労働時間を削減するために本当に重要な対策と、実際に取り組まれている対策にはズレがあるようだ。企業にストレスチェックなどを提供するアドバンテッジリスクマネジメントが長時間労働についての調査結果を7月19日に発表した。
最も多く実施されているのは「労働時間の集計/長時間労働が多い部署への勧告」
調査は6月15日~21日にインターネット上で実施された。対象になったのは同社のメールマガジン会員で、経営者や人事・労務担当者が含まれているという。
長時間労働を改善するために重要だと思う対策を聞いたところ、「業務の標準化(手順の見える化)」が78.4%で最も多かった。次に多かったのは、「会議のルール化(時間制限、参加者の明確化、情報共有方法など)」(69.0%)だった。「有給取得の推進」(68.8%)を挙げた人も多かった。
長時間労働を改善するために実施している対策として最も多かったのは「労働時間の集計/長時間労働が多い部署への勧告」で71.1%だった。「長時間労働者(本人)への警告」(57.4%)と「残業時間の事前申請制度」(55.8%)がそれに続いた。
残念ながら、多くの人が重要だと思っている対策と、実際に実施されている対策にはズレがあることがわかる。両者の開きが最も大きいのは「残業時間の削減を評価する人事制度」だった。人事制度の見直しには手間が掛かるため、中々着手できないということだろうか。
「業務の標準化」や「会議のルール化」「有給取得の推進」は "実際に実施"がそれぞれ25.6%、19.3%、54.1%で、いずれも"重要だと思う"割合を下回っている。必要な対策が中々導入されない現状が伺える。
2割超の人が「労働時間の短縮でメンタルの不調による求職者数が減った」と回答
それでも長時間労働は少しずつ改善しつつあるようだ。1年前と比較して「改善した」と回答した人の割合は、従業員が500人以上の企業で69.3%、500人未満の企業で58.9%に上った。ただ回答者には経営者や人事・労務担当者などが多く含まれているため、現場の従業員の感じ方とは異なっている可能性も否めない。
長時間労働の状況が「改善した」と回答した人のうち、メンタルの不調による求職者数が少なくなったと回答した人は24.5%だった。労働時間削減がメンタルヘルスの改善に一定の効果を上げているようだ。