOだけでなく、その後のレースを含めて結果を出すことを考えています」と、次生が話すように、このSUGOをきっかけにして、ニッサンGT-R陣営としては逆襲を狙いたいところ。テストでの様子ではGT-Rのニューエンジンはサウンドも今までよりもかなり良質とのことで、SUGOを訪れるファンにとっては楽しみがひとつ、増えることになる。
ちなみに、ホンダ、レクサス陣営では金曜日の時点では2基目のエンジンを投入しているという話は聞こえず、次戦、第5戦富士以降に投入する見通しのようだ。