連合が「高度プロフェッショナル制度」を条件付きで容認したという報道を受け、7月19日夜、連合本部前(東京都千代田区)で有志による抗議行動が行われた。参加者たちは「私の残業、勝手に売るな」「勝手に決めるな」と声を張り上げた。
「連合は労働組合としての本分を果たして下さい」
抗議行動の冒頭、呼びかけ人の男性(33)は、
「労働組合は、働く人の権利と生活を守ることが仕事であるはず。その総本山である連合がどんなに残業をしても残業代が支払われなくなる『高プロ』に賛成するなんて許されません」
「高プロが導入されれば、定額で働かせ放題になる。長時間労働に苦しむ人がますます増えてしまう」
と連合を批判した。あくまでも年収が1075万円以上の一部の人が対象だが、「経団連は年収400万円以上にまで対象を拡大しようとしている。そうなったら普通のサラリーマンがほとんど全員対象になってしまう」と警告を鳴らす。
非正規雇用の男性もマイクを持って、
「あのとき声を上げればよかったと後悔したくなくて、仕事を終えてからご飯も食べずに駆け付けました。連合は労働組合としての本分を果たして下さい。僕たちのことを見捨てないで下さい」
と訴えた。
参加者は主催者発表で約120人。プラカードを掲げながら、「私の残業、勝手に売るな」「逢見直人はさっさと出てこい」とコールを繰り返した。清掃作業員の男性(50)は、「ツイッターで知って参加しました。連合には勝手に決めないでほしい」と抗議行動への思いを語った。
「私達の声を直接聞く機会があれば、連合も考え直してくれるのではないかと思った」
呼びかけ人の男性は「連合の人たちは我々の声を聞く機会がない。声をきく機会があれば、考え直してくれるのではないかと思い、ツイッターで呼びかけました」と語った。
参加者の中に知り合いは2人しかおらず、ほとんどの人がツイッターの告知を見て自発的に参加したのではないかという。
「どこかの団体から動員されているとか、連合と敵対する労働組合の組合員が抗議しているなどと言う人もいる。でもほとんどは自発的に集まった普通の働く人たちです」
抗議終了後には、「平日のこの時間にこれだけの人が集まったことは大きかった。来てくれた方々がそれぞれ『連合にはしっかりしてほしい』という思いを持っていることがわかった。連合への意志表示になったと思う」と手ごたえを感じたようだった。
高度プロフェッショナル制度とは、コンサルタントなどの専門職として働く年収1075万円以上の人を、労働時間の規制や残業代の支払い対象から外す制度だ。高プロが盛り込まれた労働基準法改正案は、2015年に国会に提出されたものの、民進党や共産党から「残業代ゼロ法案だ」と批判を受け、継続審議となっていた。
連合も反対の姿勢を取ってきたが、7月上旬に突如、年間104日以上の休日確保や勤務間インターバルといった条件付きでの容認に方針を転換。傘下の労働組合からも批判の声が上がっていた。