2017年07月20日 09:53 弁護士ドットコム
前を走る車が遅くてイライラが募り、クラクションを鳴らしたくなる。そんな経験をしたことのある人もいるのでしょうか。ただ、実際に鳴らしてしまうと、問題になる可能性があります。
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弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、クラクションをめぐる相談が寄せられています。
相談者によると、自分の息子がバイクで走行中、前の車に対してクラクションを鳴らした行為が、軽犯罪法に違反したと警察署から電話があったそうです。相手の処罰感情が強く、道交法違反ではなくて軽犯罪法違反になると言われたそうです。
クラクションを鳴らしただけで、法律違反になるのでしょうか。神村岡弁護士に聞きました。
どういう場合に法律違反になるのでしょうか。
「道路交通法第54条2項は、法令の規定でクラクション(警報器)を鳴らさなければならない場合や、危険を防止するためにやむを得ない場合以外は、クラクションを鳴らしてはいけないと定めています。
また、法令の規定でクラクションを鳴らさなければならないとされているのは、見通しがきかないため、自分の車の存在を他の車に知らせる必要があるような場所に限られます。
そのため、前の車が遅い、信号が青になったのになかなか動かない、嫌な運転をされたので腹いせにといった理由でクラクションを鳴らせば、道路交通法違反ということになってしまいます。
そして、クラクションを鳴らしてはいけない場合に鳴らすと、道路交通法第12条1項6号により、2万円以下の罰金又は科料の対象となります。もっとも、反則金を納めれば罰金刑を受けることはありません。」
相談者のように、軽犯罪法違反になる可能性もありますか。
「ただ鳴らしてはならない場面でクラクションを鳴らしたというだけでは、軽犯罪法には該当しません。軽犯罪法に該当しうるのは、警察官などの公務員に制止されたにもかかわらず、なおクラクションを鳴らしたといったかなり悪質な場合です。
冒頭の事例では警察から軽犯罪法違反になると言われたとのことでしたので、ただクラクションを鳴らしたというだけではなく、クラクションを鳴らしながらつきまとうような運転を警察官に止められたのに、続けたのかもしれません。
通常は軽犯罪法違反にはならないとしても、道路交通法違反にはなりえますので、不必要な場面ではクラクションを鳴らさないように心がけた方が良いですね。」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
神村 岡(かみむら・こう)弁護士
札幌市内で、交通事故、相続問題、中小企業の法律問題を中心に幅広い分野に携わっている。中小企業診断士の資格も有している。
事務所名:弁護士法人創知法律事務所 札幌オフィス
事務所URL:http://www.ci-lpc.com/