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従業員の絶叫プレゼンで優勝を決める「おふろ甲子園」に賛否 「サービスで勝負して」「精神論で勝負だなんて時代錯誤」

2017年07月20日 14:31  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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"甲子園"というと、汗にまみれて白球を追う高校生の姿を思い浮かべる人が多いだろう。しかし近年、社会人が業界の頂点を目指す"〇〇甲子園"の開催が活発化している。

7月19日の「マツコ&有吉かりそめ天国」(テレビ朝日系列)で、日本一の温浴施設を決める"第4回おふろ甲子園"決勝大会の様子が放送され、ネット上で賛否を巻き起こした。

「父さんからもらったこの熱い思いで、輝き続けます!」と絶叫

おふろ甲子園では、まず全国からエントリーされた温浴施設に対し、覆面調査員による抜き打ちチェックが行われる。その中から接客サービスが素晴らしいと評価された6店舗のみが決勝に進める。

しかし、決勝では接客技術などサービスに関連した内容ではなく、ステージ上で自店の取組みや自身の仕事にかける想いをテーマにした「プレゼンテーション」が行われる。番組では身振り手振りをつけ、汗を流し、時には涙を流して思いの丈を叫ぶ従業員の姿が放送された。

「たくさんの失敗の中で先輩スタッフはいつもフォローしてくれました」
「私は、父さんからもらったこの熱い思いで、輝き続けます!」

各店舗では決勝に向け、約2か月前から"プレゼン"の練習を重ねてきた。VTRでは終業後、従業員がプレゼン中の身振りの指導を受けたり、全社員の前で舞台役者のようにリハーサルを重ねたりする姿も紹介されていた。

審査員を務めた混浴施設コンサルタントの太田広さんは、決勝大会について、「1年間、辛い思い、大変な苦しみを味わってきた中で、どれだけがんばって成し遂げたかを発表する場。感動します、熱さが伝わってくる」と説明していた。現に決勝会場の客席では、涙する人も見られた。

マツコ「抜き打ちチェックだけでいい。決勝大会とかいらない」

しかし、温浴施設を対象にした大会にも関わらず、最後は従業員の絶叫プレゼンで優勝を決めるというのはいかがなものなのだろうか。終業後に従業員が仕事の本質とは関係ない演技指導を受けるのも違和感がある。ちなみに優勝しても賞金はない。あくまでも自身の誇りをかけて戦う場のようだ。

番組では、MCのマツコ・デラックスさんも一連のVTRについて、

「(練習の様子より)ねえお風呂見せてよ~」
「抜き打ちチェックだけでいい。無理に(プレゼンをする)決勝大会とかいらない」

とコメントしていた。視聴者も同様の感想を抱いたようだ。ツイッターでも、

「おふろ甲子園で感動できる人の気が知れないし、いろんな闇を感じる」
「この努力を普段の営業に回してほしい。こんなんしてる温泉施設には行きたくない」
「従業員に絶叫させて洗脳するクソ典型ブラックじゃねぇか。(略)旅館業界はサービスや食事とお風呂で勝負してね」

と決勝の様子に疑問を抱く視聴者の声が多く寄せられた。また「観光業はまだ精神論で優劣を競争しているという時代錯誤かつブラックな印象に拍車をかけている」とした上で、

「職場賛美大会ではなく合理性のある基準でないと、大会どころか業界ごと白眼視されますよ」

と指摘する人もいた。

この大会の趣旨について、公式サイトでは「温浴業界で働いている人が夢や誇りを持てる大会にすることを目指しています」と記載されている。2012年に第1回が開催された。参加店舗からは

「正直、売上が上がった等、大きな成果はまだ出ていませんが、多くのスタッフが社外に仲間ができ能動的になり、働く目的の目的を考え始め出したのは事実です」

と好意的な感想が出ていたという。

今回紹介されたのは温浴施設を対象にしたものだったが、こうした「〇〇甲子園」は「居酒屋甲子園」「介護甲子園」など他の業界でも行われている。業界首位を目指すこと、仕事に誇りを持つことは素晴らしいが、檀上で絶叫する参加者の様子を見ると、どうしてもブラック企業の研修を想起してしまう。