政府と経団連、連合が本日7月19日に交わす予定だった「高度プロフェッショナル制度」についての「政労使合意」が29日に延期された。連合が突如、容認に転じたことに対して、傘下の労働組合から批判が続出していたためだ。朝日新聞などが19日に報じた。
連合の担当者は、キャリコネニュースの取材に対して「傘下の労働組合に対して説明を行っているところで、最終的な対応についてはまだわからない」と語った。
「有給休暇の取得義務化などを盛り込んだ労基法改正案をできる限り修正したい」
高度プロフェッショナル制度とは、年収1075万円以上の為替・証券ディーラーやアナリストなどの専門職を労働時間の規制や残業代の支払い対象から外す制度だ。高プロと裁量労働制の拡大を盛り込んだ労働基準法改正案は、2015年に国会に提出されたが、民進党や共産党から「残業代ゼロ法案だ」と批判を受け、継続審議となっていた。
連合も反対の姿勢を取ってきたが、7月上旬に突如、年間104日以上の休日確保と引きかえに高プロに方針変更。これに対し、連合傘下の全国コミュニティ・ユニオン連合会などから批判が上がっていた。
連合の担当者は、キャリコネニュースの取材に対して「高プロは導入すべきではない。その方針は変わっていない」と説明した。
「高プロは長時間労働を助長するものです。導入すべきではないという方針に変わりはありません。現在はできうる限りの修正をしています。(今秋の臨時国会で審議入りする見通しの)労基法改正案には、有給休暇取得の義務化も盛り込まれています。現在は中小企業に対して割増賃金の支払いを猶予する仕組みがありますが、その措置もなくすことが検討されています。政府はこうした政策を労働基準法改正案に一本化しようとしているんです。そのため改正案に含まれている高プロについてはできうる限りの修正を要請しているところです」
「傘下の組合からは色々な意見が出ている。丁寧に説明していく」
連合は、年間104日以上の休日を確保するよう修正を要請していた。これに対して「この休日日数ではすでに定着している週休2日制と変わらない」「むしろ正月休みなどを確保しなくてよくなる」といった批判が相次いでいた。
この点について、連合の担当者は「年間休日104日はあくまでも最低限の義務」と語った。
「国会に法案が提出されてしまっている状況で、最低限の義務として年間休日104日を要請しています。しかしインターバル規制や他の施策の導入も求めています。深夜に就業する回数を減らすこと、労働時間規制の対象から外れたとしても使用者が労働時間を管理すること、さらに2週間連続で休暇を取得できるようにすることなどです。こうした措置の中から選択して実施し、健康を確保できるようにしたいと思っています」
連合傘下の労働組合からも反対の声が上がっている点については、「いろいろな意見があると思う。きちんと丁寧に説明し、周知を図っていく」という。朝日新聞では7月27日に政労使で合意する見込みだと報じられているが、「最終的な対応はまだわからない」という。
本日19日には連合前での抗議行動が予定されている。呼びかけ人の1人である男性(33)は、「高プロやホワイトカラーエグゼンプションは、労働時間を管理して残業を規制するという根底を切り崩し、生活を脅かすものだ」と高プロ導入を批判した。その上で、
「連合や傘下の労働組合に怒りを覚えているわけではない。連合は官邸や経営者の方を向くのではなく、働く人の生活を守るという本来の役割を果たしてほしい」
と呼びかけた。