イギリスGPでのフェラーリの敗北は、ティフォシやフェラーリ派メディアにとって受け入れ難いものだったようだ。シルバーストンでフェラーリはメルセデスに遠く及ばす、週末を通してペースが劣り、レース終盤ではタイヤのトラブルが起きて惨敗を喫することになった。
予選ではメルセデスのルイス・ハミルトンが2位のフェラーリ、キミ・ライコネンに0.547秒差でポールポジションを獲得。しかしバルテリ・ボッタスはギヤボックス交換により降格されて9番グリッドからのスタートとなったため、フェラーリのふたりが表彰台に上がる可能性は高いと思われた。ところがライコネンはタイヤトラブルで2番手から3番手に後退、セバスチャン・ベッテルはスタートで3番手の座を失い、確実かと思われた4位の座もタイヤのパンクによってつかめず、7位に終わった。一方、タイトル争いのライバル、ハミルトンは快勝、ボッタスは2位と最善の結果を出した。
その結果、ドライバーズ選手権リーダーであるベッテルのハミルトンに対するポイント差は1点にまで縮まり、コンストラクターズ選手権ではメルセデスがフェラーリに対するギャップを55点にまで拡大している。
「フェラーリの敗北は今シーズン中最悪だった」とイタリアの有名スポーツ新聞Gazzetta dello Sportは書き立てた。
「レースを終えたフェラーリは、イギリスGPがメルセデスにとって有利なターニングポイントとなったのではないかという懸念を抱えることになった。直近の3レースは厳しいものだったが、今ではその懸念がより大きくなっている」
「フェラーリは良い段階にあるとは言えない」と、同じくイタリアのスポーツ紙であるCorriere dello Sportも同調している
「フェラーリが徐々にパフォーマンスを下げていく間に、メルセデスはトラブルを克服している。フェラーリはまたゼロから始めなければならない」
メルセデス陣営では、ノンエグゼクティブチェアマンのニキ・ラウダが、フェラーリはタイヤ戦略で賭けに出てそれが失敗するというヘマをしたとの考えを示している。
「彼らはあのタイヤのまま最後までいこうとした判断の代償を支払った」とラウダはフィンランドの夕刊紙 Ilta Sanomatに語った。
「それがうまくいかないことは予見できた。それがターニングポイントになったと私は思う。我々の作戦は非常にうまくいった」
しかし、メルセデス・モータースポーツのボスであるトト・ウォルフは、慎重な姿勢を促した。皆が本命とみなしているチームでも、ふとした瞬間に形勢は一転することを十分すぎるほどよく知っているからだ。
「そういうことを言うと、次のレースでショックを受けることになる」とウォルフは語った。